例会部会
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第182回例会レポート

例会部会 中前 正: 3月号

 日頃、プロジェクトマネジメントに携わっておられる皆様、いかがお過ごしでしょうか。今回は、2014年1月に開催された第182回例会についてレポートいたします。

開催日時: 2014年1月24日(金) 19:00~20:30
テーマ: 「次世代型女性活用で未来創造を築く」
 ~環境整備だけでなく、実践に役立つ女性活用~
講師: 砥上雅夫氏 (講談社) ・平愛美氏 (Linux女子部) ・石川博子氏 (エイチアイ・シス) ・
木下未来氏 (Windows女子部)

 昨今、企業の開発現場や各種機関の研究分野において、多くの女性が活躍しており、新聞やテレビで話題になることも増えています。女性が長く働けるための環境整備は進んでいますが、その一方で、現場特有の悩みや問題点が顕著になるケースもあります。そんな中、女性たちが独自のコミュニティを形成し、勉強会や交流会、コンテストなどを通して、課題解決の糸口を探る動きが見られます。
 今回の例会は、各種プロジェクトの現場における今後の女性活用のあり方を考えるために、理系の女性をターゲットとしたメディア『リケジョ』(講談社)の編集長である砥上雅夫氏、メンバー間でソフトウェアの技術を学び合っている「Linux女子部」の平愛美氏、そして「Windows女子部」の木下未来氏をキーパーソンとして招へいし、前半は3氏の活動紹介、後半は女性起業家の石川博子氏の司会によるパネルディスカッション形式で進行しました。

 最初に、「Linux女子部」の部長である平氏から、コミュニティ発足のきっかけ、活動内容、運営の特徴などの説明がありました。「Linux女子部」は、Linuxを業務で利用しているエンジニアのスキル向上や、資格取得(LPIC)に関する情報交換を目的に、2011年1月に設立。Web上でのつながり(ブログ、SNSなど)に加え、不定期に勉強会を開催しています。同性の仲間が少なく、一人で悩んでしまうことが多い、あるいはスキルアップ、キャリアアップの方法がわからない女性エンジニアが多く集まることを想定して発足しましたが、現在の男女比はほぼ1:1のようです。
 コミュニティの特徴は、平氏いわく、「運営を頑張らない」こと。勉強会は無料開催(会場費もかからない)、スポンサーもつけないので、変な義務感に縛られずに運営を続けられ、それがゆるやかなつながりながらも、メンバーの自発的な勉強意欲を高めることにつながっているそうです。時には女子会(グルメ、カラオケ)など気楽に参加できるイベントも開催しており、楽しい雰囲気の中、お互いが切磋琢磨し合っています。

 続いて、『リケジョ』の砥上氏から、媒体の内容やコンセプトについて説明がありました。『リケジョ』は2010年6月にスタートした、Webサービスと隔月発行のフリーペーパー『Rikejoマガジン』によるメディアです。おもなターゲットは理系進学を考えている女子中高生ですが、就職活動中の女子大学生にも活用されています。コンテンツは、各分野で活躍している先輩女性のインタビューや、女性が多く活躍している業界の紹介、そして理系大学のカリキュラム紹介などで構成されています。
 女性ならではの視点やアイデアがさまざまな業界で重視されるようになり、優秀な女子学生の獲得が、企業にとって急務となっている昨今。特に自動車や電機など大手製造業において、激しい「リケジョ争奪戦」がすでに始まっており、今後ますます女性の活躍の場が増えることが見込まれます。砥上氏は『リケジョ』の運営を通じて、「理系女性が活躍してハッピーな世界を作りたい」と考えているとのことです。

 次に登場したのは、「Windows女子部」の3代目部長である木下氏です。マイクロソフトのテクノロジーを「楽しく学ぶ」ことをコンセプトにして発足。2012年以来、勉強会は25回を数え、他の組織とのコラボイベントも開催しています。
 木下氏からは、自身の経歴と、コミュニティへの関わり方についての説明がありました。「いつか自分で企画したものを自分で作って世の中に提供したい」と思い、まずはプログラマーとして自らのキャリアをスタートさせたが、紆余曲折があり、企画職になれたものの挫折を経験。やりたい事を実現するためにはもっとスキルが必要だが、独学では限界を感じていたところ、「Windows女子部」に出会い、今に至っています。
 コミュニティに参加するメリットとしては、仕事とプライベートの両方に相乗効果が生まれる点を強調。普段の仕事では経験できない難易度の高いプロジェクトや企画案件も、コンテストや勉強会を通じて経験できる。また「知りたい」「学びたい」という意欲のある人の集まりであるゆえ、メンバーからパワーややる気をもらえるのも利点だと述べました。

 3名の講師の説明の後、石川氏の司会によるパネルディスカッション形式で進行しました。講師、そして多くの参加者から、女性が活躍している現場ではどのような課題があり、いかに解決していくべきか、さまざまな質問や意見をいただきました。その詳細は省略しますが、課題としては、産休や育休の取得によって、女性のキャリアアップに悪影響が出ることが多い点、徹夜が発生するようなハードなプロジェクトではどうしても男性中心のメンバー構成になってしまう点などが挙げられました。

 働く女性から見れば、キャリアとプライベートの両立が難しく、企業や経営者の視点に立てば、どのように女性を現場にアサインするか、頭を悩ませることが多いようです。しかし、女性の活躍の場が増え、女性管理職も増えてきた今、プロジェクト現場のあり方を考え、人事制度の改善やフォロー制度の確立など、何らかの施策を打つことが、企業の発展に欠かせなくなってくるのではないでしょうか。

 最後に、砥上氏の発表資料から、理系女性の特長として挙げられた3点を紹介します。このような特長を最大限に活かすにはどうすれば良いか、私もじっくり考えてみたいと思います。

理系女子は、
ロジカルで冷静。感情的にならない。
集中力があり、数字に強い。あきらめない心を持っている。
世界と戦っている。びびらない性格。

参考リンク
Linux女子部 (Google Sites)   リンクはこちら
Windows女子部 (facebook)   リンクはこちら

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