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PMの3原則 |
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成果物をつくるマネジメント 先月は構想計画の話をしました。今月もその続きをします。 |
2.1) |
概念のつくり方を知っていますか |
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あなたは競合者に勝つ戦略をどのようにしてつくるか考えたことがありますか? |
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① |
モノつくり技術だから、技術で勝つ |
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② |
安いものをつくって、競合者に勝つ |
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③ |
早く商品を提供する |
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④ |
競合者の強いところ、弱いところを研究し、対策を立てる |
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⑤ |
お客さまが欲しがっているものを素早く提供する |
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あなたは何を選びますか。
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先月JUAS(日本情報システムユーザー協会)の研修会に参加しました。日本企業で活躍中の韓国人講師が日本人と韓国人の相違を話してくれました。「韓国人は新しがり屋で、新しいものを取り入れることに挑戦している。失敗しても周囲がそれを許してくれる環境がある。それに引き換え、日本人は内向きで、何か始める時細かいことから始める」と云いました。「自分たちは大きな枠組みから始めます」と。
私は苦笑いしました。常々感じていることだからです。前回も書きましたが、仕事も犯人探しも同じで、犯人を絞り込んでいくことが仕事です。制限された時間、人材、予算の中で仕事をします。重要なことを絞り込むのが仕事で、それを誰にでもわかりやすく、キーワードを論理的に組み立てるのが概念の構想です。絞込みをし、関係者が納得することで、その後次々とアイデアが生まれてきます。
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P2Mでは構想計画の初めは「ミッションプロファイリング」といいます。プロファイリングとは犯人探しともいいます。エンジニアリングでは概念をつくり上げることをいいます。何をすればこのプロジェクトが成功するかという枠組みを考えることが最初の仕事です。
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日本人は概念構築が苦手か?
ところが日本人は、この概念をつくるというのが苦手なようです。同時に戦略を描くことも得意ではありません。何故かわかりますか。
日本人社会は基本的に性善説で成り立っています。「和をもって、尊しとなす」という精神があります。戦略で人を陥れることが苦手です。性悪説の欧米人に勝てないのです。私たちはグローバル社会で勝つことを訓練していません。訓練を受けていないので交渉ごとが下手です。その典型が日本人観光客で、海外で最高に金払いのよいお客様です。
何故、交渉が下手かわかりますか。日本人は相手の指値を清水の舞台から飛び降りた気持ちで半分に値切ります。ここで勝負が決まります。簡単な原理です。アラブの市場では\10,000のものは日本人に対し2倍以上吹っかけてきます。あなたはその半値を指値します。それでも日本国内の価格より安いからです。結局は相手と当方の指値の真ん中で折り合います。購入希望額\10,000なら\0から出発しないと駄目だということになります。ただし、これはアラブの国でのお話しです。国内でそのようなビジネスをしたら店からつまみ出されますから用心してください。
さて、話をグローバルビジネスに切り替えます。シビヤーな国際競争に打ち勝つには、構想計画の策定が最重要課題です。グローバルビジネスは多くのリスクの中で成立します。しかし、構想計画は難しく専門家でないとつくれません。プロジェクトマネジャーができなくてもかまいません。社内の専門部門にやらせるか、或いはコンサルタントにやらせることもできます。しかし構想計画はビジネスの基本ですから、時間をかけて、金を掛けて正しく行う必要があります。米国では通常実費償還型(掛かった費用は全て支払う型)の契約で実施します。最初に手を抜くと、後段で節約した数倍の金を使う羽目になるからです。
1990年に日本の製造業は世界の頂点を極めました。ここから日本の停滞が始まりました。米国企業は1993年ころから変化の激しい新しい時代に突入するための準備として、組織構造を変える運動を始めました。この計画はBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)といって業務のやり方を改革する計画を立てました。このとき彼等は従来モノで管理(アトム管理)していたやり方に対し、電子情報による管理(ビット管理)に切り替える構想計画をつくり、経営の刷新を行いました。経営者がデジタル技術の効果を自ら勉強して、これを経営に取り入れグローバル競争力のある会社つくりをしました。
