PMプロの知恵コーナー
先号

「原発事故」 福島第一原発事故について
日本人はチエリノブイリ原発と並ぶ史上最悪の原発事故から何を学んだのか

仲 俊二郎/小石原 健介 [プロフィール] :7月号

 日本の原発の多くは、活断層の真上に設置されています。百年に一度の地震や津波がいつまた起こるか誰にも予測がつきません。原発を継続すべきか廃止すべきか、あるいは長期的に縮小の方向にもっていくべきか、についての真剣な議論や国民的な合意のないまま、政府は2014年4月11日、国のエネルギー政策を示す「エネルギー基本計画」を閣議決定。安倍政権は、民主党政権が打ち出した2030年代の「原発稼働ゼロ」方針を撤回し、原発回帰に向け大きく舵を切ることを宣言しました。この方針を進めるためには、まず、今回の事故の真の原因とその背景にある抜本的な問題の解明と解消がなければならなりません。果して日本人は原発事故から何を学んだのか?学びとったといえるでしょうか。同じ東日本大震災の地震と津波に襲われながら、なぜ福島第1原発のみが事故から3年経った今も13万人が避難する世界最悪の原発事故を起こし、他の原発、福島第2原発、女川原発、東海第2原発は事故を起こさず生き延びたのか、この点を究明しなければ決して事故の教訓を学ぶことはできません。事故を簡単に想定外の地震と津波による「自然災害」として責任を逃れ、何人も事故の責任を追及されない。なぜ「人災」としての事故を直視しないのか。これでは原発が日本の禍機となることを否定できません。

1.事故の原因
 事故の原因は、想定外の地震と津波による「自然災害」ではありません。事故は長期にわたる全電源の喪失によるものです。原発に限らず全てのプラントにおいて電源は命綱です。プラント管理者の常識としては、万一外部電源が喪失した際には、非常用発電装置のバックアップ、さらにバッテリー電源の有効な8時間以内に外部電源の復旧を図ることが至上命令です。原発に限らず全てのプラントの電源の種類と事故発生時の第1原発の状況は次の通りです。
外部電源 (交流)
これは外部の変電所から送電線を使って送られてくる電気です。通常複数の系統で送られています。第1原発では、外部電源は「新いわき開閉所」から「新福島変電所」を経て供給される1系統のみで強い地震による鉄塔の倒壊により受電不能となりました。
非常用ディーゼル発電機 (交流)
 これは外部電源が失われた際にバックアップするディーゼル発電機で、原子炉1基につき、複数台設置されています。ディーゼルには水冷式と空冷式があり、プラントによっては、ガスタービン発電機を設置しています。第1原発では、最も新しい6号機用1台のみが唯一海抜13.2mの高所に設置された空冷式であり、津波の被害を免れています。他の12台は、全て水冷式で海抜4mの海岸低地に設置されていたため津波により一瞬にして全て機能を喪失しました。
バッテリー電源 (直流)
 これは全交流電源が失われた際に使う蓄電地で、制御室の照明・監視機能や一部冷却系統の稼働、電磁弁の開閉など限られた用途にしか使えません。充電なしでは8時間ほど有効で、原子炉1基について複数準備されています。第1原発では、海抜10mのタービン建屋の地下の電気室に設置されていました。杜撰な危機管理から建屋の資材搬入口が開放されていたものがあり、この開いていた搬入口から津波が一気に入り込んでしまったのです。このため3号機用を除き他はすべて津波により喪失しました。

