トピックス(活動報告)
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1月例会記事 『石油ピークともったいない』 石井吉徳先生

岡崎 博之:2月号

 1月例会はPM活動として取組みたいと考えていた 『エネルギー問題』を取り上げもったいない学会会長の石井先生に講演していただきました。
講演の冒頭において 『石油ピークは交通危機であり食料危機に直結する』 と現代社会へ警鐘を鳴らされました。

 石油ピークとは生産量を増やそうとしても石油埋蔵量の低下により前年を上回ることができなくなる状態を示すものです。地球の大きさが有限であり人類が石油を大量に使うことにより石油ピークは必ずやってきます。米国は1970年代にそして北海油田は1990年代に石油ピークを迎えています。中東の巨大油田も石油生産を開始してから50年以上経過していることと新規石油の発見量が減り続けていることより2010年より前に世界の石油ピークに至ると考えられています。
 またオイルシェルやメタンハイドレードなどは大量に存在しますがエネルギー資源としての質を示すEPR(エネルギー・プロフィット・レシオ=産出エネルギー量/投入エネルギー量)が1.0以下とこれからのエネルギーとして期待することはできません。
 石油埋蔵量に関する公式データは多分に政治的なものであって科学的な数値は意図的に隠されています。日本を除く先進各国と国際的企業は公式には認めていませんが石油ピークを理解してそして隠密に行動を起こしていることに注意しなければなりません。
 1kcalの食料を生産するのに10kcalの石油を使い、現代文明の象徴である輸送機関は常温で液体である石油を必要とするため石油ピークが文明ピークに直結します。
 石油の90%を中東に依存し食料自給率が40%と低い日本は石油(化石燃料)に依存しない社会の構築を世界に先駆けて行うことで、日本の活路を見出すことができると考えています。
 “もったいない”では脱石油戦略、エネルギーインフラの再構築、自然エネルギーの徹底利用、分散をキーワードに活動を広げて行きたいと考えます。
たとえば大都会集中の社会は大量消費を生みエネルギーの集約を必要としエネルギー効率が低いため地方に分散した社会とする。身近な水力、風力など自然エネルギーを、設備を大型化せずその場所で消費する分散型のエネルギー利用を推進する。
交通手段としての道路、車はエネルギーの大量消費につながるため、日本に整備された鉄道網の展開と活用を進める。富山市ではこれまでの路面電車廃止の動きとは逆行しLRT(Light Rail Track)を導入し市民に好評です。

『地球内のエネルギー資源の有限性を強く意識し、もったいない精神を持って仕事を行い生活することが自分の将来を守りそして人類の将来に貢献できる道なのではないか』 これが石井先生の講演を聴いた後の率直な感想です。
自分の家族や会社という殻から少し離れたところから現在社会を冷静に眺めてみると地球環境以上に世界のエネルギー情勢が不安定になっていることに気づきます。
 今大切なのは石油を現代人類だけのために短期間で無理に使い切らないことだと思います。未来の人類のために石油を残しておく行動をとらなければ自分の将来も危ういと思います。
もったいない精神とこれまで蓄積した技術をPMとして活動をすることで日本は石油ピークの危機から世界を救えると確信しています。皆さんの力を結集して活動を開始しようではありませんか。
(文責:岡崎博之)