川腰 浩文
1983年東洋エンジニアリング株式会社入社。
管理部門、子会社出向、営業部門を経て
2008年広報室長、2011年より現職。
先号
次号
「PMAJに期待するもの」
東洋エンジニアリング株式会社 渉外部長 川腰 浩文:
[プロフィール]
:9月号
私の属する渉外部は官庁あるいは外部団体との調整・折衝を所掌とし、PMAJの窓口部門としての役割を持つ。今回の機会を利用してPMAJへの期待について一言申し述べたい。
社会や企業は持続的発展を目指して、さまざまな事業開発や改革が必要とされている。これらの事業をどのように遂行し、新たな価値を創出していくかが課題となる。それを成就するためには、プロジェクトマネジメント実践が不可欠であろう。その中でENAA/PMAJによる日本発のPM標準の開発・普及には期待が多いものと考える。
専業エンジニアリング会社は、創立当初からプロジェクトマネジメントを生業とし、欧米から学び、自社でマネジメント手法を発展させてきた。個別プロジェクトの実施に関しては、契約上で客先や自社の手順書を使用しプロジェクトをコントロールしていく。近年のプロジェクトは大型化、複雑化、グローバル化の一途をたどっており、アライアンス(協業)型プロジェクトが増えている。アライアンス型プロジェクトでは、他社のプロジェクトマネジメントシステムとの互換性や整合性のとれたプロジェクトマネジメントが要求される。また、ジョイントベンチャーやコンソーシアムを構成する企業に対する透明性・説明責任も求められる。成功裏にプロジェクトを完遂するためには、その形態が如何様でも、プロジェクトマネジメントを基本に則って正しく進めることであり、手順・手法に対して継続的な改善が進められている。
この様にプロジェクトマネジメントは会社の文化であるが、若手・中堅人材をOn Job Training (OJT)で育成する中でPM標準を確りと抑えることも必要であり外部での教育も効果的である。P2Mはプログラムマネジメントを初めとしてプロジェクトの創成からプロジェクトファイナンス、個別マネジメント、関係性、バリュー、コミュニケーションマネジメント等々と幅広く、企業の多くの組織にも共通に実践が可能な標準(指南書)となっていると思う。また、P2Mは、for Enterprise Innovationと題されているように個別プロジェクトの遂行のみならず事業改革にも活用できる。プログラムマネジメントは既に活用されている部分も多い。「ありのままの姿」を広い視野で捉え、「あるべき姿」に変え全体使命(ミッション)を作り、これを出発点としてここから基本的な枠組みや改革のプログラムを構築していく、目的を実現するためのロードマップを作成し実施して行く等である。
PMAJは、P2Mと言う財産を持ち、日本最大のPMシンポジウムを企画運営し、PMSプログラム講習会、各種セミナー、例会、PMBOK
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PMP
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試験対応講座等々、また、産学の教育も含め幅広くPMの普及を進めている。これら活動の基本は会員によるボランティアである。ボランティアの活動に敬意を表するが、新しいメンバーが増えて行かないと続かない。参加するためには魅力が必要である。多くの方々はPMの普及に高い意思を持ち活動の中での自己研鑽を期待している。これらをPMAJと各活動をけん引するリーダーがボランティアを理解し活動を活発にして行かなければと考える。
PMAJとしての使命は大きい。更に活動の範囲を内外に広げて行ってほしいと思う次第である。