2.危機管理の問題
 原発の命綱である電源の復旧がなぜ遅れたのか。同じ東日本大震災の地震と津波に襲われながら、なぜ福島第1原発のみが世界最悪の原発事故を起こし、他の原発、福島第2原発、女川原発、東海第2原発では、何ら事故を起こさず安全に冷温停止に成功したのでしょうか。これは福島第1原発以外の原発では迅速な電源復旧がなされたためです。
福島第1原発では、唯一海抜13.2mの高所に設置された6号機用空冷式非常用発電機が生き残り、この電源の融通により5号機と共に冷温停止状態に移行しました。他の1号機から4号機は非常用電源を喪失し、外部電源の復旧が遅れたためメルトダウン、原子炉建屋の水素爆発による大量の放射線物質の漏えい・拡散という最悪の事態を招きました。
福島第2原発では、決死の作業で応急の仮設ケーブルを敷きかろうじて生き残った1回線の外部電源から送電される電気を使って冷却系や非常用ディーゼル発電機の冷却系を復旧。1号機、2号機は14日未明に冷温停止状態に移行しました。また3号機、4号機は使用不能となっていた冷却系の電源復旧を図るため柏崎原発から代替モーターを陸送して14日には本格的な注水・冷却を実施し15日朝には冷温停止状態に移行しました。
女川原発では、40年前の設計の時点で896年の三陸沖を震源とした貞観三陸沖地震の津波高さ9mを踏まえて主要設備を海抜14.8mの高台に設置していました。これにより非常用発電設備は6機がすべて健全で、また外部電源の5回線中4回線が地震で喪失しましたが、松島幹線1回線が生き残り、安全に冷温停止に移行しました。なお地震による最大加速度は福島第1の550ガルに対し女川では加速度が最も強い607ガルを記録しています。
註 : 貞観三陸沖地震
 896年7月13日、三陸沖の海底を震源地として発生した貞観三陸地震は、M8.3以上と推定されています。東北大学大学院箕浦幸治教授は、津波発生の理工学的解析で貞観津波の数値的復元に成功しています。 これにより仙台平野の海岸で最大9mに達する到達波が7.8分間隔で繰り返し襲来したと推定されています。「津波災害は繰り返す」と論文で強調し、貞観当時、東北地方から房総半島にかけての広い範囲で巨大津波が発生したこと、また相馬市の海岸にはさらに規模の大きな津波が来襲したことを明らかにしました。地震の周期性から、新しい大津波来襲を警告していたのです
東海第2原発では、外部電源はすべて喪失しましたが、1系統は2日後の13日に復旧され、15日には原子炉は冷温停止状態に移行しました。
福島第1原発では、最初の報道によると東北電力の送電線を補修し外部電源を復旧するのに10時間から15時間ほどかかると報告されていました。ところが実際には、準備した電源車と原発をつなぐ低圧ケーブルが確保できない、技術者がそろわなかったりして作業は難航しました。そのうちに1号炉が危険な状態となり、作業は中断され、さらに2号炉、3号炉と次々と危険な状態となって行ったのです。2号炉から4号炉の目先の対応に振り回され、自衛隊のヘリによる空からの散水や機動隊による高圧放水作業が優先されました。実際に外部電源の復旧に向けた作業は、やっと地震発生から6日経った17日の早朝に原発の敷地内で゙320人の作業員が参加してはじまりました。この時点で外部電源の復旧については、すでに取り返しのつかない重大な遅れを生じていました。
1号機の致命的な対応の不味さ
1号機炉心の溶融(メルトダウン)は全電源喪失から僅か4時間23分ではじまっています。これは最も古いタイプの1号機のみに設置されている非常用復水器IC(Isolation Condenser)、設計上起動後8時間は水の補給がなくても原子炉を冷やせることになっています。ところが実際にはこれが全く機能しなかったのです。その原因は、運転員が電源を失うと同時に自動的にこれが機能していると思い込んでいました。ところが、この復水器の弁は「フェイル・クローズ」といって、電源が失われた場合、安全上放射線物質を含む蒸気を閉じ込めるため「閉」となる設計となっていました。電源喪失の時点で実際には、蒸気弁が閉まっておりICが機能していなかったにも拘わらず、これを知らずに運転員はICが動いていると錯覚していたのです。これは設備の取り扱いに習熟しておらず、構造までも良く理解されていなかったためで、これが致命的な失態となったのです。このIC装置は信じられないことにこれまで一度も操作訓練が行われていなかったのです。プラントの運転管理者としては信じられない怠慢です。そしてこの弁を開けるためには交流と直流の電源が必要だったのです。思いがけない急速な1号炉の圧力上昇での危険な状態は、こうした危機管理の失態から生じたのです。また圧力上昇の危険な状態の対応としてのベント作業に失敗し、翌日12日には1号原子炉建屋の水素爆発、さらに13日に入ると2号炉、3号炉の燃料露出、3号炉、4号炉の原子炉建屋の水素爆発、現場は浮足だち目前の対応に忙殺され、次々と最悪の連鎖を繰り返し、最優先すべき電源復旧作業がはじめられなかったことが真相だと思います。
ベント作業の失敗は、電源喪失により電動のベント弁の開閉ができなかったためで、弁付近の放射線量により作業員が近づけなかったためではありません。
外部電源の復旧作業に着手したのは、最悪の事態を招いた後の事故から6日も経った17日の朝からで、この外部電源復旧の遅れについては、電源の復旧こそ、専門分野として他の容喙(ヨウカイ)を許さぬ絶対領域である電力会社の東電にとって、いかなる弁明も許されない、信じられない失態です。

