P2M研究会
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東京P2M研究会議事録(5月13日開催)

田中 英男:6月号

東京P2M研究会を5月13日に開催しました。その内容を議事録として下記に報告させていただきます。
 

1. 日時:2008.5.13.  18:30〜20:30
2. 場所:ENAA 7A会議室
3. 内容:研究会2007年度研究報告書/2008年度研究テーマ決定
4. 出席者:渡辺、仲田、虎谷、梅田、梶原、岩下、田中(英)
5. 報告書資料
(1)資料1:平成19年度 東京P2M研究会報告書
    報告書内容:
I.基礎編
 報告書I−1 プロファイリングマネジメントにおけるシステミック
            シンキング(統体思考)の考察 (俯瞰力と洞察力)
渡辺 貢成
 報告書I−2 価値はどこから生まれるかの考察 渡辺 貢成
 報告書I−3 プロファイリング・マネジメント洞察モデルであるOWモデルの深耕 田中 英男
藤澤 正則
 報告書I−4 組織能力の可視化に関する研究(シャープの事例)
            〜OWモデルによるシャープの研究〜
内田 淳二
 報告書I−5 洞察力モデル下部空間のモデル化思考 虎谷 彰
 報告書I−6 多方面で採用されたアーキテクチャーの紹介 渡辺 貢成
II.実践事例研究編
 報告書II−1 ITプロジェクトの契約・法令に関するリスク 梶原 定
 報告書II−2 プロファイリング・マネジメント洞察力モデルの事例検討 国谷 正
 報告書II−3 プロファイリング・マネジメント事例研究
      〜事業環境の変化に適用するための現場と経営をつなぐ
       仕組みつくり〜
藤澤 正則
 報告書II−4 ウイキノミクスと新しいビジネスモデル 山本 啓一郎
 報告書II−5 プロファイリング・マネジメント事例研究 仲田 弘
 報告書II−6 IT産業の問題点とその対策 渡辺  貢成

