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「プロジェクト」を知る

千葉工業大学 大土 賢一 [プロフィール] :11月号

―振り返り―
 千葉工業大学のプロジェクトマネジメント学科に在籍し、早くも3年半が経ちました。最近になって、ようやくプロジェクトマネジメントについて学んでいることを実感しているところです。

―プロジェクトマネジメント学科への入学―
 当時、工業高校生だった私は、周りが就職していく様子を受けながらも、「まだ働きたくない」「遊びたい」とふわふわした状態で大学進学を決心しました。率直なところ、プロジェクトマネジメントについても全く理解がない状態での入学でした。
 入学してみると想像とは違い、グループ学習といった形の講義が多く、コミュニケーションを重視したものが多かったような気がします。しかしながら、その当時を深く印象づける講義はなく、ぼんやりとした時間を過ごしていました。

―3年次の仮想プロジェクト実施―
 高校から触れていたということで元々コンピュータの世界に興味があり、3年次からソフトウェア開発系の研究室に配属されました。また、ソフトウェア開発系も含む学科全体での仮想プロジェクト演習が行われたのもこの時期です。
 演習では、ソフトウェア開発プロジェクトにおける現状分析を含めた「要件定義」から、「計画」「設計」「実装」「テスト」「運用」という一連の工程を行いました。また、ただ工程を進んでいくだけではなくユーザと正式にアポイントメントを取り、レビューを実施して承認を得ることができなければ次の工程へ取り組むことができないウォータフォール・モデルという開発工程でプロジェクトを実施しました。
 良くも悪くも、私はこのプロジェクトでプロジェクト・マネジャーとして指揮を執ることになりました。プロジェクト立ち上げ当初は、前述の様に何をすべきか把握しておらず、的確な指示を出せずプロジェクトを混乱させた張本人でもありました。PMBOKをしっかりと手に取ったのもこの時で、WBS技法用いたスコープの洗い出し・ガントチャートを使用したスケジュール作成・コスト管理など、プロジェクトマネジメントのほんの一部分なのかもしれませんが、マネジメントすることの難しさを体感しました。

―就職活動への繋がり―
 そのままIT業界へ志望していたということもあって、上記の仮想プロジェクトの経験は大変面接で活きました。IT業界へ志望するのは情報系を学んできた学生が多いのはもちろんのこと、プログラミングを大いにやってきた学生が沢山で引け目を感じていたのですが、そんなことはなく、むしろそのプロジェクトでどんな作業を行ったのかという具体的なところに興味を持っていただけました。この時初めて、今までプロジェクトマネジメントを学んできたのだなと実感しました。

―実際の現場でのプロジェクト―
 現在、内定先の企業でアルバイトとしてプロジェクトに携わっていますが、学校で学んできたプロジェクトマネジメントはほんの部分的なものだと実感しています。社内では複数のプロジェクトが並行して動いており、それぞれの社員が複数のプロジェクトを請け負い、さらに上流工程を担当している企業や協力会社との開発など、自分の見えないところで様々な方がプロジェクトに携わっていることに圧倒されました。
 やはりといっては何ですが、ソフトウェア開発プロジェクトは短納期化や要求の変更に対応するためにアジャイルな開発が行われているのも実感します。

―「わからない」という恐怖―
 余談ですが、プロジェクトにおいて「わからない」ということほど怖いものはありません。ITは技術を扱うものが多く、開発においてプロジェクト・リーダーから説明を要求されたりするのですが、自身の知識の範囲が狭かったり暗黙知として感覚で捉えている面があったりでシームレスな意思疎通ができないことが多々あります。この曖昧な意思疎通が、後の手戻りを引き起こしかねません。
 プロジェクトを遂行することにおいて、プロジェクト・マネジャーだけがプロジェクトの一連の情報を把握するだけでなく、プロジェクト・メンバ、さらにはプロジェクトに関わるすべてのステークホルダーも同様に情報を共有することが不可欠だと感じます。

―最後に―
 正直なところ、私はプロジェクトマネジメントについて知ることももちろんなのですが、今扱われているITの技術だったり製品だったりそのようなものに好奇心が向くことが多いです。何れは、技術的に詳しくなり要件の取り決めの責任を持つ立場になりたいという夢があります。
 しかしながら、「プロジェクト」に携わっていく一員としてプロジェクトマネジメントへの理解を深めることは大切だと感じます。プロジェクトマネジメントへの理解は、プロジェクト・マネジャーを助け、プロジェクトを成功に導く大きな一歩ではないでしょうか。

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