3.安全指針の重大な誤り
 1990年8月30日付けで国の原子力安全委員会が定めた安全指針「長期にわたる全交流電源喪失は、送電線の復旧または非常用交流電源の修復が期待できるので考慮する必要はない。」に驚くべき重大な誤りがありました。これは安全指針を決めた原子力安全委員会も指示通り原発を設置した東電も、電源が原発の「命綱」であることを良く理解されていなかった驚くべき現実です。送電ルートの複数化、外部電源を耐震指針の対象とする、送電網全体を強化する大規模な改造について東電は受け入れず、「外部電源が喪失しても1.5時間で冷温停止ができる」と説明してきました。これは東電の傲慢さと安全やプラントの運転管理に対する無知というほかに言葉がありません。

4.全く無防備な津波対策
 想定されていた津波の高さが最大6.1mであるにもかかわらず非常用発電設備や燃料タンクは、建設当時の位置、海抜4mの海岸エリアに放置されたままになっていました。津波高さ11.5~15.5mに襲われ海岸エリアの設備は一瞬にして水没、重油タンク2基は津波の力で道路側に乗り上げ、巨大なサージタンク1基は渦巻く水の圧力に壁を絞られるように圧迫されペットポトルをひねりつぶした形となっていました。極言すれば今回の事故は非常用発電設備を津波対策として女川原発のように過去の津波の記録(貞観三陸沖地震の9.0m)を踏まえ、海岸の低地でなく高台に移しておけば防ぐことができた「人災」です。

