テーマ11 : 2013~2022年の課題解決 |
Z. |
読者の皆様、今の地球は健全ではありません。そしてよく考えると、人間そのものの健全性がなくなっていませんか。納得して頂けた方にお話しさせてもらいます。今はコロナものんびり遊んでいるようです。そこで考えました。我々はこの不健全性との対応を素早く片付けることを正としていました。しかし私はここにきて中休みを取りたいと感じていますが、今健全な皆様は、どのような対応が望ましいと考えているのでしょうか。
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芝. |
何を言うのだ! そんなことできるものか!という方が多いと思います。私はその方々を仮に正論者と呼んでみます。知力の高い人々に正論者が多いのです。
町はコロナの注射を打つ日程を決めるために、懸命に努力して遅ればせながら町民に届けました。町はワクチン接種予約日を電話で受け取り、日程調整後、返事をファクスか、郵便で発送しました。
このケースを考えてみます。ネックは何だったのでしょうか。
- 第一のネックは町民が電話に殺到して、中々、つながらなかったことです。
- また、電話がつながっても、伝達文の中に聞いたことのない単語が入ると、通話時間が延びます。そこが第2の課題でした。
- 第3の課題は注射日・時間のお知らせをFAXで送ったことです。
- しかしFAXのない家庭へは手紙文で送ることになりました。これが課題4となります。
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Z. |
そのとおりです。 |
芝. |
私たちが企業でウインドウズXPを使っていたのは2005年頃でしたが、業務交換はメールで行い、送信したメッセージは指名された受信者に渡り、簡単な返事で意見交換が成立しました。5分と掛りません。また、一人が大勢の相手に発信し、全員がこれを受信するのも5分ですみます。しかし受信者が席にいない場合は受信が遅れますが、緊急の場合は電話で知らせることができます。もし人々全員がPCを持っていれば、応答が早くできます。今度のコロナ禍で分かったことは、日本国の民はIT利用者が少なかったことです。
そこで日本国は【IT音痴】だということがわかりました。この場合はパソコン保持者が少ないことを意味します。ところが霞が関村(経団連も含まれる)もIT音痴の集団と言われました。 |
Z. |
IT音痴とは何を指すことですか? |
芝. |
ITと言えば[Information Technology]のことです。今のITエンジニアが求めているものと異なります。米国で企業にITを導入し始めたのが2000年です。そこで再度ITとは何か考えてください。 |
Z. |
ITとは「Information Technology」ですね。翻訳すると「情報を操る技術」ですね。 |
芝. |
いかに素晴らしい情報を取り扱うか(技術)を決める能力といえる。日本人が誤ったのはITとはコンピュウタを使う技術と勘違いしました。日本はIT後進国ですから、コンピュウタを使う技術と勘違いしていました。ところがリクルート創設者江副会長はこれと違う感覚でとらえました。
「日本で最初にITとは(情報をお金に換えることだと気が付いた)のが江副浩正リクルート会長であった。星進一のショートショートに『服を着たゾウ』という作品がある。ある日一人の男が動物園のゾウに催眠術をかけた。「おまえはゾウではない。人間なのだ。人間の心を持ち、人間として考え、人間の言葉が話せる」催眠術にかかったゾウは檻の鍵を開けて町に出る。洋服屋で背広を仕立て、芸能プロダクションに行ってタレントになり、子供たちの人気者になる。やがて遊園地や、お菓子の会社、オモチャの会社の経営者としても成功する。人に成功の秘訣を聞かれるとゾウはこう言います。
「私の心の奥に、お前は人間だ、という声が潜んでいます。しかし、人間とは何かわたしにはよくわからなかった。そこで本を読んで勉強したのです。人間とはどういうものか、人間なら何をすべきか、などについてです。常に学び、考え、その通りにやってきただけです。私が世の役に立っているとすれば、このためかもしれません。あなた方、自分が人間であると考えたことがありますか。(「星新一服を着たゾウ)より )
江副浩正という人物はこの物語のゾウそっくりの人でした。大学を出て、自分の会社を創った江副さんはゾウが「人間とは何か」がわからなかったように、「経営とは何か」がわからなかった。それからの猛勉強で経営者を理解していった。その結果、日本ではそのIT情報技術で大きく金儲けした江副社長を憎んだのが財務官僚と、東京地検特捜部で、彼らが日本一有能な人材を抹殺した。しかし日本は大きな損害を受けた。アマゾンの会長ベソス氏は一時、江副会長傘下にいましたがその後ベソス氏は大成功した。 |
Z. |
渡辺 貢成さんは今度ペンネームの芝 安曇で執筆されるそうですが、その理由はなにですか? |
芝. |
