ここでITプロジェクトにおける不確実性を考えると,図1に示す要素の関係で捉えることができる.ITプロジェクトは,ユーザの業務をITにより支援するために,まず要件を定義する.その後,見積を実施し,計画を立て,要件を満たすシステムを実現するために技術が適用される.そして,それらを実施する組織がある.要件定義の難しさは周知のごとくであり,完全に要件を定義すること,要件を固定化させることは難しい.ここにITプロジェクトにおける不確実性の芽がある.その芽が要件定義に続く見積,計画,技術へと受け継がれ,花を咲かす.ITプロジェクトにおける不確実性を考える上では「要件」,「見積」,「計画」,「技術」の4要素とそれらを実施する「組織」を考える必要がある.不確実性を扱う組織では,不測の事態を予測するマインドを持つこと,不測の事態を抑制するマインドを持つことが組織における不確実性のマネジメントとして推奨されていることを付け加えておく(カール E. ワイク,不確実性のマネジメント,ダイヤモンド社,2002)