PMシンポ便りコーナー
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「スタッフにあるモチベーションの謎」

坪井 隆 [プロフィール] :9月号

 多くの大型イベントでは、専門会社へ企画・運営を委託していると思われます。PMシンポジウムはどうでしょうか。興味深いことに、事務局とボランティアによる協業で成り立っています。それでは、何故、ボランティアスタッフは自ら進んで参加するのでしょうか。
 この問いに関連して、Drucker (2001) は次のように言っています。無給スタッフが求めているのは、活動の源泉となる明確なビジョン、トレーニング、および目標設定等の責任、を与えられることです。このことはPMシンポジウムの運営にも当てはまります。「国内最大のPMシンポジウムを通じて知識とスキル向上の機会を多くの方に提供する」というビジョンのもと、熟練スタッフから新参スタッフへ運営スキルの伝承が行われています。さらに、自らが目標を設定し運営できる体制がとられています。
 また、自主的な参加のもう一つの要因として、PMシンポジウムの実行がプロジェクトマネジメントを実践する「場」になっていることが挙げられます。多くの方は、PMシンポジウムのことを、講演やワークショップから知識を得ることができる学びの「場」、と捉えていると思われます。実は、PMシンポジウムそのものが、プロジェクトについて企画・運営をする実践の「場」、という側面も持ち合わせています。実践し検証することで知識を定着させる、そのような「場」がPMシンポジウムとも言えます。
 これら 2 つの視点から言えることは、PMシンポジウムの運営がボランティアの潜在的な要求に応え、また実践と検証からPM知識を定着させる「場」になっていることです。これらがボランティアのモチベーションを生み出していると考えられます。
 PMシンポジウムでの活動を企業に広げることで、関連企業の活性化につながることを期待します。

会議の様子 (筆者撮影)
会議の様子 (筆者撮影)

参考文献
Drucker, Peter Ferdinand (2001), The Essential Drucker, USA: HarperCollins Publishers, pp. 47-49.

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