伝え方が9割
(佐々木圭一著、ダイヤモンド社、2013年4月24日発行、第2刷、208ページ、1,400円+税)
デニマルさん: 8月号
紹介の本は、既に33万部も売れているという。アマゾンランキングで確認すると、売れ筋の部類(22位で147日間100位以内にある)に入る。因みに、以前紹介した「海賊とよばれた男 上」(百田尚樹著)が332日間100位以内であり、「7つの習慣―成功には原則があった!」(S. コヴィー著、川西 茂訳)が2227日間100位以内というのもある。さて、この本の題名は何の本か全く内容が分からない、というより意図的にそうしたタイトルを付けてある。著者は、コピーライター・作詞家・大学非常勤講師である。大学卒業後、博報堂に入社しコピーライターとしてスタートしたが、仕事に馴染めなかった。その時、伝え方には技術があることを発見したという。その体験と技術をまとめたものが、この本である。著者は、専門のキャッチコピーの分野で数々の賞を受賞し、アジアで最も成功した一人である。郷ひろみ「LIFE」の作詞やMr.Children「君が好き」のキャッチコピーは有名である。
この本の中味は何か ―― 伝え方のノウハウ本? ――
この本は、著者がコピーライターとして最初に悩んでいた時に発見したという「伝え方の技術」を纏めている。ここでいう「伝え方」とは、言葉であり表現力である。同じことを言っているのに、相手に上手く伝えられないことは多々ある。親が子供を叱る時に「これはダメ!」「グズグズしないで!」というのを、『こうするともっと良くなるよ』『根気強いのね』と言い換えると状況が変わる。この本には、こうした伝える技術が満載されている。
伝え方の技術とは何か ―― 「ノー」を「イエス」に変える? ――
著者は、伝え方の基本に言葉があるので、その言葉の本質を究める必要があるという。言葉で相手の心を動かすには、相手の立場になって考えて表現することが肝心である。「心を動かすコトバには、法則がある」と書いている。その法則に従えば、「ノー」を「イエス」に変えることが可能だと断言している。先の親が子供を叱る時に言うネガティブな表現からポジティブな表現に変える技術や、思ったことを直ぐに言葉にしない訓練も必要である。
伝え方は言葉の表現力か ―― 「強い言葉」と「弱い言葉」? ――
著者は、『「ノー」を「イエス」に変える技術の答えは、相手の中にある』と書いている。伝える言葉は、自分だけなく相手との共同作業である認識が基本にあるという。その言葉に「強い言葉」と「弱い言葉」があるので、状況に応じて使い分けなければならない。「強い言葉」とは、人の感情を動かすエネルギーとなるコトバであると著者は強調している。言葉の基本的な使い方や感動を与える言葉の技術を身に付けたい方、参考になる本である。
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