東京P2M研究部会
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「プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメント」
―大切なのは「事実に基づくマネジメント」―

一級建築士/APECアーキテクト 幡鎌 秀一 [プロフィール] :2月号

 日本企業による海外への進出は、プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントが必須である事はここ近年常識ともなっているが、小職がプロジェクトマネジメントと出会う機会となったのは、奇しくも初めて海外プラント建設に関わっての事である。
 そもそも、建設会社から重工業会社に勤務し、国内の建設工事に従事して居た2000年初頭の頃までは、その内容はともかくプロジェクトマネジメントとは呼ばれていなかった、少なくとも建設会社時代では、その建設工事現場自体が独立採算性で、時には他社とのJV (ジョイントベンチャー/共同企業体)であったりとして、現場所長に工程、品質、安全、予算等の責任者として現場代理人や総括責任者と名付けられている。
 重工業における国内の建設現場にしても全体工程の内、機器の設置と組立てが主な建設現場の役目で、その本社や事業部担当部署が予算や品質の責任となり、現地はその工程と安全のみの責任範囲として、建設業法に従い現地所長は現場代理人としており、その頃はまだプロジェクトマネジメントとして小職の周囲では認識が無かったと思われる。
 重工業時代は2000年代に海外プロジェクトでの海外現地にて、余計なコストを掛け無い為にもその国内での業務内容をそのまま同じ様に実施した処、多くの問題が生じた、その一つが海外特有の契約(Contract)に基づくクレームレターである。現地工程や品質、安全等で客先や下請け業者も何か有ると、直ぐそのレターが飛んでくる、だがそれに対して必ず返事をしないと、こちらが「悪く」なり、後々彼らからの請求対象になる、だがそのクレーム内容は彼らに非が無いとしても遠慮なく送ってくる、正に日本国内には無いクレームマネジメントが必要になる、更に良く言われるリスクマネジメントも同様である、その一つがカントリーリスクと言われるその国自身の安全等になる。
 それらをトータルに管理するのがプロジェクトマネージメントで、そこにはプロジェクトマネージャーが位置付けられている、しかしプロジェクトマネージメントを採用したからと言って必ずそのプロジェクトが成功する訳では無い、現に海外企業でさえ、グローバルに進出し大赤字となったプロジェクトは幾つもある、ただ言えるのはその赤字の原因をプロジェクトマネジメントの手法で分析し、次のプロジェクトでのLesson & Learned (以下L&L)として生かす事が出来る、だがそこにはやはり、人材のリソース等の事からも経営的な観点が必要でプログラムマネジメントの出番となる。
 だが悲しい事に大企業と言うのはプロジェクトの失敗を正確に分析するとは限らない、例えば受注時の無理な予算カットが原因としても問題なのは『誰がカット?』がクローズアップされ、それが大概会社の上層部にある為、彼の保身のスタンスからその原因はうやむやにされるどころか、他者に転換される事は多々あり、結果的に人材が被害にあい流出(退社)し、正確なL&Lとはならず同じ失敗を繰り返し、人材流出により会社にとっては大きな損害になってしまう。
 悲しいかな、小職はそれを、身を持って体験している、いや体験しつつある、とあるPMセミナーでも講師は語られていたが、大切なのは「事実に基づくマネジメント」であり、その意味でもプログラムマネジメントはとても大切だと思える。

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