PMプロの知恵コーナー
次号

「エンタテイメント論」(1)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :4月号

エンタテイメント論

まえがき
私は、新日本製鉄(株)勤務時代、発足間もない(財)エンジニアリング振興協会(ENAA)に於いて日本初の本格的な「PMの基礎研究」とそれに基づく「北米欧州のPM海外視察」に参加しました。今も時々懐かしく思い出しています。

その創世の時代から「日本プロジェクト・マネジメント・フォーラム(JPMF)」の発足とその後の発展を経て、(特定非営利活動法人)日本プロジェクト・マネジメント協会(PMAJ)の現在まで、これらの組織の創設と運営に参画された数多くの方々から公私にわたる温かいご支援とご協力を賜りました。この書面をお借りして厚く御礼申し上げます。

また「夢工学」の66回の長期連載の機会も与えて頂きました。JPMF及びPMAJの関係者の皆様そして読者の方々に再度、御礼申し上げます。

更にこの度、PMAJ・オンライン編集長・渡辺貢成様から新しいご提案を頂き、PM分野で珍しい「エンタテイメント論」の新連載の機会を与えて頂きました。またその連載についてPMAJ理事長・田中 弘様並びに事務局長・高橋道夫様のご支援も頂きました。併せて厚く御礼申し上げます。

さて「エンタテイメント論」の新連載を始めるあたり、その文章を簡潔且つ明確にするため「敬称」、「敬語」などを省略させて頂きたく、お願い申し上げます。また読者の皆様の忌憚のないご意見を心からお待ち申し上げております。どうか宜しくお願い申し上げます。

第1部 エンタテイメント論の概要
1 定義と理論

「エンタテイメント論」を議論するにあたり、そもそも「エンタテイメント」とは何かを明らかにする必要がある。しかしこの定義は簡単ではない。何故ならば「エンタテイメント論」を議論する前提となるモノやコトガラ(事象)の範囲と方法(Scope and manner)の捉え方によって「エンタテイメント」の定義も、それに基づく「エンタテイメント論」の内容も変わるからである。

さて本連載の「エンタテイメント論」を展開する場合に3つの方法がある。

第1は、「エンタテイメント」とは何かを最初に厳密に定義する。その定義に基づいた「エンタテイメント論」を議論するという所謂「演繹法的展開」である。第2は、様々な事象の中から「エンタテイメント」の定義に該当するものを幾つか抽出し、それぞれに基づいた「エンタテイメント論」を議論する所謂「帰納法的展開」である。第3は、演繹法と帰納法をその都度繰り返す所謂「発想法的展開」である。

上記の第1の方法は、定義とその展開が明快である。しかし大学教授の古典的な授業の様でちっとも面白くない。第2の方法は、様々な事象に基づいて具体的に議論するから興味が沸く。しかし議論が散漫になる。従って第1と第2の長所と短所を考慮して第3の方法で議論を展開することにした。

2 エンタテイメント論の概要
筆者は、現時点で考えている「エンタテイメント論」の概要を順不同で下記の通り、取りあえず記した。

しかし上記の通り、演繹法と帰納法をその都度繰り返す「発想法的展開」の第3の方法を採ったので、「エンタテイメント論」の下記内容が連載の途中で変わることがあり得る、また全く新しい考えが加わる可能性もある。このことを予め明記しておきたい。この方法であると、筆者自身も今後の連載が楽しくなる。また読者諸兄の興味も沸くと思う。

●日本人の趣味、道楽への取り組み
>古典的趣味や道楽
>現在的趣味や道楽

●日本のエンタテイメントの実態
>エンタテイメント受益者の都市生活者と地方生活者
>エンタテイメント・ビジネスの従事者

●諸外国のエンタテイメントの実態

>米国を中心のエンタテイメント
>アジア諸国が中心のエンタテイメント

●エンタテイメントの本質
>エンタテイメントと遊びとの関係
 (1)エンタテイメント
   その本質、その実態、問題など以下の通り
   (2)遊び
  その本質、日本の遊びの実態、日本人の「遊び」への心理

●日本のエンタテイメントの問題
>日本のエンタテイメント受益者の「マズロー法則」の下位構造の欲求
 買い物して、飲んで、食べて、しゃっべって、アレして、、、、ばかりの楽しみ
>真のエンタテイメントへの追求不足
>真の遊びへの追求の欠如

●日本人のエンタテイメントへの軽視、軽蔑、蔑視の深層心理
>日本古来の深層心理か?
>明治維新後の思想
>西洋崇拝

●日本のアニメ業界の実態と問題
>Japan is coolの陰にある問題
>3Kどころか、もっと酷いアニメ業界
>米国資本と日本資本の戦い

●日本のエンタテイナーの不足
>真のエンタテイナーの不足の原因
>日本の観客のエンタテイメントへの要求レベル(アーティストやエンタテイナーを見抜く目)
>日本の映画、TV、演劇、音楽などの分野でのフロントのエンタテイナー、バックヤード人材


●エンタテイメントの効用
>エンタテイメントは、あらゆる商品開発、製品開発、事業開発に必要な要素
>あらゆる科学、工学、事業に必要な要素

●エンタテイメントの法則
>創造開発とエンタテイメント
>エンタテイメントのF機能とR機能

●エンタテイメントの文化論
>科学、工学、事業 & 文化(エンタテイメント、遊び、芸術の連続性
>夢工学の主張する「黄金の三角ピラミッド」

●日本の大学のエンタテイメント学科の不在
(1)日本の大学の「ホスピタリティー学科」の存在
(2)日本の大学の「遊ぶ学科」の不在
(3)日本の大学の「エンタテイメント学科」の不在

●日本のアート・ビジネスやエンタテイメント・ビジネスの発展
>日本から世界への発展
>世界から日本への発展

●これからのエンタテイメントの在り方
>プロの世界
>素人の世界

つづく

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