米国では今年の1月20日にトランプ大統領が第45代米国大統領に就任した。早速、公約していた「アメリカを再び偉大にするための100日行動計画(100-day action plan to make America great again)」から順次大統領令に署名し始めた。その中に、国民の雇用を増すために「メキシコとの国境沿いに壁を築く」、「治安対策としての移民の拒否」、「TPPからの即時離脱など貿易協定の見直し」などがある。具体的数字としては、「今後10年で2,500万人の雇用を創出し、年間の経済成長率を4%に戻す」、「中国の輸出品に45%の高い関税を課す」がある。また、公式就任以前にも自動車などのグローバル企業に対して、国外にある工場の国内への復帰を呼びかけ、GM、フォード、トヨタなどが呼応して、米国内投資を約束している。「最も雇用を創出する大統領に」なるとして「アメリカ第一主義」を繰り返している。成否は兎も角、強烈な印象だ。(「トランプ大統領-就任から38日」 NHK NEWS WEB@20170227)
今までの常識的な判断からすると、トランプ大統領の目算とは異なる結果となるようである。米国は、多様性を最大限に活かし、イノベーションを起こしている。特にGang of Four あるは、AGFAと呼ばれるIT企業(Apple、Google、Facebook、Amazon)は、次々と付加価値の高い製品・サービスを生み出し、世界を席巻している。従業員の主要構成が多様な移民であり、仮に米国人の職を奪っているとしても、米国にもたらしている富(GDP)は巨大であり、かつ毎年成長することで、米国経済成長を支えていることは紛れもない事実である。トランプ大統領の為すべきことは、前述のような政策でなく、強みを更に強くして稼いだ富を、適切な配分に変えることである。