リレー随想
次号

これから求められる企業力について

理事:梶原 定: [プロフィール] :2月号

 現状の、日本を取り巻く環境は、少子高齢化、国内市場の縮小、グル―バル化競争と世界的な経済変動、資源エネルギーの問題、さらにITからICTへ、また円高など、厳しいビジネス環境に置かれています。このような厳しいビジネス環境において、今後、企業に求められる企業像とはなにか? ビッグなテーマですが、強い企業になるためには、何が必要か、徒然なるままに書いてみました。

 益々、厳しくなるビジネス環境にあっては、過去にどれほど目覚ましい実績を残した企業であっても、将来にむけて、その成長を約束できるものではないという状況にあります。真の企業の強さ(「企業力」と呼ぶ)とは何か? そのためには、未来に向けた企業力のあるべき姿の要因は何かを深く考察することです。 強い企業になるためには、何が必要か? 経営力、商品企画力、商品開発力、販売力といったもの、また優れた戦略・戦術を常に発揮できる企業であるといわれます。しかしよく考察してみると、これらは結果であり、これらを生み出している源泉は何でしょうか?
それは、やはり人材(人財)、つまり広い意味で人間という事になるのではないでしょうか。 どんな人材がいるかによって、当然、企業の強さは、全く違ったものになるはずです。 では、期待される人間とは、どのような人間か、考えてみましょう。  どれだけの知識を持っているか、どれだけ豊富な経験があるか、どのような技術をもっているか、どれだけ幅広い人脈を持っているか、などでしょうか? これらは、確かに必要であるが、真の企業の強さを、計ることはできないと考えます。
現在、企業に求められているのは、企業で働いているそれぞれの個人一人一人が、自分の能力を最大限に発揮・活用しようという姿勢・考えるカを持っているかどうかという事ではないでしょうか。 それは、企業が持つ、社会に貢献しうる明確な理念・ビジョンにむけて、どのような環境にあっても、社員一人一人が、今できることを自発的に、やっていく姿勢・考え方をもつ人材を、いかに育成していくかということ。 つまり、自立型社会人をいかに育成していくかにあるのではないかと考えます。企業そのものが、強い企業に成長するためには、自立型姿勢・考え方をもつ人材によって構成される組織を、いかに構築するかということに他ならないと考えます。

強い企業の組織体の特徴としては、1番目に、企業の理念・ビジョンを明確にし、そこで働く社員一人一人が、企業の理念・ビジョンに共感し、これらの理念・ビジョンのもとで、他社に勝つとか負けるかといったことではなく、その達成に向けて個人個人が持っているものを最大限に発揮し、いかに社会に価値を創造、貢献し、感動を与えていくかという発想をもつ組織であることが大切です。
2番目に、強い企業では、自からの責任を自覚し、自立型姿勢・考えをもつ全社員が、問題や障害を糧に、これらを乗り越えることにより、全社員が成長し、その結果として更なる成長することができます。 一方、依存型姿勢・考えのもとでは、問題や障害が生じるたびに、お互いが責任をなすりつけることになり、改善や向上が見られず、企業内に不信感がはびこることになるでしょう。 問題や障害は、全社員が、自らを成長させるチャンスととらえ、問題が発生するたびに、すべての社員が、改善・向上に努める事ができる企業こそ、成長し続ける強い企業ではないでしょうか。
3番目に、仕事は、与えられたことだけをただ、確実にこなせばいいという発想ではなく、同じ理念・ビジョンの実現に向け、共に努力する協働者への発想が必要である。 社会のため、他の社員のため、お客のため、自ら、何をすべきかを考え、自分の役割を発見し行動を起こしていくことが必要と考えます。
企業の目的は、理念・ビジョンの達成、つまり社会に価値を創造し、貢献するということ。 そして、そこで働く個人一人ひとりが成長し、 さらに、相互支援をベースにお互いが他との共生を計っていく。 他とは、国内・国外社会、地域、他社、他人等との相互支援を行い、その結果として企業は、益々成長することになる。

P2Mが目指している使命達成型職業人とはまさに、厳しいビジネス環境にあって、現代の問題や課題の解決に 挑戦する、人材であり、企業が、強い企業に成長するためには個人一人一人が、「体系的知識」、「実践経験」、「自立型姿勢・考え方・倫理感」の3つの要件に加えて継続的学習・投資を満たし、人材を育成していくことが真に強い企業になるためには不可欠ではないかと考えます。
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