関西P2M研究会コーナー
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3.11に思うこと ものづくりのリスクマネジメント

永田 好伸 [プロフィール] :1月号

1.3.11当日
 3月11日の大地震時、私は大阪の事務所におり、その頃外出間際であわただしくいる資料の準備などをしているときでした。みんな大騒ぎでしたが、そんなことお構いなしに仕事を続け、時間ギリギリだったため大急ぎで出て行きました。
 結構大きい地震だったなあと思っていましたが、出張先への移動中の車内のラジオで東北地方が大変な状況になっていることを始めて知りました。
 それにしても津波の怖さと原子力発電のリスクを痛感させられた震災でした。
津波のことや原子力のことはあまり詳しくありませんが、なぜ、今回のような津波が想定できなかったのか、遠い過去ではありますが、同様の津波の実績があるにもかかわらず、なぜあのような場所に原子力発電所を建設したのか、「原子力は安全」という思い込み(洗脳)によってリスク管理がおろそかになったのは事実ではないかと思います。
 他の方もきっと、今回の震災について色々思うところがあり、記載されていると思いますのでその方に論述は譲るとして、私は東北地方の生産管理について書きたいと思います。

2.生産体制の見直しと今後
 今回の震災で“納豆”の市場への供給が完全ストップした期間がありました。“納豆”といえば水戸、今回の原発の事故が原因で生産がストップになったんだろうなと思っていましたが、実は“納豆”自身は製造できるが、“納豆”にかぶせるナイロンがなく出荷できないとのことでした。そのナイロン製造会社は今回の震災に会い、工場が全面ストップ。しかも大半の納豆メーカがその工場のナイロンを使用しているため、どこのメーカも市場に供給できない状況になってしまったようです。
“納豆”の粘りに負けないナイロンを低価格で製造でき、各メーカから高い評価を得ていたようです。中小企業ですが、納豆分野ではシェアー80%以上だったそうですが、それが逆にアダになってしまいました。
 “納豆”の話はその一旦であり、今回の震災で生産管理のリスクマネジメント不足が露呈されたのではないかと思います。
 今までメーカ側はリスク管理から発注企業の分散化を図っていました。これは1次下請けまでの話であり、1次下請けから2次下請けへの発注は、同じ企業に集中していました。生産管理上、発注先の管理は当たり前ですが、そこから以降の管理は出来ていなかったことが露呈されてしまったのです。
 今回の震災で、東北地方の工場がストップしたことで全世界の生産に大きな影響を出し、逆に東北の物づくり力が大きくクローズアップされ、重要拠点であることが印象付けられました。
 しかし、これからのメーカ側の生産管理は末端までの分散化や地域・国の分散化を強く推し進めていくと思います。益々物づくりがアジアの国々にシフトされていき、東北の製造会社の復旧にはかなりの時間を要するのではないかと思われます。
 これからの中小企業は技術力だけでなく生き残れていけません。少なくとも、生産体制・営業面のウエイトを今まで以上に上げ、ターゲットを絞り、お客様が安心して発注できるものを示さないと中々生き残れていけない、そんな風な経営が必要になってくると思います。

3.中小企業への思い
 日本の経済は製造の物づくり力が牽引しており、その力の根底は中小企業の技術力であると思っています。しかし、中小企業はそれを上手に活かすすべを知らない・分からないがあります。また、技術力だけは中々競争に勝てず、それを生かす生産力・営業力・財務戦略などが必要です。そのような中小企業に我々が何らか支援していけないかと思っています。
 今回のジャーナルにはその思いも込めて書いた次第であります。
以上

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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