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作業軸と成果軸との分離により事業単位での標準テンプレートとして予めの準備が容易になります。
どの企業・団体でも事業単位に類似したプロジェクトを繰り返し実施しているため、プロジェクトの進め方についての標準テンプレートを、エキスパート同士での協議で、事業組織構成メンバに共通に受け入れられるものを容易に短期に作り上げて維持することができます。 |
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作業軸でのF-WBSの確立により、ドキュメント類 (仕様書、図面、グラフィック、動画など様々) を作業要素に明確に対応づけられるになります。
ドキュメント類は、プロジェクト遂行上の重要なコミュニケーション手段であるため、作業要素への対応づけは、コミュニケーションの基盤となります。ドキュメント類は、プロジェクト成果と一体となって、プロジェクト終了後でも活用される“最終成果ドキュメント類”と、最終成果物を生み出すための条件書的役割を果たす“途上成果ドキュメント類”と、それら成果ドキュメント類を生み出す補助をする“過渡的ドキュメント類”に分けることができます。いずれも作業軸WBSの標準テンプレートの作業要素に位置付けられて、標準化し用いることでプロジェクト遂行の生産性を高める手段となります。図 4 の中に“スコープⅡ”として示しているものです。 |
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2軸方式は、プロジェクトマネジメント上の最適な管理単位の設定をし易くします。
プロジェクトマネジメントのための最適な管理単位はワークパッケージ (W/P) です。2軸方式では、作業軸、成果軸の各々でスコープをWBS体系として明確にした上で、WBS要素間をマトリクスとして評価し、より解り易く最適な管理単位であるW/Pを設定します。マトリクス交点でのW/Pの範囲は、遂行責任組織・メンバの対応づけ、実際の必要作業予定工数の大きさ、スケジュール上のマイルストンに関与するしないの判断も含めての優先度・重要度の見極め、重要リスク項目の関与度合いなどを考えながら、視覚的にその妥当性について見極めることができます。 |
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作業軸と成果軸の分離により、作業に関わるデータ収集と、成果に関わるデータ収集を明確に峻別した仕組みを作り上げることができます。
作業軸では、純作業に依存する達成・未達成判定、進捗度計測、生産性計測、ドキュメントを通じての作業品質の判定などに必要となるデータの収集・処理の仕組みができます。一方、成果軸では、プロジェクトとして生み出すべき成果内容の規模の見積値をW/Pに対応してはじき、プロジェクト遂行途上での成果達成度合いを計測したり、W/Pに応じた品質目標と基準を設定して、試験・検査などによる品質判定を行うなどの仕組みづくりが容易になります。 |
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作業軸と成果軸の分離により、経営管理・事業管理面からのプロジェクト横断での統一した予算・コスト構造を実現します。
成果軸でのデータ処理の仕組みは、個別プロジェクト単位に活用することが基本になりますが、作業軸でのデータ処理の仕組みについては、企業・団体のバックオフィスの事務処理機能と連動してのものとなります。このデータ処理の仕組みを背景に、経営視点・事業視点・プロジェクト視点を包括しての安定した評価と適切かつ俊敏な意思決定を可能とします。 |