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わが社とPMAJへの期待

月島機械株式会社 調達部 山谷 隆常: [プロフィール] :5月号

 当社は、1905年の創業以来100有余年、産業の基盤となる装置・プラント設備や、日常生活に欠かせない上下水道設備、さらには環境保全設備など、常に社会とそこに暮らす人々の想いに「技術」をもって応えてまいりました。「最良の技術をもって産業の発展と環境保全に寄与し、社会に貢献する」ということを企業理念のもと、これまでの技術をより進化させていくことに、日夜研鑽しております。
 さて、「技術」というキーワードですが、当社には、「ものづくり」と「プラントまとめ仕事」、の両面があります。
 冒頭に 100有余年の歴史と申し上げましたが、創業当時は、PM(プロジェクトマネージメント)の明確な概念は無かったと思います。それが、低コスト、短納期の要求、まとめ仕事の範囲の拡大、ステークホルダの増加と共に対応する社内組織、人員に求められるパフォーマンスも変化し、自然発生的にプロジェクト組織の形成・運営が始まりました。
 同時に、PMに興味を持つ社員も増え、PM資格の取得が盛んになりました。
 さて、「ものづくり」と「プラントまとめ仕事」とでは、後者の方が、まとめ仕事という事で、PMと結びつくイメージがありますが、当社の場合の「ものづくり」は、受注生産型であり、期間限定でお客様の満足を得られる製品を造らねばなりません。また、それらの製品は、プラントまとめ仕事としても当社が受注したプラント設備、あるいはお客様のまとめられるプラント設備の一部に設置されることも多く、単体製品のものづくりの仕事であっても、PMのセンスが要求されます。事実、単体製品の設計に携わる社員の中にもPM資格を取得しているメンバーもいます。
 最近は、欧米化した日本企業も多いですが、日本企業の伝統は“お客様は神様”的な指向があると思います。そのため、明確な線引きを控え、「協議する」、「調整する」という言葉が多いのが、日本国内ビジネスの特徴だと思います。
 一方、PMの業務遂行においては、ステークホルダとの間にビジネス上の“柵を設ける”事が要求されますが、欧米企業とのビジネスにおいてもこの指向は必須だと思います。
 日本企業の伝統である“お客様は神様”的な業務の良さと、欧米企業の伝統である“柵を設ける”的な業務の良さの指向の両方をこなすことは、曖昧文化の根付いた日本人にとっては、非常に難しいことですが、日本型PM技術の真骨頂であると思います。
 当社の場合、新興国での受注、製作、調達機会が増えていますが、異文化の度合いが強い国であればあるほどPM技術は役に立つと思います。
 加えて、お客様のニーズが多様化し、様々な意味でコストパフォーマンスのよい「ものづくり」と「プラントまとめ仕事」を行う事が求められる中、ベストソリューションを引き出すツールとしてPM技術は必要であると思います。
 今後は、これまで培った「ものづくり」、「プラントまとめ仕事」の技術にPM技術を融合しながら、設備特性、お客様のニーズに対して、最適・最良なものを提案・提供できる「ベストマッチング」の技術を醸成できればと思います。そして、PM技術のみならず、幅広い視点で貴会とのつながりを継続できればと思います。

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