今月のひとこと
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PBS/EBSからWBS/PERTへ
~「Value Proposition」-顧客価値からスタートする~

オンライン編集長 岩下 幸功 [プロフィール] :10月号

 WBSを作成する場合は、「技術(Engineering)を持った人が、モノである製品(Product)を考えるとき、業務(Work)が結果として発生する」と考えます。技術(Engineering)をEBS (Engineering Breakdown Structure)で示し、製品(Product)をPBS (Product Breakdown Structure)で示します。その間の行列関係(マトリックス)を考えることで、プロセスとしてのWBS (Work Breakdown Structure) を抽出し定義します。


1.PBS/EBSからWBS/PERTへ
 仕事のやり方を抜本的に変える必要がある場合は、ゼロベースで右図のようなフローを辿ります。
最初にお客様に提供する価値(Value Proposition)をプロファイリング(炙り出し)し、その価値を反映したプロジェクト方針(Q/C/D)明確にします。
 プロジェクト方針を実現するためのPBS/EBSを作成し、上記のようにMatrixよりWBSを抽出し定義します。顧客価値を起点に、成果物としての製品(Product)を抽出し、定義し、構造化します。これがPBS (Product Breakdown Structure)です。成果物のアーキテクチャを示します。次にこの顧客価値を実現するためのインプットとしての技術を抽出し、定義し、構造化します。これがEBS (Engineering Breakdown Structure)です。リソースのアーキテクチャを示します。これらアーキテクチャ間のマッピングから、それぞれの位相を整合させた要素が再定義されます。従って作成されたWBSは当然ながら顧客価値(Value Proposition)を実現するものになります。
 次にWBSを細分化(アクティビティ化)し、内容を吟味しながら、PERT(ネットワーク図)を作成し、日程やリソースのアロケーションを行ないます。細分化できないときは、プロジェクトが進んでから細分化しても構いません。大きなプロジェクト、期間の長いプロジェクトは、必要に応じて、TOTAL PERTとSUB PERTに分けて管理します。また、アクティビティ毎に、固定部/変動部、及び重点個所の色分けを行うなどの工夫をしながら、フィードフォワード(feed-forward)管理を徹底することが重要です。

2.WBS/PERTでの管理ポイント
 PBS/EBSからWBS/PERTを作成する目的は、プロジェクトが円滑に進められるよう、有効性(品質、コスト、タイミング)と能率性(トラブル減、スケジュール短縮、コスト減)の向上を図ることです。WBSは仕事の構造を明らかにし、仕事を設計し、仕事を管理することにあります。空間的、階層的な構造を明らかにし、仕事の分割状況が分かるようにします。PERTは仕事の相互関係、順序関係を見えるようにし、誰にも状況が分かるようにすることです。時間的な構造を明らかにし、仕事の受渡し状況が分かるようにします。その作成上の管理ポイントを列記すると下記のようになります。
プロジェクト方針が反映されるように作成する
ゼロベースでWBS/PERTを作成する
下位レベルの業務は必ずその上のレベルの業務に含まれるようにする
大事なポイントの抜けをなくする
複雑な業務は更に下のレベルまでブレークダウンする
責任所在が明確になるまで細分化する
内外作の業務単位が明確になるようにする
目標を正確に表現したものにする
プロジェクトに関係する全ての作業をリストアップする
相互関係が強いものは1ヵ所に集める

3.まとめ
 市場の成熟化にともない、企業間の競争は厳しくなっています。多くの分野で技術の汎用化が進み、消費者から見ると「どの企業から商品を購入しても同じ」という状況になりつつあります。企業は生き残りを掛けて、競合他社とは異なるバリュープロポジションを構築することで、自社の商品を購入する必要性を顧客に訴え続けなければなりません。
この環境においては、経験・専門・言葉の異なる人たちが、定義の違いを乗り越えて、相互触発によるハイブリッドな知恵を生み出し、組織の知的生産性を向上させていくための叉問題解決のための、共通の方法論を持つことが重要だと思います。

以上

(参考文献)
『ナンバーワン企業の法則』(日本経済新聞社)M・トレーシー、F・ウィアセーマ

(参考事例)
「WBS/PERTの導入プロジェクト」をテーマに事例示すと下記のようになります。


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