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「エンタテイメント論」(70)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] 
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エンタテイメント論


第2部 エンタテイメント論の本質

明けましておめでとうございます。
読者の皆様の更なるご多幸とご健康をお祈り申し上げます。


 エンタテイメント論の連載を始めて今回で70回目になります。その間、本論をお読み頂いた読者の皆様に厚く御礼申し上げます。

 正直に申し上げます。私は、本論が持つ奥の「深さ」とその範囲の「広さ」に圧倒されながら、辛うじて何とか今回に至っております。つきましては、今後もこの難しいテーマに挑戦して参りますので、どうか読者の皆様の厳しいご批判と温かいご支援を切にお願い申し上げます。

 本連載の最初からお願い申し上げております通り、本論の文章では、その簡潔で明確な表現のため、原則として「敬語」、「敬称」を割愛させて頂いております。この非礼を平にお許し下さい。

6 創造
●創造をテーマとした理由
 筆者は、本論の68号に於いて、日本の「構造的危機」と「日本の凋落」を詳しく説明した。この危機と凋落からの脱出は、国や自治体に頼らず、各人や各企業が自ら「知恵」を出し、「行動」することでしか「道」はない事も力説した。

 その知恵と行動の主体者は勿論「日本国民」である。しかし具体的には、個人の集団である企業がその重要な役割を果たす。その企業とは、大企業だけでなく、日本の企業の99%を占める「中小企業」である。その企業が再生し、発展する事が、日本の再生と発展に繋がる。

 その企業が再生し、発展するには、既存商品や製品の改良、リストラ、コスト削減等の「改善の経営」では達成できない。従来にない新しい商品、製品、サービス等を生み出す「改革の経営(ビジネス・イノベーション)」で初めて達成できる。この事を「経営の歴史」は如実に物語っている。

 その「改革の経営」、即ち「ビジネス・イノベーション」は、新しいビジネスの「発想(思考)」と、それを実現させる「発汗(行動)」によってのみ達成される。それは、換言すれば、「創造」そのモノのことである。筆者は、「創」が発想を、「造」が発汗をそれぞれ意味すると再定義した。本論で「創造」をテーマとした理由は、ここにある。

●発想と発汗の「源」
 しかし発想と発汗は、社長や管理者の掛け声や命令等では達成されない。それは、当該企業の構成員の中に「汗と涙と血」を流す「覚悟」を持った人物がどれだけ多く実存するかで左右される。もっとはっきり言えば、「覚悟」では中途半端である。「喜んで流す」という積極的な姿勢と情熱が不可欠である。

出典:ビジネス・イノベーション integnology.com   出典:
  ビジネス・
  イノベーション
  integnology.com
出典:ビジネス・イノベーション integnology.com

 その姿勢と情熱は、企業を発展させ、自らも生き甲斐を得たいという「夢」を持った人物に実存する。もし企業の「夢」と個人の「夢」が一致した時、その企業も、個人も、「夢」の実現と成功を生み出す物凄いパワーを持つことになる。と同時にその発想と発汗のために「喜んで」、「汗と涙と血」を流すことになる(参照:夢工学)。

●創造は最強の問題解決策
 日本の多くの人は、「創造」と聞くと、何か新しいモノを「発明」することや、「凄いアイデア」を発想することと考える。

 しかし創造とは、その様なモノばかりを意味しない。ごく普通の仕事や生活の中に沢山の創造が存在する。本人が解決せねばならない問題を考えに考えた末、ある方法を考案し又はある事を思い付いて、実行して問題を解決することも創造そのものである。

 創造は、あらゆる問題を解決する方策の中で、最強の問題解決策である。更に創造は、人間だけに与えられたものではない。多くの人が気付いていないだろうが、自然界や宇宙界にも創造が数多く実存するのである(別号で説明予定)

 さて創造の根源は「頭脳」にあることは誰しも知っている。そのために多くの人は、「頭を良くするトレーニング」、「脳を活性化する方法」、「幼児教育と脳の発達」など頭脳に関する本を読み漁る。また「味の素は頭をよくする」、「青魚を食べると頭が活性化する」などの脳栄養学的な指導書にも飛びついて食生活まで変える。これらの本や指導書の中には、どうも科学的根拠が希薄で、行き過ぎた、問題があるものが多いことを本論で既に指摘した。

 更に最近、グローバル化の波に乗って海外の「発想法」が日本で数多く紹介され、各種の経営セミナーで教えられている。また多くの企業でも導入されている。「新しいモノ好きの日本人」の性癖がそうさせたらしい? しかしそれらの発想法の本質や方法論をよく見極めてから紹介や導入をすべきであると痛感している。

●古今東西、数多く存在する発想法
 古今東西、アイデアを作り出す所謂「発想法」は、数多く存在する。以下にそれらの発想法のほんの一部を発想法の名称で例示した。

 それらは、それぞれの発案者が様々な「考え方」や「方法論」で構築したものである。言い換えれば、発案者の数だけ発想法が存在することになる。しかも種類も多い。そのため筆者が勝手に分類して紹介すると誤解を生む可能性があるため、単純な羅列にとどめた。

出典:ブレーン・ストーミング www.novamind.com 出典:ブレーン・ストーミング www.novamind.com
    出典:ブレーン・ストーミング
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筆者の「夢工学式発想法」は、本論の別号で紹介する予定
筆者の「夢工学式発想法」は、本論の別号で紹介する予定

●日本が世界に誇る創造工学
 日本人が発想法に関して忘れてならない事は、世界に先駆けて「発想の原理」を今から約半世紀前に説いた「等価変換理論」が存在した事である。更にそれに続いて、文化人類学の研究の現場から生まれた帰納的発想法の「KJ法」、その逆の演繹的発想法の「NM法」など、日本人による世界に誇れる「発想法(創造工学、創造の技法なども含めて)」が数多くある事である。

 筆者は、等価変換理論を提唱した「市川亀久弥」教授を除き、KJ法の「川喜田二郎」教授とNM法の「中山正和」教授から「直伝」でそれぞれ学んだ。そして日々の仕事や生活の場でそれらを活かした。

 なお筆者が説く「夢工学」に準拠した「夢工学式発想法(上記に例示)」は、これらの先輩教授の説く「創造(発想と発汗)」の基本的考え方と方法論を最も参考にした事を指摘したい。

つづく

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