1. |
センターエンジンの故障
第2段ロケットS-IIの5基あるエンジンのうち、中央エンジンが予定より2分早く燃焼を停止した。他の4基のエンジンが自動的に燃焼時間を延長して推進力を補完したため大事には至らなかった。 |
2. |
酸素タンクの爆発
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地球から約32万キロの地点で、地上管制の要求で機械船の2基ある酸素タンクのうちの第2タンクを攪拌したときに爆発が発生する。タンク内部の電線被膜が損傷していたため電流がショートしスパークが飛んで爆発を誘発したためである。 |
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タンク内の圧力が上昇し、酸素が船外に流失し、高感度アンテナが損傷する。このため一時的に地上とコミュニケーションが途絶えたが、自動的に周波数帯が切り替えられ通信は再開される。 |
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爆発の衝撃により燃料電池NO1とNO3の酸素バルブが閉鎖される。同時にNO1酸素タンクも損傷し、130分後には酸素が完全に船外に流失する。 |
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燃料電池はタンク内の酸素と水素を使って電力と飲料水を生成する。酸素タンクが空になると、司令船にはバッテリーの限られた電源しかなくなる。バッテリー電源は地球再突入に必要なため、司令船をシャットダウンし、月着陸船をライフボートとすることになる。 |
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3. |
地球帰還の決定
事故により月面着陸は諦めざるを得なくなり、フライト・ディレクターのジーン・クランツは、ミッションの中止とアポロ13号の地球帰還を決断する。地球帰還には、直ちに反転して地球に向かう方法、月の引力による自由帰還軌道上を月を周回して帰還する方法がある。直接帰還は1日早く地球に到達するが、機械船のSPSエンジンを使った反転は巨大なGが発生するため宇宙飛行士の生命を維持している月着陸船を切り離す必要がある。ジーン・クランツは様々な条件を考慮して自由帰還軌道を使う方法を選択する。 |
4. |
PC+2噴射
アポロ13号は月面着陸地点のフラ・マウロに向かうために自由帰還軌道から外れていたので、着陸船のDPSエンジンを使って修正する。近月点(Pericynthion)から2時間後に帰還速度を速めるためにDPSエンジンを噴射する(PC+2 burn)。PC+2では機械船を切り離して速度をより早くする噴射も考えられたが、飛行士が司令船に戻ると酸素などの消費度が多くなり、地球帰還までのリスクが増すため選択されなかった。 |
5. |
電力不足
着陸船のバッテリーは月着陸用であり、地球に帰還するには充分ではない。電源を節約するため、使用電力は60Aから12Aに制限される。これにより、各部門で電力の取り合いが発生する。 |
6. |
二酸化炭素濃度の上昇
船内の二酸化炭素は水酸化リチウム(LiOH)のフィルターで除去さるが、着陸船は2人が乗って司令船と月を往復する用途なので3人分のLiOHは積載していない。司令船には充分なLiOHがあるが、除去装置の形状が司令船と着陸船では異なっていて代用できない。地上のエンジニアは、船内にある材料を使って、球形の除去装置を角型の装置に接続する装置を開発し、飛行士に作り方を指導して作らせた。これにより二酸化炭素濃度は正常となる。 |
7. |
軌道調整
地球に近づいた時点で、地球突入軌道より多少ずれていた。電力不足によりコンピューターが使えないため、飛行士は窓から見える地球をコンパスとして手動で軌道を調整する。 |
8. |
司令船のパワーアップ
地球帰還には完全にパワー・シャットダウンしている司令船を再起動する必要がある。地上の宇宙飛行士のケン・マッティングリーとエンジニアは、シミュレーターを使って再起動プロシージャーを確認する。司令船は冷え込んでいるため結露による電流のショートが懸念されたが、アポロ1号の火災事故の後、充分な漏電対策がなされていたためショートは発生せず再起動は成功する。 |
9. |
着陸船の切り離し
地球突入には飛行士は司令船に移動し着陸船を切り離す必要がある。切り離しは通常機械船のRCS(Reaction Control System)を使って行われるが、RCSは電力不足により使用不能である。トロント大学のエンジニアが司令船と着陸船の間のトンネルを加圧することで可能であると結論付ける。圧力が強すぎると司令船の耐熱シールドを傷つける可能性があり、弱いと切り離せない。正確な計算が求められたが、切り離しは成功する。 |
10. |
重量不足による軌道のずれ
アポロ13号は月面から岩を持ち帰る予定であったが、着陸しなかったので岩がなく重量が不足し軌道がずれていた。着陸船から物を適当なものを司令船に持ち込んで調整する。 |
11. |
地球再突入時の諸問題
耐熱シールドの損傷、パラシュートの凍結、着水地点の台風接近などの問題が考えられたが、アポロ13号は最終的に無事に帰還することができた。 |