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ガイドの読み方(第12回)
―プロジェクトと組織構造について―
研修事業第2部会 瀧本 繁 PMP:11月号
すべてのプロジェクトマネジメントは、立上から終結までを人が行い、チームで行い、組織で行います。さらに、そのプロジェクト組織が所属する母体組織である企業、政府行政機関、協会等の組織構造の影響を受けながら計画、実行、監視コントロールすることになります。 筆者は、入社以来、30年間勤務した企業から、4社の出資で新たに設立された合弁企業に出向中であり、出向する以前は企業の組織構造をさほど意識することなく、仕事をしてきましたが、出向後は、出身企業が違う人たちでプロジェクト・チームを編成し、個々のプロジェクトを実行・管理する上で、母体組織の構造が特に重要であるという思いから、特に「プロジェクトと組織構造について」の視点でこの機会にPMBOK
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ガイド第3版から筆者が学んだことを紹介させて戴きます。
1. 組織構造について
プロジェクトを実行するプロジェクト・チームは母体組織のプロジェクトマネジメント・システム、企業文化、スタイルやプロジェクトマネジメント・プロセス等の組織環境とその組織構造から多くの影響を受けることになります。 特に組織構造については、PMBOK
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図2-6の「プロジェクトに及ぼす組織構造の影響」の横軸には主な組織構造をタイプ別に機能型、マトリックス型、プロジェクト型および縦軸には主要な特徴としてPMの権限、利用可能な資源、プロジェクト予算管理、PMの役割、PMスタッフ専任度合が示されています。プロジェクトを実行する時に下図のような母体組織の組織構造によって利用可能な資源の制約を受たり、プロジェクトマネジャーの権限の強弱が、そのタイプにより異なりますし、自ずとプロジェクト・チームの役割の範囲にも影響することになります。
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図2-6 : プロジェクトに及ぼす組織構造の影響
プロジェクトの目標を達成するには、プロジェクトマネジメントの知識、スキル、ツール、技法を適用することも重要ですが、それ以上に母体組織の組織構造の影響が重要と思っています。まず、プロジェクトが立上るとプロジェクトマネジャーが任命され、プロジェクト・チームを編成し、さらにそのプロジェクトの母体組織の支援体制が決まりますが、プロジェクトを基本としてない組織やプロジェクトマネジメント・プロセスが成熟していない組織では、プロジェクトに対する支援体制が整備されておらず、母体組織の規則、方針、手順、権限規定が、プロジェクトを効率的かつ効果的に実行するには妨げとなることがあります。
一つの組織内に機能型とプロジェクト型の両方を兼ね備えた組織例としてPMBOK
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図2-12の 「複合型の組織構造」では、ある機能部門だけでプロジェクト・チーム編成する場合と組織を横断してマトリックス型あるいはプロジェクト型のチーム編成する場合があり、プロジェクト組織を一定とせずに、どのようにプロジェクト・チーム編成するかはプロジェクトの作業範囲やプロジェクト大小により、個々のプロジェクト毎により効率的かつ効果的に実行できるプロジェクト・チーム編成が可能な近代的な組織例として示されています。 母体組織の組織構造を改正する場合の参考になると思います。
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図2-12: 複合型の組織構造 (プロジェクトAがプロジェクト型、Bは機能型)
2. プロジェクト・ステークホルダー
次にプロジェクトマネジメント・チームは、プロジェクトを確実に成功させるために、どのようなステークホルダーが係わるかを識別し、ステークホルダーの要求と期待を明確にし、可能なかぎり、要求事項に関するステークホルダーの影響をマネジメントする必要があります。 PMBOK
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図2-12のプロジェクト“A”の場合のプロジェクト・チームとは、グレーの箱内の「プロジェクトマネジャー」と「3つ機能部門からのスタッフ」が含まれます。どのようなプロジェクトにおいても主要なステークホルダーとは、顧客・ユーザー、スポンサー、機能部門のマネジャーやプロジェクト・チーム以外のスタッフ、そのプロジェクトには、直接には関係しないがプロジェクトの過程で影響を及ぼす可能性のある人やグループが存在しており、それらの関係をPMBOK
