SIG
先号   次号

「ITプロジェクト・マネジャーの成功条件」
〜ITベンチマーキングSIG〜

(株)ピーエム・アラインメント 佐藤 義男:3月号

 昨年11月より活動開始した新規WG「ITプロジェクト・マネジャーの成功条件」の紹介をします。研究WGを立ち上げるきっかけは、PMI2002北米大会の論文発表(What Makes a Project Manager Successful?, Rita Mulcahy)です。 米国RMC社のRita Mulcahy(ベストセラーのPMP試験対策問題集の著者)が1998年から4年間、1041人のアンケート調査結果(プロジェクト・マネジャー、チームメンバー、シニア・マネジャー)を基に成功する条件をまとめたところ、ヒューマン・スキルが82%であった。そして、「プロジェクトマネジメント・プロセスに人的ソフトスキルを組み合わせることにより、問題発生を防げる」という結論でした。
 これに対し、私は「日本型組織は技術重視であり、成功条件はこれと異なるのではないか」という疑問を抱きました。さらに、米国のコンサルタントの方と議論したが、この結果を疑問視していました。そこで、日本におけるITプロジェクト・マネジャーの成功条件をまとめることにしました。

1. 活動メンバー
 大手SIベンダー、ITベンダー、外資系ソフト会社、コンサルタント、学生の8名から構成されています。

2. 活動内容
 これまでの活動内容を紹介します。
(1)論文の内容確認
 論文の内容を参照して、アンケート作成のための議論(対象者、スキルカテゴリー、項目、回答方法)をしました。
(2)「組織のマネジメント風土」の比較
 日米の違いとして、「日本は技術を重視するが,米国はマネジメントを重視する」、「日本ではプロジェクトの中止・中断が容易にできない」等が挙げられました。
また、個人の資質・能力がプロジェクトの妨げになっている(技術力への過信など)、という点、さらにコンピテンシーに対する考え方も日米で違うこと(そもそも目標設定が違うのではないか、初期プロジェクト計画書という概念がない)に言及した議論をしました。
(3)「PMコンピテンシー面から成功条件を探る」
 メンバーの好川氏から「PMの成熟度モデル」の説明を受け、いかにプロジェクトをコントロールできるかを探りました。
PMコンピテンシーはソフトスキル、ハードスキル、コンピテンシーの3つで成り立つものであり、手法とコンピテンシーのスパイラルで向上するのが理想であることを理解しました。この結果、アンケート作成についてはナレッジ、パフォーマンス、コンピテンシーの3点から成功している人を分析することを決定しました。

3.今後の活動予定
 これまで議論した結果を踏まえ、業種別にアンケート調査(プロジェクト・マネジャー、プロジェクト・リーダー、上位管理者)とヒヤリングを実施し、6月末には、特にITプロジェクト・マネジャーの成功条件を考察し、 中間結果としてまとめます。さらに、8月末のPMシンポ2007で発表し、9月末には報告書を作成する予定です。
ページトップに戻る