PMAJ関西
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「ハインリッヒの法則」

PMAJ 関西 榎本 雅一:6月号

 勤め先がISO27001(情報セキュリティマネジメントの国際規格)の取得を目指すことになり、情報セキュリティ管理責任者に任命されました。そこで情報セキュリティに関する文献を色々と読み、興味をもった「ハインリッヒの法則」についてご紹介させて頂きます。
 皆さんは既にご存知かと思いますが、簡単に説明させて頂きますと、アメリカ人のハインリッヒ氏が労働災害の発生確率について分析したもので、1件の重大事故の影には29件の軽微な事故が発生しており、300件の「ヒヤリ・ハット」があるというものです。
(1:29:300)
 この法則はあまりにも有名で、後にこの考え方を継承した統計が色々と発表されています。例えば、「バードの法則」:バード(F.E. Bird Jnr.)が、アメリカの保険会社約300社の170万件以上の事例を分析した結果です。1つの大けがの背後に、10の軽傷事故、30の怪我はしないが器物の損壊事故、600の事故寸前の出来事があるということです。
 (1:10:30:600)ハインリッヒの法則の数字と似ているような気がします。
 中には、好機に利用する考え方も出てきて、330件を目安としてのちょっとしたアイデアを現場から募り、その中の30件についてはキラリと光るようなアイデアが出てきて、1件は会社の命運を左右するようなアイデアが飛び出してくることを期待するような取り組みをする会社があるそうです。実際に結果がどうだったかは定かでありませんが...。
 また、ある通販会社では、1つの小さなクレームにもバックグランドとして沢山のお客様が不満をもっていると考え、満足度の向上に役立てているようです。これも「ハインリッヒの法則」の応用だとは思っていませんでした。
 何れにせよ、見落としがちな小さな事象に注意を払い、是正を行うことにより大きな問題が発生する可能性が改善されるという事だと思います。
 私の日々行っているプロジェクトマネジメントでも、コストや納期に気を取られ勝ちですが、メンバーの何気ない言葉や行動にももう少し注意をはらい、ともすれば見過ごしてしまいそうな事柄についても気を配る必要があることを改めて考えました。
 因みに、「ヒヤリ・ハット」という言葉ですが、JQA(日本品質保証機構)の審査員の方は、指摘事項などで普通に「情報セキュリティの脆弱性」という意味で「ヒヤリハット」という言葉を使用されています。「ハインリッヒの法則」からきたものではないのかもしれませんが、こんなに一般的な言葉だったとは、勉強不足でした。
以上
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