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図2-5の「ステークホルダーとプロジェクト・チームの関係」を示しています。
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図2-5 : ステークホルダーとプロジェクトの関係
ステークホルダーは、様々なレベルの責任と権限をもってプロジェクトに係わり、プロジェクトのライフサイクルの進行につれても変化します。そのプロジェクトに対してプラスまたはマイナスの影響力を持つ場合があり、プラスの影響を持つステークホルダーは、プロジェクトの成功から利益を受ける人々に対し、マイナスの影響を持つステークホルダーは、プロジェクトの成功から不利益を見込む人々であり、プロジェクトの進行を阻む大きなリスクがあるにも拘らず、プロジェクト・チームは、そのプロジェクトの実行に直接的には関与しないマイナスの影響を持つステークホルダーを見落とすことがしばしばあり問題となることがあります。 ステークホルダーマネジメントは、プロジェクトのステークホルダーの要求事項を満たし、ステークホルダーとの課題を解決するためにコミュニケーションをマネジメントすることであり、プロジェクトマネジャーはステークホルダーを積極的にマネジメントする責任があります。 環境ビジネスの業界では、そのプロジェクトの地域住民は、プラスとマイナスの両方の影響を持つもっとも重要なステークホルダーであります。忘れがちなマイナスの影響を持つステークホルダーを如何に識別し、マネジメントするかも大切なことです。
3. 組織構造におけるPMOの役割
プロジェクトを基本としたマトリックス型、プロジェクト型、複合型の組織構造では、プロジェクトマネジメント・オフィス(PMO)構築と導入することが、多くのプロジェクトを同時にマネジメントする場合には特に有益であり、さらにPMOは、個々のプロジェクトのマネジメントを支援する機能、人材の育成、ツールや技法の標準化、方法論や手順の適用の一貫性とその継続性の確保、重要事項の意思決定、間接的或いは直接的なマネジメント、目標の達成責任と様々な機能を果たすことができるとあります。 PMBOK
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図2-12の 「複合型の組織構造」においてPMOを「最高経営執行責任者」の直属の部門とするか?「プロジェクトマネジャーのマネジャー」の直属部門するかによってもPMOの機能は変わります。 一方ではプロジェクトマネジャーとPMOの役割と責任範囲の相違を明確に認識することも大切です。一例をあげれば、プロジェクトマネジャーは、個別プロジェクトの制約条件の範囲内で、そのプロジェクト目標の達成に責任をもつが、PMOは、母体組織の全体の視点に起って手順や方法論の継続的な改善する等の特定の使命をもった組織機構でなければならない等のプロジェクト管理(PMO)を業務とするものにとってはPMOの業務所掌の重要な関心事であります。
プロジェクトを実行することにより経営している企業が、例えば、官需から民需へ、または国内から海外向けビジネスへと世界市場でのグローバルな事業展開へと変革しようとする場合には、企業としてコアコンピテンシーのプロジェクトマネジメント力をさらに強化することがより個々のプロジェクトの目標を成功裏に完遂するための仕組みを創り込むことは、プロジェクトマネジメントのツール・技法・プロセスを適用するだけでなく、母体組織の組織構造のあるべき姿・ステークホルダーマネジメント力の強化の必要性・PMOの機能強化等のプロジェクト実行体制に適した組織プロセスの再構築を如何にしたら良いかのヒントを習得する機会となり、この原稿を執筆するにあたり、PMBOK
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ガイドを組織構造という視点で読み込む、さらに文章にすることにより自ら経験や考えていることを体系的に整理することができたことが良い経験となりました。このオンラインジャーナルに執筆の機会を戴き有難う御座いました。なお、この記事を読まれてPMBOK
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ガイドをある目的をもって読んでみよう思われる方があらわれたら幸いです。