同じ時期に日本企業の経営者はITが苦手であるとの理由でITプロジェクトの要求を社内のIT専門家に委ね、構想計画を行わないで、IT化を実施してきました。構想計画をしないので、仕事を進めながら変更をしていくという世界で類を見ない、日本流エンジニアリングを行ってきました。
私はP2M普及の仕事をしながら日本企業の主だったITエンジニアに質問を続けてきましたが、皆さん自分たちの正当性を主張されています。理由はIT技術は日進月歩で変化し、構想計画を実施している間にも進歩するので、意味がないという理由でした。
しかし、経産省は構想計画を実施しない弊害に気がつき、超上流を実施することをJUASに示唆し、IT経営ロードマップ2008を発表しました。やっと構想計画をすることが理解されましたが、現実はなかなか難しいようです。それは構想計画、ビジネスモデル開発、続いて業務改革という厄介な問題を解決する必要があるからです。従ってITを導入しても業務改革を実施する能力に欠けていると、腕力で困難な業務改革ができません。このままでは日本企業の没落が見えています。
もし、疑問を感じられる方は昨年10月に出版された山本哲朗著「経営活力を高めるビジネスプロセス」革新の極意を読んでください。因みにサムスンは1995年から組織改革を徹底し、日本企業が手の届かないレベルまで競争力を高めました。サムスンは誠に怖い会社で、日本製品が市場に出ると、たちどころに分解し、価格が安く、現地のニーズを取り入れた商品を素早く市場に出します。「技術で勝っても、真似されて」素早く市場に出すので日本企業の入り込む余地がありません。彼等は世界中の顧客関係性を確立しており、ブラジルで携帯電話の基準が日本方式に決まるや、日本企業より先に市場を席巻してしまいます。今やスマートフォンはアップルを量的に上回る勢いです。
話は長くなりましたが、経営者は逃げずに構想計画で、わが社が競争に勝つことを1年中考えてください。ITシステムを導入しても、インプットをする人が現場の職員では、現場が要求するデータしかアウトプットしないことを肝に銘じて理解してください。
経営者は構想計画をつくる専門家を養成してください。そして社員の誰もがわかる、「ビジョン・使命・目的・目標」を決めてください。そして日本再生の先陣を切ってください。
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2.2) |
グローバル社会で大切な「リーゾナブル」とは何か |
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事例:2・4・2・3の法則
ITプロジェクトでは「2・4・2・3の法則」というのがあるようです。2の量で契約が決まるが、発注者は2ではなく4欲しいという。お金をくれずに量を増やされては大変と受注者のプロジェクトマネジャーは必死になって2まで要求を戻す。すると顧客の現場の利用者は「俺はこれが欲しいと言い出し、俺は2なんて約束していない」とダダをこねる。何故日本では金も払わずに追加を要求するのが当然だと考えるのか不思議です。では、あなたは海外で堂々とこのような要求ができますか?何故日本では発注者に特権があると考えるのでしょうか。
私が申し上げたい基本とは「リーゾナブル」という発想です。ビジネスは世界中で毎日行われており、悪い習慣や、よい習慣もありましたが、長年かかって経験的に両者にとって都合の良い形に収斂し、皆が正しいと思うようになります。「リーゾナブル」でないと結局発注者のあなたも、あなたの会社も被害者になることを多くの人々が理解しだしたからです。
大切なことをいいます。簡単な原理です。要求が増えれば人手が掛かり、時間がかかり、経費がかかります。受注者は打ち出の小槌を持っていませんから赤字になります。でも受注者の上司は赤字を認めません。安い製品に切り替えます。変更すると全体の辻褄が合わなくなり、システムは複雑化し、テストの費用が過大化します。従ってメンテナンスに金がかかります。システムトラブルが発生しやすい環境を当初から組み込むことになります。結果として、発注者はシステム維持の生涯コストを上げることで、収益を低下させます。受注者は追加費用で収益が圧迫し、プロジェクト関係者の負担が多くなり、体調不調者、メンタルヘルスケアが増えています。これでは双方大損となります。
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欧米では契約を重視し、発注者と受注者は夫々の役割があり、お互い神の前に平等であるとの発想で契約を結びます。そしてWin/Winの関係が双方に最大の利益をもたらすという確率的な事実を理解して行動しています。日本だけが、世界に通用しない商習慣に依存していると世界の孤児になることが見えています。
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今、日本が世界の各地で敗退しています。仕事をやさしくして、よい仕事をする代わりに、無理な要求を呑まされ、金銭的にも、作業時間的にも過剰の負担が掛かり、会社も個人も疲弊しているからです。
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いずれ日本人も海外の仕事が増えることになります。大企業でも国内では食べていけません。今からグローバルで通用する基本を身につけておく必要があります。そのためにオンラインでこの記事を書いています。 |