P2M研究会
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関西モデルに学ぶ
‐ The learning community ‐

イーストタスク(株) 渡部 寿春: 3月号

PMAJは、会員向けに様々な活動機会を提供している。PMシンポジウムや例会、各種SIGに多くの方が参加している。参加している会員の方々は何故、PMAJの活動を継続しているのか。活動を通じてどんなメリットを享受しているのか。これまで多くの人に聞いてみた。資格継続や仕事に役立てるためとか、単純に面白いからとか、成長の目安にしているとか、答えは様々だった。自分が初めて活動に参加したのは2011年4月で、東京P2M研究会の定例会である。丁度、東日本大震災の後で、震災復興をテーマにビジネスモデルの構築が始まっていた。動機は、PMS試験に合格し、継続学習ポイントの対象となる標準的な活動と思ったためだ。その後、例会KP、PMシンポジウムと増えた。
 今月で2年程続いたことになる。その間、PMRの取得もあり、忙しい思いを感じながらも、それぞれの活動が連携し充実した会員生活を送れたと思う。例会KPでは、今求められる講師の方を推薦・選定・依頼し講演を行って頂く。P2M研究会では、自分の課題、テーマを定めて調べたり、書いたり、発表したりして考えをまとめ成果物を作る。PMシンポジウムでは、正にPMの実践トレーニングとしてイベントの企画/運営を行う。10年以上も継続されている方も多くいる中、私ごときにはおこがましいが、PMの実務家を育てる充実したラーニングコミュニティーと言えるのではないかと思う。今回は、P2M研究会の活動としては最も活発な関西のコミュニティーから、運営のスタイルと、その価値について学びたいと思います。

関西P2M研究会で5年以上活動された、林健太郎様に執筆頂いた「関西P2M実践事例研究会におけるコミュニティー運営と価値」から抜粋します。

1. 関西P2M実践事例研究会の発足と活動スタイル

2006年(平成18年)4月に発足した関西P2M実践事例研究会は、P2Mの理念への理解を異文化交流を通して深め、具体的な実践事例として集積することを目的として、小石原主査、松谷事務局のもとで25名ほどの様々な企業の実務者の参加を得て活動が始まった。研究会の狙いは、次の3つである。
P2M手法で応用・活用できる実践事例を調査研究すること
P2M実践事例の普及促進を図っていくこと
研究会メンバーのP2M知識レベルの底上げを図ること
発足初年度は、P2M資格保有者がほとんどであったが、皆P2Mの概念を実務に活かす状況にあるとはいえず、試行錯誤の毎日の中でどう活用したらいいのか悩んでいた。それを解決したいという思いから研究テーマが5つ集まり、それぞれのテーマを研究する分科会が原則月に一度と、2か月に一度の全体会、そして年度の折り返し時点の10月ごろに1泊2日の合宿を開催するスタイルが定着していった。          <中略>

2. 5年間の研究テーマの概要

初年度は、小石原主査肝いりの「実践力形成」に関するテーマを筆頭に、当時一般社会に「プロジェクト」という言葉を浸透させたNHKの番組の「プロジェクトX」に関するテーマ、P2Mの真髄である「プログラム」の概念を実務において腹落ちさせたいという欲求からなるテーマや複数のプロジェクト群をマネジメントする実態を明らかにするテーマなどが設定され、各分科会リーダーのもとで試行錯誤が始まった。東京とは違い、PMAJの事務所や会議室もない大阪では、会合は参加者の所属する企業の会議室で行われることが多く、平日の夜は業務で都合のつかないメンバーも多いことから、週末に会合を行うことも多かった。しかし、自主的に参加しているメンバーには、そうしてでも実務にP2Mを何とか活かしたい、という思いがあったと思う。そうはいっても、なかなか計画通りには研究ははかどらないもので、10月の合宿において、東京から来られる渡辺貢成さんが最新の研究成果を基調講演として披露していただくことに感化され、皆が競い合うように春の成果まとめまでネジを巻きなおすのが通例となった。年度末の報告書原稿作成は、非常に高いハードルであったが、それがあるからこそ一定の研究レベルが保てたと思う。

<中略>

3. 関西におけるコミュニティー運営の特徴

最後に、なぜこの5年間の活動が継続できたのかについて私見を述べる。東京と違って、関西では例会も手作りで、会員による「奉仕」によって運営されている。なぜ、貴重な時間を使って奉仕するのかというと、やはりここでしか得られないメリットがあるからに他ならない。P2M、特にプログラムの概念に魅力を感じて集う研究会参加者は、様々な業種の企業の実務において重要な役割を担われている方々である。P2Mという言語で、自らが抱える悩みや課題を少し、実務から離れて研究会の仲間と共有すると、いままで気づかなかったものが見えてくる感覚がある。その根本にあるのは、やはりプログラムの概念の難しさではないだろうか。PMAJが開催するシンポジウムやフォーラム、各種セミナーや例会などで、情報は入手できても、自分の実務に照らして腹落ちするには相当のQ & Aの積み重ねが必要だと思う。私にとってそれを可能にしてくれたのが、研究会であった。分科会や全体会の後や合宿での懇親会で、それは加速する。この「ノミニケーションの場」が果たす役割は非常に大きく、いつも楽しそうにその「場」を企画していただいた事務局の松谷さんにはこの場をかりて感謝したい。

P2M資格者の数では圧倒的に多い東京圏でありながら、関西ほどの活動には至っていません。原因は様々考えられるものの、林様に指摘頂いた「自分の実務に照らして腹落ちするには相当のQ & Aの積み重ねが必要だと思う」はP2M研究会の必要性を突いているように思います。関西モデルを参考に東京の向上を図りたいと思いました。
以上
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