グローバルフォーラム
先号   次号

「グローバルPMへの窓」 第20回
PMAJグローバルPMシンポジウムに向けて
その2− 再び世界へ

GPMF会長  田中 弘:8月号

 今月は、我々の国際PMシンポジウムの設計思想についてご紹介したい。
かつて、PMの国際大会といえば、PMIの大会(北米)と2年に一回のIPMAの世界大会(ヨーロッパ持ち回り)、それにスポットでどこかで地域大会が1−2回行われる程度であった。しかし、年移り、現在はレギュラーの世界大会だけでも年に7回、それに年回的なものが加わり毎年10回はどこかでPMの世界大会が行われている。このような中では、何らかの特徴がないと世界大会は成り立たない。
 このようななかで、わが大会プロジェクトチームが打ち出したコンセプトは次のような項目である。
組織のプロジェクトマネジメントが軸
 日本のPMはほぼ軸足が企業に置かれている。従って、大会テーマを「組織のPM価値の追求」として、発表もほぼ100%企業寄りのものとなる予定である。このことは日本では一見当たり前のように思えるが、PMIの4つの世界大会にでかけるとこれが当たり前ではないのである。
プログラムマネジメントをハイライトする
 プログラムマネジメントを売りとする我がP2Mであるが、これがプログラムマネジメントである、という分かりやすい例にはなかなかお目にかからない。我が国際シンポジウムでは、基調講演のNASAのプログラムマネジメントの例や、英国の公共セクターのプログラムマネジメントの例に始まって、プログラムマネジメントの実イメージが掴める構成としたいと努力中である。
ユーラシアPM時代を実感する
 本国際PMシンポジウムでは、我が国からは三井物産戦略研究所所長の寺島実郎氏に基調講演をお引き受け戴いている。ぶれない視点をもって世界を見つめる寺島氏が近年盛んに言っておられるのは、ユーラシアの台頭であり、わが国は、対米一辺倒の外交視点から、米国、欧州、ユーラシアとバランスの取れた3方向外交に切り替える必要性を説いておられる。政治・経済でのユーラシア、とくにロシア、中国、インドの躍進はめざましいが、PMもいまやユーラシアの時代である。中国やインドの国を挙げてのPM国力強化、東南アジアのPM知識装備は急ピッチで進んでいる。
 幸いPMAJはユーラシアの国々のPM協会と親密な仲にあり、各国代表が東京に集結してくれる。じっくりとユーラシアのPMの時代を体感していただきたい。

アジアIT CorridorのPM
 IT産業と情報通信産業のPM実践者をあわせると世界のPM人口の80%程度を占めると伝えられており、数年前と比べると若干下火になったとは言え、IPMA世界大会以外のPMの世界大会ではIT産業からの参加者は圧倒的な多数となる。
 PM大会でのテーマは一巡感もあるので、アジアでの世界大会でもあり、本シンポジウムでは世界ITサービス産業の台風の眼である「Asia IT Corridor (回廊)」 のPMと銘打って、インド、ミャンマー、ベトナムそして中国からの代表を加えてPM合戦を行っていただく。
東西PM交流
 West meets Eastとう言葉がある。前回2001年の大会に続いて、本シンポジウムもPMの東西架け橋であってほしいと願っている。PM Westに迎合するのではなく、大日本PMの心意気を示したい。

 来月号では、基調講演5件の紹介を行う。

以上

ページトップに戻る