私がオンラインジャーナルを書き始めたのは、2006年からでした。今年は2022年ですから、16年間毎月エッセイを送っていることになりますが、これには偶然な経緯がありました。私は1997年エンジニアリング・ジャーナル社から【プロジェクト・マネジメント思考による日常革命―プロジェクト・マネジャー自在氏の経験則―】を出版しました。この時エンジニアリング振興協会 専務理事 佐伯嘉彦氏から発刊に当たって「この本の内容と推薦の言葉」を頂きました。その内容は『PMの理論は実践的な経験によって価値が発揮される。日本にも多くの優れた経験者がいるが、その経験を理論化し、文章化する人が少ない。これでは経験を広く学ぶことができません。渡辺氏は芝 安曇のペンネームで二年間にわたり経験した体験を法則化し、すべての項目を法律的文章で表示された』。次の年に偶然にも「国際宇宙ステーション」関連企業の専務を退社し、そのご挨拶にうかがった際、1998年12月設立の新会社の事務局長を依頼され、PMAJの前身のJPMFに入会した。PMAJは日本発のプログラム&プロジェクトマネジメント協会で、事務局長を5年、オンラインジャーナル編集長、P2M研究部門に籍を置き、P2MPMP資格試験官、PMS資格試験の講師、P2M研究開発研究を実施、2012年にPMAJは初の表彰式を行い、協会初の金賞を獲得しました。
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Z. |
以上は芝 安曇氏の略歴です。
ここで申し上げたいことをお話しします。
最近のアベノミクスはコロナ発生以来大きな問題が発生しているはずです。しかし、新聞記事だけでは将来がつかめません。何が不確実かわかりません。そこでエッセイストの芝 安曇氏に検討してもらうことを決めてみた。特に最近の情報は新聞や本の情報も不確かで、使いにくく、正確性を高めることができない。特に政治が絡む問題は気を付けないといけない。
アベノミクスを除いて、裏ネタのある記事や、本に出合うと、なにが本当かわからない。私の経験から言うと立派なエリート集団の霞が関村と其れを取り巻く経団連グループの行動に不信感がある。ではどのような不信感かというと、信頼できる外人の発想と、霞が関手法が正反対であること。霞が関村(含む経団連)軍団には平成時代に一致団結し、3権分立が見当たらなくなっている。政治には裏があることはわかるが、裏の限度を見つける人がいないと、私どもも勇気がでない。私が感じる霞が関・経団連軍団の発想はグローバル化していない日本の中だけにしか通用しないと感じている。またエリートとしての待遇が少ないという不満がある。しかし、この軍団の昭和期は国民の生活を豊かにしてくれた。しかし、今の軍団は【天下り】という世界に類のない効率の悪い集団が、気勢をあげているようにみえる。 |
芝. |
私はここで1990年以降の日本国の歩みと、その成果を列記し、状況を見届けるが、気が付くことは霞が関の論法は信頼性がないことだ。そのため正直に書けない。また、本当だと感じてもそれを書くことに危険が伴われる場合がある。
私が行ったエッセイはプロジェクト・マネジャーという新しい職業の手法を取り上げて、やさしい手法を提供しているが、ある種の経験を土台にした【プロジェクト・マネジャー自在氏の経験則】というエッセイを書いている。しかし名前を隠して【芝 安曇】というペンネームを採用している。 |
Z. |
何故名前を隠して【芝 安曇】としたのかな。 |
芝. |
これは簡単な原理です。匿名で書き物をすると、正直に書き物を読んでくれます。そして、書物の良い評価、悪い評価を話してくれます。
ところが評価に名前を入れると、その人への評価は文面に対するだけでなく、身分や性格に及び、書物の質から大きく離れることが分かった。そこで匿名にすると文書に対する評価に近づく。匿名でいると作者の評価はさほど変わらない。
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Z. |
タイトルに【プロジェクト・マネジャー自在氏の経験則】としたのはどんな経緯かな。 |
芝. |
自在氏とはこのプロマネは自由自在に活動すると感じる人もいますが、本当は仏教の自在菩薩を意味しています。自在菩薩は学実的、哲学的に感じてもらえると「自在氏は頭の使い方がうまいよ」ということになります。これが自在観音の表の姿です。ところが自在菩薩の裏半面は「観音菩薩」です。人々に優しい仏様です。般若心経を読むまで知らなかったが、プロジェクト・マネジャーが常に自在菩薩・観音菩薩を行き来できたら素晴らしいと思いませんか。
まだ、私の秘策があります。エンジニアリング・ジャーナルの初回のエッセイを読んだ人が、編集長にこの人物は誰かと問い合わせがありました。そこでこのエッセイは芝 安曇以外の話をしないことを約束してもらいました。人間とは不思議なもので、興味ある本が出て本人をしらないと気になるようです。もし、誰かが本名をばらしたら、どんなに素晴らしいことを書いても、昨日までの人物が貧弱に見えてきます。
名前を公表したのは、エンジニアリング振興協会の傘下に日本プロジェクト・マネジメント協会を1998年に設立したときでした。 |
Z. |
芝さん。4月号はテーマ10が原発の災害でした。 |
芝. |
アベノミクスが進んできました。問題が色々ありそうです。アベノミックスその後と題して、コメントします。今回はアベノミクス批判から解説したいと思っています。
まず、アベノミックスに警告を発した人たちが大勢いましたが、傑出したコメントが三菱総研ロンドン駐在員事務所長であった浜 矩子氏の2冊の本です。
- ①浜 矩子著 老楽国家論―反アベノミクス的生き方のススメ : 初版2013年11月
- ②浜 矩子著 アホノミクス完全崩壊に備えよ : 初版2016年6月です。
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