図書紹介
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世界の日本人ジョーク集
(早坂隆著、中央公論新社発行、2006年12月15日、23刷、238ページ、760円+税)

デニマルさん:7月号

この本は昨年度少し評判となった本で、50万部も売れたという。因みにアマゾンでジョークに関連する本を検索すると、500件くらいヒットした。その中でもこの本が1位で、著者が書かれた類似の本が上位を占めていた。この本では多くのジョークを紹介しているが、その話の背景や意味が理解していないと分からない場合がある。その点、著者は歴史的、文化的な背景や問題点を丁寧に書いている。少し著者のことに触れる必要がある。本業はルポライターで、ルーマニアで生活した経験からか日本、日本人を見る目が鋭い。その意味で勉強になる本である。ジョークはただ知っているだけではなく、その場の雰囲気にあった所でタイミングよく使って役に立つ。日本には、昔からトンチや小咄があった。「隣の空き地に囲いが出来たよ。ヘー」これもその類のものである。こんな話もあった。お喋りなインド人を黙らせる以上に難しいのは、寡黙な日本人を喋らせることだと言われている。

日本人はどう見られているか(その1)   ―― 真面目、勤勉 ――
経済発展した日本の背景には、真面目で勤勉な国民性を見ている。そこでジョークでは、「フランス人と日本人が逮捕され、懲役10年となった。刑務官が5年ごとに1つだけ望みを叶えてやると言った。日本人は500冊の本を、フランス人は500本のワインを頼んだ。それから5年後、刑務官は再び次の5年のために何が欲しいか訊ねた。日本人は、又500冊の本を頼んだ。フランス人は、栓抜きを頼んだ」フランス人と言えば、ワインである。

日本人はどう見られているか(その2)  ―― 日本人のアイデンティティ ――
日本人のアイデンティティとは何かと問われて、何と答えたらいいのだろうか。そこで「豪華客船が航海中に沈みだした。船長は外国人に速やかに脱出指示を出した。アメリカ人には:飛び込めば英雄になれます。イギリス人には:飛び込めば紳士になれます。ドイツ人には:飛び込むのが船の規則です。イタリア人には飛び込むと女性にもてます。日本人には:みんなが飛び込んでいます」日本人は個でなく、群れをなす塊として見られている。

日本人はどう見られているか(その3)  ―― 日本の文化・風習 ――
日本の文化といえば、昔からの武士道、茶道、歌舞伎、相撲等の伝統的なもがある。所謂、歴史と風土を生かしたものである。ジョークもその文化の表現である。「日本人はジョークを三度も楽しんでいる。最初にジョークを聞いた時、次がそのオチを聞いた時、最後が家に帰ってオチの意味が分かった時」と言って日本人を揶揄している。この本を読んで今度は言ってやろう。4度目の楽しみは、そのジョークを自分流に変えて楽しんでいるとね。

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