リレー随想
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PMAJとの関わりを振り返って−今までと、これから−

ユニシス株式会社 宮本 文宏: [プロフィール] :4月号

 弊社は2002年夏の第1回PMS資格試験から、先ほど行われた2010年の試験まで途切れることなくPMS資格取得を推進してきた。結果、NULグループ全体でPMS資格取得者739名、PMR資格取得者8名を抱えるに至った(※2010年3月現在)。あらためて弊社とPMAJの関わりを振りかえってみると、P2MやPMS資格に対する社会的認識が薄い時期から現在に至るまで、長年にわたり関わってきたことが感慨深い。
 私自身、第1回のP2M講習会に上司から「行ってこい」の一言で送り出された。仕事の忙しい時期に重なっており、指名されたことは光栄でも毎週末の講習と受験を考えると正直、少し気が重いと感じたことを覚えている。
 今から8年前の話だが、現在と比較すると、PMという存在と役割は、一部にPMBOKが活用され、各社個別の定義はあっても、一般的ではなかった。IT業界で直接開発に携わらない人も含めて、多くの人が共通の言葉で語れるほど、PMという言葉と役割は広まっていなかったと思う。
 そうした中、P2Mの講習を受講し、講習が進むにつれて、目の前の世界が徐々に開けていく気がした。学んでいることは実際にシステム開発の現場で行っていることであった。それ以上に、計画と実績を管理して決められたとおり開発を行うだけでなく、目的と目標を考え、顧客とともに新しい価値を産み出していく姿勢は日々模索していたことであった。講習には必ず参加した。自ら求めるものがそこにあり、必ず役に立つと感じたからである。
 実際にそこで得た知識はシステム開発業務だけでなく、その後様々な場面で役に立った。P2M講習会に参加した時から周囲の環境も大きく変わった。PMはIT業界で、競争力の源泉として広く認識されるようになった。PM育成は各企業の重要なテーマになっていった。弊社においても様々な育成プランを企画し、実施している。
 PMS資格試験も数多く回数を重ね、弊社の取得者数も増えてきた。これまで推進してきた効果はあったのかと問われれば、各自のスキルの底上げに役立っていると言える。一方で資格取得者の知識を有効に活用できているのか、という問いに対する答えは、資格取得者の行動にかかっている。資格取得は入り口であり、各自がそれを活用し様々なかたちで結果を出していくことを期待している。私自身を振り返ると、P2Mの知識を得てものの見方が変わり、仕事が広がっていった。勿論、企業としてP2Mの知識を持った個人が活躍できる「場」を提供することも必要である。
 現在は変化の大きな波の中にある。IT業界も弊社も急激な変化をむかえている。変化をチャンスとしていくために、社員1人1人が個人で、また組織として新しい価値を産み出すことが必要である。業界を越えた異なる立場の知を結び付けて、新しい知を創出することが重要になってくる。また過去の成功体験に縛られないことも大切である。
 P2Mは特定の分野や業界に特化していない。P2Mのフレームワークは新たな変革を産み出す際に、共通の言語、思考の枠組みとして活用出来る。
 第11回のPMS資格試験から現在に至るまで、社会は大きく変化し、自社を取り巻く環境も変わってきた。P2M活用方法も変わっていく。第1回のPMS資格試験参加者として、現在自社の育成に携わる立場として、自らを高めていくためにもP2Mで得た知識やコンセプトを新たな価値を産み出す道標として、今後とも活用していきたい。
以上
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