リレー随想
先号

日本の強いソフトウェアものづくりを目指して

匠システムアーキテクツ 前田 卓雄  Email: こちら : [プロフィール] :11月号

 ものづくりにソフトウェアが欠かせない時代に突入している。だから、日本のものづくりが強いとされる「すり合わせ」をソフトウェア開発に適用し、もっとものづくりを強くしたい、そんな研究委員会に参加の機会をいただいた。全体に非常に勉強になった。結果的に、後向きの「すり合わせ」を排除し、前向きの「すり合わせ」を体系的に(効果が出るように系統立てて)、誰もが組織的に取り組めるように、しかも速やかに実行し浸透させなければならないことがわかった。我国のソフトウェア開発は、欧米に比して、開発の進め方・開発に必要な様々なツール・グローバルな開発プロセスの展開・ソフトウェアのプロダクトライン化等、いろんな側面で遅れている。さらに、今後ますますソフトウェアを必要とするにも関わらず、頼れるソフトウェア技術者の不足や高齢化に苦しむ。このまま放置すれば適時にソフトウェアを供給できなくなり「じり貧」は免れないだろう。結果的に、ソフトウェアを必要とする「もの(組込み製品)づくり」にも敗れるしかなく「強さ」も過去のことになってしまうだろう。
 また、ソフトウェアものづくりにおける「すり合わせ」を体系的・組織的、そして速やかに進めるにはいったいどうすればよいか。P2Mという日本の強みをどう絡ませればよいのか。欧米で浸透・定着しているやり方(例えばソフトウェアプロダクトライン)を持ち込むだけでは世間並みになれても勝ち目はないだろう。この委員会ではこれも大いに関心を引いた。我々はグローバル競争に打ち勝てる、日本人の強みを十二分に生かした「ソフトウェアものづくり」のあり方を明確にしたいと望んでいる。旧来のやり方に執着し我国の技術者の貴重なエネルギーを浪費するのではなく、付加価値の高いものづくりに集中し世界の範となるにはどうすればよいか。この委員会の報告書を契機に心を新たにし、またかつて検討した「ソフトウェアジャストインタイム」(その一部は  こちら を参照)を出発点に「強い」ソフトウェアものづくりを目指したい。
ページトップに戻る