研究会報告コーナー
先号

「環境ビジネスプロジェクト調査研究委員会」報告後の環境変化

デリア食品株式会社 藤澤 正則 [プロフィール] :1月号

 このリレー随想も今回で、最後となります。
 現在、事業環境の変化に適応するしくみづくりのプログラム・プロジェクトや人材育成に関わっているが、2010年10月から2011年3月に縁があって、環境ビジネスプロジェクト調査研究委員会に参画した。
 本調査研究委員会においては、参加されている皆様の想い・見方、考え方・進め方は、大変参考となり、その後のプロジェクトなどにおいても、活用している。本調査研究内容は、主にインフラ系の環境ビジネスモデルの構築を中心の内容であるが、筆者は、将来に向けた資源循環型のビジネスモデルとして、将来構想としての食料ビジネスの構築とP2Mについて取り上げた。この調査報告書をまとめた後、東日本大震災があり、日ごろ暮らしている環境の脆弱性を直面し、約9ヶ月が経過しているが、今、変化していることについて、考えてみた。

1.生活する環境は変化した?
 東日本大震災以降、生活環境の意識レベルは、いくらでも使える意識から、限りあるものとの意識となってきている。直接被害を遭った地域のみならず多くの地域で、その影響を受け、衣食住の内、食料についても、即食性や保存性のあるなしに関わらず供給不足となり、特に、産地から加工、店舗までがつながっているコンビニエンスストアや量販店では、物流が機能しない状態になったことで大きな影響を受けた。東北エリアにおいては、生き残るから、復旧、復興へとプロセスが変化していくにつれて、非日常から日常、つまり、生活する様々な要件が、個人レベルから国レベルまで、複雑に関連して色々な場面で出てきている。

2.これからの環境ビジネスを実現していくためのP2Mの活用!
 復興を大きな環境ビジネスとして捉えると、多義性、複雑性、個別性があり、これを有期で実現していくアプローチ方法としてP2Mは有効な手段ではないかと考えられる。現在、様々な形で、復興のビジネスの提言が行われているが、従来の延長上の環境ビジネスだけではなく、未来につながる環境ビジネスが必要となる。これを実現していくには、既得権のあるビジネスモデルと、新しいモデルをどう組み合わせて、実現するかが課題である。これを実現していくには、「スキームモデル」「システムモデル」「サービスモデル」の組み合わせと「外部環境と内部環境の関わり」「このビジネスで提供する商品やサービスを考える」「経営資源の効率的な活用」の組み合わせで進めていく。

3.大事なことは、そこで暮らしている人が豊かになること
 環境ビジネスとして、基本は、そこで暮らしている人が豊かになること、そのためには「想い」を明確化し、「よくあって、よく話し合う」「創りこみにみんなが関わる」「自ら考え行動する」と「想い」「進め方」を合意形成して、プログラム化できるとよいのではないかを考えている。

 スキームモデルの従来のビジネスモデルでも、事業環境が非常に早く、かつ、不確実性の要因が多くなってきており、プログラム型の進め方が必要となり、それを進めるには、P2Mの進め方、見方、考え方は活用できると考えている。

参考文献
1 ) 環境ビジネスの大規模開発プロジェクトにおけるP2M活用モデルの調査研究報告書
2 ) 2009年度、2010年度東京P2M研究会報告書
3 ) プロジェクト & プログラムマネジメント 標準ガイドブック PHP
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