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「PM協会設立を振り返って」

副理事長 佐藤 義男 [プロフィール] :3月号

 1998年12月にJPMF(日本プロジェクト・マネジメント・フォーラム)が発足しました。これは、1997年7月から1年半にわたりパイロット事業を経ての日本発のPM協会の誕生でした。私は、パイロット事業開始時には勤めていた外資系コンピュータ会社で「PMP資格取得プログラム」の責任者でした。日本でPMP資格試験を受けるために「PMI東京支部」設立を計画していました。支部は市に一つだけ設立でき、設立には発起人が必要でした。私は(財)エンジニアリング振興協会での研究会に参加したこともあり、発起人を数人の研究会メンバーにお願いし、準備も整っていました。
 この時、前PMAJ理事長の田中さんから「ナショナルPM協会を一緒に立ち上げないか」と協力要請されたのです。聞けば、設立は2年後ということでした。私は会社でのPMP資格取得が先と考えており、「2年は待てない」と答えました。しかし、田中さんの「日本のPM普及のため」という思いに賛同し、パイロット事業に参加したのです。実は、上司の問いかけ「社内のPM研修だけでいけないの?」があり、PMP資格取得は凍結となった背景がありました。
 さて、JPMF発足時の会員数は1200名、賛助法人会員72社でした。会員は従来からのエンジニアリング・建設分野から広がり、IT系、製造系、サービス系、大学・研究機関、等のメンバーが参加しました。JPMF設立の目的は、「プロジェクトマネジメント(PM)能力の総合的強化策の一環として、PMを職業とする者その他PMに関心を有する者を広く結集し、個人ベースでPMの知識を習得し、相互の経験を内外で交流できる場を提供することにより、PM能力の向上を図るとともにPM理論の発展とわが国産業の競争力強化に資すること」でした。実際、PM関係者がより幅広くPMの知識・経験を交流し、研鑽できるようなフォーラムの結成は、日本のPM活動を活発化させました。もしJPMFが設立されなかったら、私はJPMFの後に設立された「PMI日本支部」の運営に参加していたかもしれません。
 2005年には、JPMFとPMCC(プロジェクトマネジメント資格認定センター)が統合して、PMAJ(日本プロジェクトマネジメント協会)が設立されました。この統合により、会員数3000名以上、PM資格認定業務を含む事業規模2.5億円のNPO法人が誕生したのです。つまり、PM標準から教育、PM資格認定、生涯学習、情報交換・人的交流といった、わが国PM実践者を一貫支援する真のナショナルPM協会が出来上がったのです。このPMAJの体制とサービス内容は、JPMF設立趣旨書に記載された姿でした。
 現在、PMAJはJPMF設立から15年を支えてきた人々と、その情熱を引き継いだ人々の思いが込められています。我々PMAJ運営に携わる一同は「日本のPM普及のため」を基本とし、今後の15年を目指したいものです。さらに次世代のPM協会として、若い世代にも「それいいね!」と言われるサービスを提供し、変化に対応するPM手法で企業力向上に寄与すべきであり、実現できると信じています。

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