関西例会部会
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第120回関西例会 レポート

PMAJ関西 KP 林 健太郎: 5月号

皆さん、こんにちは。関西例会はPMAJの前身であるJPMF時代から年8回の開催を継続してきました。2015年度から広く会員の皆さんにその活動状況を知っていただいて、PMに関する生の情報に触れていただく機会を活用していただこうとオンラインジャーナルへの掲載を始めました。その記念すべき初回を以下のとおりレポートします。

【データ】
開催日時: 2015年4月10日(金) 19:00 - 20:35 (交流会 20:50 - 21:50)
場所: パシフィックマークス江坂 19階セミナールーム (同ホワイエ)
テーマ: 「注目されるプログラムマネジメント」
講師: 光藤 昭男 氏/PMAJ 理事長
参加者数: 27名 (交流会 11名 + 講師)
講演概要: P2M改訂3版では、Project Management を、ISO21500「プロジェクトマネジメントの手引き」の個別マネジメントの名称名に合わせ、配置順序も同じにして編集しました。グローバルスタンダードに合わせた変更です。一方、Program Management は、ご存じの通り日本独自の方法論です。そのプロセスを思い切って単純化した一方で、記述は大幅に増やしました。この方針の採用結果、内容の簡潔さと明解さが増しましたとの評です。
 判りやすくなったことで、P2M改訂3版の出版が各所に影響を与えています。一例として、研究開発マネジメントに取り組む行政や大学の注意を惹いています。米国で先進的研究をしているDARPA (国防高等研究計画局) と先進的な商品を生み出しているGoogleの仕事の進め方とP2M Program Management プロセスを比較し、日本的なP2Mによりイノベーションが可能かを探ります。
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失われた20年から現在までを概観
1990年のバブル崩壊以降、6重苦に苦しんだ日本の産業界、特に製造業の海外移転などが進んできた歴史を振り返り、2001年に誕生したP2Mが安倍政権の成長戦略の中で活用可能性の説明を頂いた。自民党政策集「Jファイル-2014」の中に、「プロジェクトマネジメントの専門家の養成・活用を積極的に進める」と記述され、その具体例として、内閣府が推進しているImPACT、SIPにおけるプログラムマネジャー採用例を説明。いままでの政府予算の使い方とは全く異なる、一人30億円/年 X 3年間という思い切った「任せ方」を採用している。それは米国DARPAという国防研究の場で実施されている方法を参考にしている。米国では、民間でもGoogleなどの先進企業における企業経営でも参考にされている。

プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントの違いをわかりやすく解説
今回は京都大学大学院の中国からの留学生が8名参加されたこともあり、プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントの定義や、DARPAでプログラムマネジャーに期待されている役割と資質を参考にして、ImPACTでプログラムマネジャーを選定する基準や選定されたプログラムマネジャーを支援するプログラムオフィサーを育成し、資格認定することがJST (科学技術振興機構) で始まっており、その予算が現在開会中の国会で審議され今後進んでいくことを説明された。プログラムを構想し進める上で、①インプット (費用がいくらかかるか)→②アウトプット (仕事がどれぐらい行われるか)→③アウトカム (どれだけの成果があがるか)→④インパクト (どれだけの影響を社会に与えるか) という概念でプログラムを評価していく考え方をJSTが持っており、世界中のスタンダードを調査しP2Mプログラムマネジメントの考え方を参考にする動きがあると説明された。また、IPA (情報処理推進機構) が昨夏に公開した「i コンピテンシ・デクショナリー」の構成の中にもP2Mが提唱する3Sモデルの概念があり、IPAの要請によりP2Mコンピテンシとの比較表を作成し、4月中に意見交換する予定であると説明された。
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  大変幅の広い内容を、当日のみ投影のスライドも含め、学生にも理解できるように丁寧に説明していただきました。私は多少の事前知識を持ち合わせていましたので、話についていくことができ、P2Mプログラムマネジメントの利活用の可能性があると思いましたが、参加された方はいかがだったでしょうか?

講演の様子 交流会の様子
講演の様子 交流会の様子

講師を交えた交流会も開催
講演時間内では2つの質疑応答しかできませんでしたが、1時間のワンコインワンアワー交流会を活用された参加者もおられ、飲み物を片手にざっくばらんな意見交換がおこなわれました。

最後に、P2Mの特徴であるプログラムマネジメントに焦点を当てた関西P2Mセミナーが6月13日(土) に開催されます。関西在住の会員の皆様をはじめ、国家的に採用が始まろうとしているプログラムマネジメントを実務に活かしたいと考えておられる方にひろく参加していただきたいと考えています。

参考リンク
◇ 関西P2Mセミナーの案内
◇ PMAJライブラリ

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