今月のひとこと
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Matrix/WBS/PERT
~「急がば回れ!」-言葉の定義からスタートする~

オンライン編集長 岩下 幸功 [プロフィール] :9月号

 私のPM講座ではWBS/PERTのワークショップを行います。4~5名の小グループに分かれて、与えられたテーマに基づき、協力しながらWBS/PERTを作成し発表して貰います。この中で、作業がスムーズに進むグループと、中々進まないグループに分かれます。この違いは何故でしょうか? 一つには、それぞれのグループで議論をリードするリーダーが現れるか否かです。もう一つは、議論の中で言葉の定義を共有しているか否かです。
 ワークショップのメンバーは殆どが初対面ですので、それぞれの専門性もバックグラウンドも異なります。日本語で会話しているので通じるものと思っていても、WBS/PERTのような構造化、ネットワーク化の作業では、各自が持っている定義の違いで、微妙に議論が噛み合わなくなり堂々巡りを始めます。そのような場合、下記のようなダイアグラム(Diagram)を示し、言葉の定義からスタートするよう指導します。結果的に、それが「急がば回れ!」という効用を発揮するようです。


 マトリクスダイアグラム(Matrix)、ストラクチャダイアグラム(WBS)、ネットワークダイアグラム(PERT)」の3つの基本ダイアグラムをダイナミックにリンクさせることで、「定義と構造と関係」の最適化を支援することで、プロジェクトの上流工程での分析と設計を行うということです。上流工程での分析と設計をライフサイクルのもっとも重要な工程として認識する必要があります。仕様のエラーは初期の段階で発見し修正しなければ、非常に高くつくことになります。保守工程になって発見された仕様エラーの修正は、分析工程で見つけられた場合に比べ、100倍も高くつくというデータもあります。叉設計時のエラーは数も多く修正コストも大きいので、検出が遅れるとプロジェクトの成否を左右しかねません。検収テスト以後に検出されたエラーのうち64%が上流工程でのエラーであるというデータもあります。
 「商品開発の短ライフサイクル化」「商品自体の高度化・複雑化」に伴い、商品開発現場では開発に携わる関連部門が増大しています。開発・製造・販売・海外といった離れた部門にいる多くの人たちが、それぞれの現場で本来の仕事に従事しながら、一方でプロジェクトチームに所属し、お互いの情報を共有しながら同時並行的・融合的に業務を遂行していくという仕事の進め方が一般的になっています。この環境においては、経験・専門・言葉の異なる人たちが、定義の違いを乗り越えて、相互触発によるハイブリッドな知恵を生み出し、組織の知的生産性を向上させていくための叉問題解決のための、共通の方法論を持つことが重要だと思います。

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