今月のひとこと
先号   次号

 プロジェクトオーナーのPMスキル 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :5月号

 新緑とツツジの季節です。ついちょっと前まで淡いピンクだった道路の両側が緑色になり、地面に近い所に赤と白のツツジの帯が伸びています。陽の光は充分に熱を帯びているのに、空気が乾いているせいかまだそれほどの暑さではありません。穏やかな陽気に誘われて、犬の散歩をする人の数が増えてきました。以前よく見かけた大型のゴールデン・レトリバーやハスキー、セント・バーナードが減り、トイプードル、バグといった小型の犬種が増えたように思います。さらに、犬たちの高齢化が進んだせいでしょうか、歩かなくなった犬を抱えて歩く人をよく見かけるようになりました。大型犬だと重くて抱えることができなかったということだったのでしょう。

 4月の例会は元JAXA理事の山浦雄一氏による「探査機『はやぶさ2』開発での荒療治 ~現場の判断、経営の決断~」という講演でした。中心テーマは、プロジェクトのオーナーである講師とはやぶさ2プロジェクトのメンバーが、様々な場面でどのような決断をしてきたかということです。特にプロジェクトオーナーとして「なぜはやぶさ2プロジェクトを実行するのか」という問いに真摯に向き合ってこられたといった話は、PMに関する他のセミナーではこれまで詳細に語られることがなかったのではないでしょうか。視聴されなかった方は、来月のオンラインジャーナルで受講記が掲載されるので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
 PMAJではPMの普及をミッションとして活動していますが、PM普及の壁となっているものの一つにプロジェクトオーナーの無理解があるかもしれないと思っています。
 例えば、同業他社がやっているからという理由だけで採用されたプロジェクトが多いと聞きます。なぜこのプロジェクトを立ち上げなければならないのか、検討不十分なままスタートさせてどのような結果が待っていたでしょうか。QCDを達成したとしても、何も創造できなかったということになっていると思います。たまたま何らかの成果があったとしても、それは偶然の産物に過ぎないということになります。
 また、プロジェクトチームに丸投げして、予算をオーバーしなければ進捗にすら関心を示さないというオーナーも多いと聞きます。プロジェクトには様々なリスクがありますが、リスクが顕在化した時には自身が当事者として対応しなければならないと自覚しているオーナーがどれだけいるでしょうか。
 プロジェクトを実行する当事者に対するPM教育・訓練については、PM資格等をマイルストーンにすることもできかなりの蓄積が進みました。しかしながらプロジェクトオーナー層に対するPM普及はまだまだではないでしょうか。
 そんな思いを背景に、PMAJジャーナルでは「プロジェクトをマネジメントできる組織」をテーマとした論文を募集することになりました。経営者に必要なPMスキルだとかを展開する論文が寄稿されることを期待しています。
以上

ページトップに戻る