(2)資料2:組織能力価値創出図      渡辺  貢成
(3)資料3:価値創造活動の基本視点    梶原 定

6. 主な討議検討内容
  • 平成19年度東京P2M研究会報告書は前回の一部(応用編 報告書III−1 P2Mを活用した大学におけるサステイナビリティを意図した新教育手法の実践 渡辺貢成)を掲載しないことになった。従って上記資料1の目次で作成することになった。
  • 渡辺貢成氏より今年度(平成20年度)は各自のテーマに加えて共通のテーマをもって研究会を実施したいとの提案がありました。
  • さらに渡辺氏より、国際P2M学会で国谷氏の論文発表が好評だったことおよび東北大学のポストドクターの教育が好評だったので今年度も実施することが決まったことが報告されました。
  • 今回からIHI(電力事業部)の中村元哉氏が新しく参加され、自己紹介がありました。
  • 梶原氏より今年度のご自身のテーマとしてコンピテンシーを検討して見たいとの話がありました。個人のコンイテンシーや組織のコンピテンシーについて是非研究したいとのこと。
  • 共通のテーマとして現場力、組織のコンピテンシー、組織能力にしたらどうかとの話があった。このテーマであれば梶原氏、仲田氏の個別テーマも含まれるのでこのテーマがよい。
  • 田中はO/Wモデルの深耕でデパ地下を各自テーマとしてとりあげる。
  • 梅田氏は構想段階におけるシステムアプローチを超えたところすなわちメンタルな面と仕組みの面を問題意識としてもっておられるとのこと。
  • 中村氏:IHIにおいて動かない組織を動かす慣性力を変えていくにはどうすればよいかとの問題意識を持っておられるとのこと。
  • 渡辺氏:アーキテクチャーや組織能力について、話された。システムのモジュラー化、自律性をもったサブシステム、サブシステム間のインターフェース、ルール化によりシステムにフレキシビリティを持たせることができ、これはITシステムにも適用できるのではないか。製造業においてオープン化等によりまねされて収益をだせなくなることに対して、まねされない組織の能力とは何なのか。たとえば、自動車における乗り心地等はオープン化できず、組織としての価値創造として差別化できるのではないか。歴史をふりかってみると、1980年代日本は製造業で米国に勝っていた。米国は品質(Quality)を上げるとコストが上がると考えていたが、日本は品質をあげるとコストが下がると考えた。検査で品質をあげるのではなく、製造のプロセスで作りこんでいくことによって品質を上げていく。米国はテーラーのフィロソフィーによりフォードなどは成功した。労働者はスキルだけでよい。頭は使わなくてよいとの方針でフォードの製造ラインができていた。頭はトップが使えばよいとの考え方であった。これに対し、日本はデミングのフィロソフィーにより品質はプロセスに組み込んだ。たとえばQCサークル活動を徹底的にやったので、不良品が少なくなり、結果として安くなった。ただ日本の経営者はマネジメント的には関心がなかった。そこで、米国は日本に勝つためには経営で勝とうと考え、モノの品質に加えて経営の品質向上を主眼としたマルコムボルトリッチ賞(経営品質)を創設した。その後米国はバリューチェーンから企業のコアコンピタンスを企業内に残し、付加価値の低い領域をアウトソーシングする方向へ推移して行った。
     テーラーの科学的管理法を主体とする米国社会では、デミングは認められなかったが日本での勝利が買われてデミングは80歳にして米国でみとめられることになった。彼は10年間かけて「Out of Crisis」を書き評価された。その後、弟子のランゲがラーニングオーガニゼーションの概念を発表し、急激に変化する市場に追従できる組織能力の向上を説いた。GEやIBMはラーニングオルガニゼーションを目指して努力をしている。
     1990年代の日本は失われた10年といわれた。日本の経営者からほとんどアディアはでていない。団塊の世代は自ら企画し、失敗し、その中から立ち上がる経験していないため、新企画を実施し、リスクをとる度胸がない。
     ただキャノンの御手洗氏、パナソニックの中村氏、東芝の西田氏等日本企業の米国社長を経験した人々は経営者としての訓練を受け、決断ができるため業績が他社にぬきんでている。
     残念ながら出世が約束されている現在の日本のエリート層は危機感がなく、冒険をしないから頼りにならない。そこで、トップよりミドルの教育として現場力再生が日本にとって大きなテーマではないかと考える。米国においては売上が下がった/業績が落ちた場合、経営者は株主から首をきられるが、日本では現場の首をきることで業績を上げることを考えている。結果として現場力が弱くなっている。基本的にはトップが大切であるが、私たちにできることはこの現場力の再生である。現場力を強くすれば、トップに外人をもってきてもよいのではないか。
    では、なぜこのテーマを行いたいのかは沖縄のIT産業育成に関連している。特に、オフショアについて仕事は中国やインドにいっている。日本から中国へのオフショアの仕事では、中国企業は国内の見積もりの通常の2倍近い値段で契約している(それでも日本国内企業の見積もりより安い)。今、沖縄はオフショア業務で食べているが、このままではいずれ仕事がなくなるという危機感がある。このオフショアの仕事を沖縄で増やすには、沖縄の産学官の連携で研究をスタートし、この現場力強化することが最適と考えられる。
     一口に現場力というが、色々な面があるので何をするか考えるが、例として10人(課長)のマネジメントの仕方、100人(部長)のマネジメントの仕方、1000人(事業部長)のマネジメントの仕方はそれぞれ違い、マネージャーに求められる資質はそれぞれ違う。
     このレベルアップは連続した道をたどるのではなくジャンプアップを必要としている。これに対するグローバルスタンダードは日本にはない。米国には全体で使えるスタンダードがあるので、会社が変わってもつかえるものがある。
  • その後、梶原氏より資料3に基づいて、価値創造活動の基本的視点、作業/仕事/創造、仕事をする上で備えるべき要件(知識、スキル、コンピテンシー、実践力)、仕事に求められるスキル、能力の氷山モデル、スキルの棚卸、レベル、コンピテンシーの棚卸、レベル等の話があった。
  • 共通なテーマとして戦略にあわせた組織、組織能力、現場力を平成20年度P2M研究会の共通テーマとすることが決まった。
  • 次回は6月10日(火) CYDビル 7Aで実施予定。
以上
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