これまでレインバーサブル方式およびランプサム方式での請負に関する価格形態別の契約について述べてきました。しかし、それぞれ実業務を進める場合でも設定しなければならない契約約款が必要になります。
顧客側(ユーザ)と請負側が顧客要件不明確なまま作業を進めなければならない場合は顧客(ユーザ)との何らかの合意の上での共同作業となります。この時には一般的にコストプラス方式での条件設定を行い時間単位または月単位の技術者の単金を設定し契約し、作業を行います。そして、要件が明確になったところで双方の合意でランプサム方式に変更し、これまでの話し合いで合意した条件や要件を確認し、ランプサム契約の場合と同じ条件で作業を進めることになります。
一方、一般的な競争入札にて顧客側(ユーザ)がプロジェクトを進める場合は、顧客(ユーザ)は引き合い書(RFP:Request For Proposal)といった書類を準備し請負業者の選定作業に入ることになり、ここで初めて請負業者との接触が始まります。
この時、顧客側(ユーザ)は要求する自社の求める要件や条件を上記のRFPに詳細に示す必要があります。
この場合、入札という形で興味のある応札予定の数社に見積もりを出させ、その結果を評価し、決めることになり複数社から同一入札条件の下で競争させます。この場合は入札結果の評価の公平さを期するため各請負業者よりのプロポーザル内容が均一となるように提出書類の様式化を行い、同時に評価手順をあらかじめ設定できるようにしておきます。
上記項目の中で引き合い時に顧客側の意思を示すものとして大事な書類として「Instruction to bidder」及び「Basis of Quotation」という書類を準備する必要があります。この書類は応札予定者へのプロポーザル作成にあたっての“指示及び注意事項“及び見積もりのための技術的注意事項ということになります。
以下にその一例を示します。
Instruction to Bidder (入札者への一般的注意事項および勧告)
Form of Agreement(契約時の様式フォーム)
General Terms and Conditions (一般約款)
Special Condition(当該プロジェクトに関する上記に述べていない約款)
Bid Form and Price Schedule(入札者の入札用フォームおよびプロポーザルコストフォーム)
Technical Specification / Drawing (技術資料)
Bill of Quantity (B/Q) (機器材の数量を示したテーブル)
このRFPをもとに請負業者を選別することになり、彼らから価格、納期、品質や請負側のRFP に対する考えや条件を入手することになります。この時点でRFPに示された要求や条件と請負側のプロポーザルの間に齟齬のないようにお互い話し合いを行い、その結果として契約調印が行われます。
参考にRFPで用意するものには以下のような項目が必要となります。
入札者への一般的注意事項および勧告(Instruction to Bidder)
① プロジェクトの概要(Project Overview)
―プロジェクトの由来および背景
―プロジェクトの目的
―プロジェクトの規模、種類、場所
―プロジェクトを構成するシステム
―応札者(Bidder)に求める契約形態(Option もあれば記述)