5.事故の背景にある抜本的な問題
安全神話
 安全神話は「原子力ムラ」の対局に位置する原発推進反対派を抑え込む道具として、原発災害を敢えてタブー視させるべく、意図的に「安全神話」を捏造し、育ててきたといわれています。一部識者の提言や意見具申、懸念は「安全神話」の御旗のもとにことごとく退けられ、挙句にはその一部識者は地位や職場を脅かされる事態にもなりました。それに加えて現場での緊急事態に備えての訓練も疎かにされてきたのです。
現場主義が失われつつある日本社会
 詭弁を使った言い逃れ、ご都合主義、責任回避、自己保身、リスクをとらない人間が偉くなる社会、こうした軽薄な社会は、現場主義が失われつつある日本の社会が招いた結果です。また、権威に弱く、これを疑問視しない、積極的に権威に同調する頂点同調主義の日本人社会では、権威による「安全神話」や全電源喪失に関する指針などが、なんら疑念なしにまかり通っています。そのため真実を究明することを困難にしています。問題の本質は、現場主義でなければ把握が難しいのです。また、現場主義では問題の先送りは許されません。原発の人材育成については、日本も原発先進国アメリカ、フランス、カナダの徹底した現場主義と訓練を重視した国家レベルでの取り組みに学ばねばなりません。
原子力ムラのタコツボ集団
 原子力ムラは原子炉工学の学者を中心に、電力関係者や官僚の原発推進派で構成され、彼らの利権の巣窟となっていました。現場を熟知する技術者や原発のプラントシステム全体を俯瞰できる技術者は退けられ皆無でした。原発では、わが国の高度な技術力や多くの専門分野の知見、さまざまな指摘、懸念、意見具申は、あろうことに「安全神話」や原子力ムラの閉鎖性、排他性、東電の傲慢さにより意図的に退けられ、これらを生かすことが出来なかったのです。事故発生時にテレビで原子炉の安全性について解説した原子炉工学の学者は、「たとえ原子炉が損傷しても原子炉は格納容器の中にしまわれており、安全は二重に確保されているので心配はない」と解説していました。全電源を失い機能不全に陥っている原発がどうして安全と言えるのでしょうか。これは、彼らのプラントについての無知と安全に対する不見識さを物語っています。
企業の社会的責任(CSR)の欠如
 大企業病と官僚病の自閉的共同体は、問題の発覚を徹底的に隠蔽し、現場の実態を開示しない。福島原発事故現場では、東電は事故当初から厳しい箝口令を敷き現場の実態が外部へ漏れることを禁じています。現場の状況をオープンにし、関係者の間で自由に話し合うことができなければ、真の事故原因は究明されないし、事故の教訓を学ぶことはできません。何でも先ずは隠そうとし、批判を恐れて口をつむぐ風土では原発を安全に動かすことは不可能だといえるでしょう。また不思議なことに原発について技術的な知見を持つメーカーの技術者は沈黙を守り、事故の原因や原発の危機管理について一切触れようとません。個々の技術者は技術に明るい信頼できる人たちですが、それが組織の中に入ると、組織の掟から抜け出すことができないのです。この点は企業が情報の開示を拒む深刻な問題の表れといえます。
無責任体質とご都合主義が蔓延する日本社会
 意図的に事故の原因は、想定外の自然災害によるものとして責任の追求は不問にされました。検察は東日本大震災と同規模の地震や津波は、専門家の間で「全く想定されなかった」と指摘しています。東電の津波対策は不十分ではないと結論付け、2013年9月9日、その刑事責任を「誰にも問えない」と判断し、被災者や市民団体より告訴・告発された東電幹部や政府関係者42人全員を不起訴処分としました。
省庁縦割り行政と人事慣行の弊害
 本来原子力監督官庁は所轄省庁から完全に分離し、国の独立機関とする必要があります。新しく発足した原子力安全規制委員会、原子力規制庁は、旧原子力安全・保安院が経産省から環境省へと所管の看板と名称を変えたたけで中味は旧態依然のままです。さらに深刻な問題は一向に改善されない省庁縦割り行政の弊害です。原子力規制委員会と原子力規制庁が発足した際、原発に特定されない安全規制の権限、たとえば原発を除く発電所や送電施設については、すべて経産省の管轄に残されています。その結果、今回の事故の直接の原因となった送電施設の安全性については、原子力規制委員会が規制基準を見直す対象とならなかったのです。さらに前述のように官僚組織特有の年次昇進システムと2~3年の定期人事異動によるリスク回避システムと専門家が育ちに難い弊害も改善はされていません。

6.不完全な新たな規制基準
 原子力規制委員会委員長は、2013年7月3日新しい規制基準を策定・公表し、「考え得る対策をすべて織り込んだ、国際的に見ても最高水準のこれ以上ない対策となった」と記者会見で胸を張りました。この新しい基準では、これまでの設計基準の内容が強化されたこと並びに重大事故(シビアアクシデント)対策が新設されたことです。しかしこれらは殆ど設備のハードに関するもので、運転管理者の育成教育訓練や組織的・人的な管理能力の向上、さらに政府官邸・電気事業者・関係各省庁・警察と自衛隊を含めた重大な緊急事態発生時の危機管理体制の確立などソフト面については何ら織り込まれておらず対象外とされています。果してこれで事故の教訓は生かされたといえるのでしょうか?さらに次の重要な規制基準についての見直しは放置されたままなのです。

