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2004年に全米競争力評議会でまとめられた提起書では、製品が世の中に出てから市場の25%を達成するまでに費やした年(=スピード)を記載しているが、自動車が55年かかっているのに対し、インターネットはわずか7年で達成していることがわかる。 |
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同評議会では、「イノベーション」とは、市場と顧客価値を作っていくものであり、チームワークが不可欠となると言っている。 |
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ヨーゼフ・シューペンターはオーストリアの経済学者で、いろいろなものを組み合わせて、新しいものを作るのが「イノベーション」であると言っている。 |
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iPodやiPhoneは、既存のものを組み合わせて製品化し新しい価値を生み出した「ビジネスモデルイノベーション」と言える。 |
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日本では1958年に経済白書のなかで「イノベーション」が「技術革新」と訳されたが、「イノベーション」は、もう技術的な所謂「テクニカルイノベーション」ではなく、品質についても使われていて世の中に普及する新しい概念を全般に指す言葉となっている。 |
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2008年にエリックリースがマネジメント手法「リーンスタートアップ」を発表し、この中で、① 顧客のニーズは健在的なものと潜在的なものがある為、製品を市場に出してみないとわからない、② 製品開発だけでなく顧客開発が重要である、③ 顧客を見つけ仮説で作り反応を見る、④ 金をかけずに仮説を立てて作ってみる、ということが重要と提唱している。これには「アジャイル」がフィットする。 |
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計画駆動型開発(=ウォーターフォール)は、顧客要求が予め明確で開発者側に正確に伝わり、変更が無く、プロジェクト計画が予定通り進み、前工程に間違えが無い、という前提で進められるが、「ビジネスモデルイノベーション」においては、元となる要求がなかなか決まらない、開発者側に伝わらない等のため、この計画駆動型開発では、68%が失敗プロジェクトになっている。即ち、「ウォーターフォール」は「イノベーション」に向いていないのである。 |
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ピータードラッガーは「企業の目的は顧客価値の創造で、顧客の欲求を満足させるもの」ととらえている。顧客の欲求が顕在化している場合は「マーケティング」であり、顕在化していなければ「イノベーション」である。 |
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トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏は、米国に行った際にスーパーマーケットを見て、ジャストインタイムを思いついた。それを形にしたのが、大野耐一氏である。今まで、まとまった本はなかなか発行されなかったが、「トヨタウェイ」で明確になった。「トヨタウェイ」の2本柱が「知恵と改善」 (Continuous Improve)と「人間性尊重」 (Respect for People)である。 |
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一橋大学名誉教授の野中郁次郎、竹内弘高が1986年のハーバード・ビジネス・レビューに載せた論文「新新製品開発ゲーム」で、高いパフォーマンスを上げるチームは、「自己組織的チーム」であるとのべている。「自己組織的チーム」はラグビーの「スクラム」と同じで、「アジャイル」の「スクラム」はこの論文から引用されたもの。即ち「アジャイル」は日本発である。 |
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ジムハイスミス氏が「アジャイルプロジェクトマネジメント」を提唱している。以降にそのキーポイントを紹介する。 |
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「アジャイル」と「ウォーターフォール」の違いは、「アジャイル」は価値の高いものがあったら最優先でやるという点である。「アジャイル」では、制約条件よりも価値を大切にする。 |
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プロジェクト立ち上げ時に作成する「アジャイル憲章」はできるだけ簡潔に作る。又、エレベータに乗っている時間内で読めるようなステートメント(=エレベーターステートメント)の作成に心がける。 |
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「ユーザ要求」は、ユーザの視点にたった簡潔な表現の「ユーザーストーリー」にまとめる。
(=アジャイルのXP (エクストリームプログラミング) という手法) |
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「ユーザ要求」を「プロダクトバックログ」に入れ、優先順位を付ける。「アジャイル」は優先順位で物を決める。 |
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「プロダクトロードマップ」はオンラインショッピングでの行動と同じである。これは、ユーザ側が準備する。(メンバーになるとか。)プロセスがどのように流れるかを明記する。 |
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時間を区切ってその間(=反復期間)で物を作り、それをいくつか組み合わせた形で「リリース計画」を策定する。 |
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「反復計画」は、2~4週分の「ユーザーストーリー」を切りだして行う。 |
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進捗管理は「デイリースタンドアップ」で行う。進捗は壁に貼って、皆がわかるようにする。作業は、タイムボックス化する。 |
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「反復レビュー」において、「出来ようが出来まいが、時間が来たら終わる。」というのが、「アジャイル」のルール。反復期間中は変更を認めない。オーバーフローしないよう、優先度の高いものから行う。 |
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「反復レトロスペクティブ」では、反復期間中のことを振り返る。アジャイルでは反復が終わったら振り返る。(Continuous Improvement) |
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「アジャイル(スクラム)チームの役割」で、「アジャイルPM」は開発そのものには責任を負わない。 |