「生産現場の見える化のアプローチ方法」について
東京P2M研究会 PMR 藤澤 正則:8月号
1.はじめに
P2M研究会に参加して、2年が経過し、その中で、多くの方に会い、話をしてそこで得た事を、実務において、活用を進めている。私は、食品メーカーに所属し、主に、グループ会社での事業支援を行っており、それの一環として、現場の管理者レベルに対して、講座を開催している。現在、「3つの目(虫・鳥・魚)と共通の物差しを使った現場と経営をつなぐ仕組みづくり」を開催しており、その中でP2Mの見方、考え方を活用している内容について、紹介する。
2.現場で見えることへのアプローチ
製造メーカーの価値創出の工程として、生産工場は、重要な位置づけにある。
しかし、現場では、人、物、設備、建物、情報が複雑に絡み合って、人の作業(行動)につながっており、一見するだけでは、物のできあがる流れは理解できても、そのためのどのようなシステムで成り立っているかは、すぐには理解できない。そこで、3つの目(虫、鳥、魚)で見ることを提唱し、従来と異なった見方での現場で見える化へのアプローチ方法を試みた。
図1 ゼロベースでの現場を見る
3.役割と立場で異なる「見えること」
事業会社においては、機能型組織で構成されており、役割や立場により、情報の内容範囲、頻度が異なっており、同じ現場を見ても、人の基本的な行動パターンである「入
力→判断→出力」での判断基準は異なる。従って、そのギャップを認識して、情報のプラットフォーム化(ものさし作り)を行い、「ありのままの姿」を認識し、めざしていく「あるべき姿」を構築しないと、現場での行動につながらず結果として、何も進まないことになる。
図2 見方と考え方を変えるアプローチ方法
4.「見えること」と「見えないこと」
3つの目と情報のプラットフォーム化で、現場でのレベル合わせはできるが、ここで大事なことは、「見えていることと見えていないこと」を意識して、「見えていないこと=よくわからないこと」を共有化することも重要な事項である。
5.価値につながる行動はなにか
ここまでの情報の共有化を行うと、あるべき姿を考え、次にどの行動が価値創出につながり、それを最大限に有効かつ効率よく出来る環境にするかを抽出して、プロジェクトの計画を行う。宿題として、自分の職場でもやってみるカリキュラムにしてある。
6.まとめ
このような内容の講習を生産現場で行ってみると参加者からは、従来では見えていないことが見えたとの感想を聞いており、経営と現場をつなぐコミュニケーションツールとしての生産現場での有効であると考えられる。
P2Mの見方・考え方は、様々な課題を解決するためには、だれでも使えるレベルにしていく必要があり、今後も様々な活用を試みていく計画です。
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