集中立地規制
 集中立地規制についてアメリカでは、原発1箇所当り原子炉数について3基以下であり、日本も福島の連鎖を教訓として3基以下に抑えるべきであるという集中立地規制が論議されましたが、その導入は見送られました。例えば、全国最多の15基の原子炉が集中する福井県は1基が事故を起こせば、大量の放射能物質を撒き散らせ、周囲の原発にも作業員が近づけなくなり複合リスクを抱えています。県内にある原発は関西電力、大飯1~4号基、高浜1~4号基、美浜1~3号基、日本原発、敦賀1~2号基、日本原研はふげん、もんじゅ2基。合わせて15基に及びます。また周辺には多くの活断層がある上、40年前後の老朽化した原発も含まれています。これで世界一安全な規制基準といえるのでしょうか。
安全設計指針の重大な誤り
 原子力安全委員会による「長期にわたる全交流電源喪失は送電線の復旧または非常交流発電設備の修復が期待できるので考慮する必要はない。」の重大な誤りの見直しはなされていません。
避難計画
 再稼働するなら、万一の事故に備えて避難計画を準備しておくことが最低限必要です。これは安全対策をいかに講じても、想定を超える事態は常に起こりうる。今回の事故が示した手痛い教訓です。ところが新たな規制基準からはそのための避難計画づくりに必要な規制基準は外され、計画づくりはすべて自治体に任せるとしています。再稼働に最低必要とされる避難計画を何ら安全規制基準も示さず自治体に任せるのは、規制基準の作成を放棄したことになります。
テロ防止のための身元確認の義務化
 日本は主要国で唯一、原子力施設で働く労働者の犯歴など素性をチエックする法制度がありません。今でも「日本国内にテロの脅威はないと思い込んでいる」安全神話が生きているのです。原子力規制委員会の検討では、テロ防止や作業員の線量管理の観点から原発で働く下請け企業、4次5次下請けの作業員の身元確認の義務化は電力会社の人員確保の問題から見送られています。これでは原発の安全を無視した本末転倒のご都合主義といえます。放射線量の高い場所の危険な作業は、電力会社や重電メーカーの社員でなく、下請けや孫請けの協力会社が担っており、さらに4次下請け、5次下請けレベルになると実態はよく分からないのです。これで果して原発の安全が確保できるのでしょうか。このご都合主義で一向に改善されない日本の原子力施設のテロ対策や警備についてアメリカ政府は強い懸念を抱いています。

7.今後のとるべき道
 現在福島第1原発では、これから半世紀にわたる原発事故の後始末である困難な廃炉作業への取り組みがはじまっています。これにかかる費用は2兆円あるいはそれ以上といわれています。これまでの廃炉作業の実績としては、アメリカのスリーマイル島原発で行われています。これは原子炉や格納容器が健全な状態の中で燃料デブリと呼ばれる溶け落ちた核燃料の取り出し作業と原発施設の解体です。しかし、福島第1原発のケースでは、損傷または一部が破壊されている原子炉や格納容器から燃料デブリを取り出すというスリーマイル島原発とは比較にならない極めて困難な作業で、しかも1~4号機の複数の原子炉を同時に行う廃炉作業としては、前例のないものです。そして現場は高い放射線量により人が近づくことができないため、ロボットに頼るしかありません。これには当然、日本のあらゆる科学技術の粋を結集しなければ遂行はできません、また途中でのギブアップは国として許されないのです。

 日本は世界で唯一の被曝国であるだけでなく、チェルノブイリ原発事故と共に世界でも史上最悪の原発事故を起こした国です。また廃炉作業を含め日本は原発から完全に撤退することはできないのです。また事故の教訓から真剣に学ぶこともなく、簡単に即原発「ゼロ」を唱えるような無責任な選択は許されません。今日世界では400を超える原子炉が稼働しており、その中で日本が史上最悪の原発事故を起こした、この現実を謙虚に受けとめ反省しなければなりません。
 日本人は果してこの事故から一体何を学んだのか?この教訓から原発の是非の議論ではなく、技術立国の威信をかけて原発の安全性をいかに高めるかに挑戦し、世界のエネルギー問題と地球環境の課題に貢献しなければなりません。これは日本にとって、正に、国家百年の計の瀬戸際にきているのではないでしょうか。

事故の直接原因のフロー (日時は1号機の例を示す)

事故の直接原因のフロー (日時は1号機の例を示す)



ページトップに戻る