さて、今回はフランスのESC Lille School of Management パリキャンパスで、毎年恒例の、3日間のP2Mクラスを教えることがフランス訪問の目的であった。
フランスの上位ビジネススクールとして、戦略・プログラム&プロジェクトマネジメントを最大の差異化武器とするESC Lille は、PM専攻の学生が修士課程で380名、博士課程で110名もいる。同校ではPM体系としてPMI PMBOK Guide(米国)、PRINCE2(英国)、P2Mの3つのPM体系を大学院生に履修させ、各々の資格を取得させることを大きな目的とする。その中で、P2Mは仕上げとして、PMBOK Guide履修後、できればPRINCE2も履修後に講義受講が推奨されている。
今年のP2Mクラスを受講したのは、博士課程生1名、修士課程生40名の41名で、男女比では男性23名、女性18名と例年どおりであった。学生の出身国では(いずれも最終の資格試験受験者)フランス11名(名前から判断)、中国10名、インド7名、北アフリカ・中東(イスラム系)5名、サハラ以南アフリカ3名、中南米2名、カザフスタン1名などであった。
今年は学生を9グループに分けての、事前学習に基づくP2M各パートの要点発表と討議のサイクルを廻すことに加えて、3時間のミニワークショップを実施した。
これは、プログラムマネジメントのうち、プロファイリンからアーキテクチャ・ストラクチャリングまでの演習で、3グループ1組で3チーム編成して行った。
開始時に阿弥陀クジで、「ESC Lilleのアジアでの更なる地盤強化策」、「P2Mのヨーロッパでの普及方策」、「(ロシア)ニズニ・ノブゴロード州の地域開発」の3つから自グループのテーマを引当て。いずれも2−3行の初期ミッションのみを与え、予備知識無しに、下記を経て、各15分の発表を行うまで議論を詰めさせた。
終了時の学生向けP2M国際資格テストでは、各学生が素晴らしいスコアを獲得し(例年あるスレスレが皆無) 41名全員が合格した。ちなみに、テスト終了後、試験内容の難易度の投票を行わせたが、「大変難解」(モロッコの学生)2名、「難解」5名、「平均的」24名、「易しい」5名であった。
今回、はっとしたニュースがあった。ESC Lilleは6月に、ニースのSERAM Business Schoolと対等統合を発表した。フランのグランゼコール同士の統合は初めてで、ほぼ同規模の大学院の統合であり、この統合で、新大学院は、学生数でクリチカルマスを達成し、リール、パリ(2つのキャンパスを統合)、ニース、モロッコ、北京の5つのキャンパスを持つことになり、ホーム国でのInternational Business Schoolではなく、世界にキャンパスを持つ真の国際校を目指す。
現下の世界大不況で、世の中にはバブルという概念がなくなり、何事にも金のかけ方に慎重となっている。フランスでは、HEC、INSEADといった超名門ビジネススクールはともかく、二番手グループは生き残りに必至である。