協会理事コーナー
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「身近で感じたプログラムマネジメント」

田口 祥和 [プロフィール] :6月号

本年も半年が過ぎようとしています。
みなさんは年始めに抱負や目標を掲げられ、折り返しの今頃は、きちんと中間評価され、達成へ向けて着実にマネジメントされていることでしょう。私などは、思っている以上の良いことが待っているのが新年、という信念ですませ、あんなこと、こんなことがあったよい1年だったと年末に反省のない振り返りをするばかりです。

プロジェクトマネジメント風でない、そんな私が協会のイベントに参加し始めたのは世紀の変わり目あたり。そのとき見聞きした他業界のプロジェクトマネジメントは、はるか前方を走っていて、何周も遅れているIT業界の私には、どれもが新鮮で、すべてがお手本でした。さらに、協会で出会えた先輩諸氏は、世代断絶となることを大いに危惧されておられ、自分たちが作り上げてきたよきことを次世代になんとか伝承しなくては、という高い使命感を持たれていました。

5年程前のこと。プロジェクトマネジメント手法を自らの生き方に応用する、という場面で、「目標は紙に書くと実現する」と説かれ、そのとき掲げたのが「日本の田園風景の維持に資する」。具体策は稲作です。田んぼで米が作られている、というのは食糧自給や原風景云々とかだけでなく、田植えの賑わい、蛙の大合唱、炎天下の一本足かかし、実るほど頭を垂れる稲穂、稲刈りと跡に広がる切り株たち、そこでの左義長、といった一連のプロセスが、よき日本の構成要素だと思えたからです。とはいえ、田畑(物的資源)を持てる農家資格は我が家にあっても、家人(人的資源)には代々、ノウハウやスキルがなくて、休耕田のままが続いていました。

そして今年、2枚の田で米作りが復活(年初のベースラインになかったこと)です。強力な協力者への外部委託で、実りの秋を期限とした米作プロジェクト2012が立ち上がりました。水が張られ鏡面のように光輝く田圃に、まだ小さいけど緑のしっかりした苗が育ち始めたのを目にすると、残り4枚ある田も来年から少しずつでいいから復元、という継続性がチラチラしてきて、田園風景プログラムの始動を感じます。
こういうのも、重くなく、軽く軽くの、しなやかなP2M、と勝手に解釈し、身近で実感しています。それと、協会に集う諸先輩が伝えたかったのは実はプログラムマネジメントだったのだと今さらながら、思いを馳せています。

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