『防災そしてフェーズフリー』
東京P2M研究会 鎌賀 信吉 : 3月号
2月22日の東京P2M研究会は、古くからの研究会メンバーである佐藤さんより、防災そしてフェーズフリーという話題を提供していただきそれぞれの意見を交わす機会をつくることができました。
防災については、日頃の意識づけが大切ということで行政によるイベントや、地域での防災訓練は定期的に行われていますし、最近では防災に関するNPO活動も盛んになっています。しかし、災害のニュースをほぼ毎日見ているにも関わらず、我々はいつもの生活において防災の意識を持ち続けることがなかなかできません。さらに、専門家ではない一般の人は、もしものときに使える技術やスキルを持ち合わせているわけではありません。しかし、災害は突然やってきます。そして、我々は何の準備もなく、否応なしに災害という状況に巻き込まれることになってしまいます。私は海外の医療ドラマをよく見るのですが、ときに災害に見舞われた人々を救助するシーンを見ることがあります。トリアージといった医療側視点も触れられるのですが、それは別に巻き込まれた一般の人々の身になって、その場でどのように振舞うことができるのかと想像すると見るたびにとても考えさせられます。
今回話題として提供いただいた「フェーズフリー」は、上記のような防災に対する私の認識とは違うコンセプトでした。
「いつも快適に使っているモノやサービスが、災害などのいざというときに、またちがったカタチで活躍して私たちを守ってくれる。そんな、イツモのときにも、モシモの際にも、心地よさと安心を与えてくれる」というものだったのです。
また、実際に大学などにおいてデザインされたフェーズフリーなモノ・サービスのアイデアのサンプルを見せていただきました。どれも可能性を感じさせるものばかりで、市場にでてくることが今から楽しみな気分になりました。
いまではすっかり身近になってしまったユニバーサルイベントやフェアトレードのように、フェーズフリーも広く認知されるようになればと期待することができ、非常に有意義でした。
余談になりますが、研究会からの帰宅途中、討議内容を思い出しながら、ふとネットニュースでみたいくつかのモノ・サービスが頭をよぎりました。
一つは、丸めるだけで点灯する「魔法の紙」です。それは、市松模様柄がプリントされた一見、何の変哲もないA4より一回り小さいサイズの紙ですが、円筒状に巻くとライトが点灯し、懐中電灯に早変わりする「ペーパートーチ」なのです。紙の市松模様は特殊な銀粒子インクで印刷された電子回路になっているため、くるっと巻くと紙の内側に配置されたボタン電池から極小LEDライトに電気が流れ、光る仕組みになっているものなのです。さらに細く巻くと明るく、太く巻くと暗めに光る工夫がされているものです。
もう一つは、#beORANGEミサンガというもので、軽く耐久性と強度に優れたパラシュートコードで、緊急時にはミサンガを解き、ものほし・シェルター・止血帯・着火材・デンタルフロス・笛・荷物の保護・添え木・靴ひも・救助の合図・ファイアースターター・蓄光といった12の用途で利用できるものということです。
ペーパートーチをコラボレーションした紙専門商社・デザイン会社・ベンチャー、そしてミサンガを作っている団体ともに、フェーズフリーといったキーワードをあげてはいませんが、まさに普段使いが非常時にも使うという発想にもとづいて開発されたものであることに何か感銘をうけてしまいました。
そして、私自身はこのようなモノづくりに関与することはできないかもしれませんが、まずはフェーズフリーの考え方に触れる機会をもつことで、自分なりに理解をできるようになりたいと思うようになりました。
今後、様々なバックグランドの方々との対話の場を作っていければと思っております。
最後に、話題提供いただきました佐藤さん、研究会での討議に参加いただいた方々に御礼を申し上げます。
以上
参考資料
NIKKEI STYLE MONO TRENDY モノ・フラッシュ |
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フェーズフリー コンセプト & ガイドブック (スペラディウス株式会社) |
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