P2M研究会
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「戦略の見える化」

P2M研究会 内田 淳二 [プロフィール] :3月号

P2M研究会の今年のテーマは、“戦略の見える化”に落ち着きそうである。今回は、本テーマを支持するに至った個人的抱負を書かせていただく。

日本は、生産技術の改善で-良いモノを、より安く、より早く作ること-において世界一を目指し、これを達成し、世界中に日本製品を遍く行き渡らせることによって世界経済の発展に貢献して来た。
しかし、2009年、経済環境が激変した。生産資源は無限ではなく、温暖化対策の緊急性も相俟って、世界規模で考えても旧来型製品の消費市場は無限に拡大しないことが明らかになった。“豊かな消費生活を支えるモノつくりを通して、より良い社会の実現に貢献する”は、わが国の経営者の誰もが口にする経営理念であるが、“良いモノを、より早く、より安く、”を前提にした競争原理の追求だけでは、企業の使命である社会貢献は実現できなくなったのである。

最近では、より良い社会の実現に向けた“なりたい姿”をミッション、これを実現するための“あるべき姿”をビジョンと呼ぶそうである。当研究会は、発足以来、ビジョン達成のための道筋を探る考え方をP2Mによって明らかにする試みを行って来た。今年度の研究テーマは、我々にとって目指すべき“高み”を何なのかを議論し、“高み”に到達するための戦略は如何にして描くのかを考える良い契機になりそうである。

P2Mには、価値創造のアイデアをまとめるスキームモデル、スキームモデルを具体化するシステムモデル、システムモデルを使った価値獲得を担うサービスモデルがあり、これらの統合マネジメントにより着実に成果を生み出し、スパイラルに“高み”を目指して行くという考え方がある。これにバランススコアカードの視点を取り込み、戦略の可視化にトライするというのが研究課題だ。

W座長の下、メンバー有志各位と全体問題を正しく捉え、着実な成果を目指した有意義な議論が展開できれば成果は出る。今年は、P2M三昧になるかも知れない。

おわり
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