懸賞つきPMクイズ
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懸賞つきPMクイズ(2)

芝 安曇:7月号

クイズ「KKD(経験・勘・度胸)のPM」
 6月号PMAJ関西酒井さんからのメッセージは「KKDのPM」である。このKKDは人によって評価が逆転する。サイエンスを強調するPMBOKの講習会に行くと「KKD」は駄目人間の典型といわれる。一方現場感覚の人はこの「KKD」を尊重する。
 同じ事柄を正反対に捉えるのは、問題を定義しないで感覚で捉えて発言しているからである。この点サイエンスを自称するPMBOK派も実は科学的にものごとをとられているといえない。単にマニュアルに書いてあるから発言しているのだろう。

 筆者の定義では『「KKD」はPMにとって必要条件であるが、十分条件とならない』となる。このためには経験・勘・度胸とは何か定義しなければならない。

PMにおける:サイエンスとアート
 上図はPMにおけるサイエンスとアートの役割を示したものである。PMにおける構想と計画は最も重要な部分である。サイエンスは先人の経験の集積し、論理的に整理したもので構想、計画には欠かすことができない。その意味で個人単位のアート(KKD)だけでは十分条件とはいえない。しかしプロジェクトが進行するにつれて、常に問題が発生する。この突然起こる問題の解決にはPMBOKそのものには何も書いていない。個人が自分の力量の中で考え、相談し、解決案を提案し、最後に決断し、実行しなければならない。ここで活躍するのがKKDである。だがKKDに問題がないわけではない。経験10年という経験者すべてが実力者とはいえない。経験や勘を働かせ、決断するには、経験をアートにまで高めなければならない。

問題:アートにまで高められた経験・勘・度胸とはどのようなものか定義せよ。
図を描いて説明できれば最高。






懸賞つきPMクイズ(1) 「問題と回答」

問題1
今回の問題は易しいが、回答は簡単でない。じっくり考えて回答されたい。
@ 問題とは何か
A 課題とは何か
B マネジメントとは何か






この回答は図を使って解説する問題である

【ヒント】
最近はカタカナ言葉が多い。XXXマネジメントはその例である。人は気にしないしないで使っているが本当は「XXXマネジメントとは、これこれを意味する」と定義をして使わなければならない。人によって解釈の違いがあるからである。コミュニケーションがうまくいかない最大の理由は言葉を定義なしにしゃべっているからで、発信者の正しい意図が受信者に伝わっていないのに、お互いに伝わった気になっているだけのことが多い。
 @ そこで今回の問題は「問題とは何か」を定義する問題である。
 A 問題とはプロジェクトにおいて頻繁に起こっている問題を意味する
 B 問題とは「過去の問題」、「現在の問題」、「将来の問題」を同時に考える
 C 図を使うとは、すべて「一つの簡単な図」、これですべてを説明できる

回答者1名:原田 奈美 様 当選

出題者の回答:
1. 問題とは

問題とは
○ 問題Aとは(過去に決めた基準)
@ まず「あるべき姿」がある
A 「現実の姿」が存在する
B @とAの間に乖離がある場合にこれは問題であると感じる
これは過去にすでに「あるべき姿」を決めている問題である

○ 問題Bとは(現在感じられた基準)
@ 現在の「あるべき姿」と「現実の姿」が一致していた
A ところがグローバル化などという問題がおこると、「あるべき姿」のレベルがアップする
B 心ある人は現在起こりつつある「新しい基準」に対し落差を感じると、そこに新しい問題が発生する。この場合はある人は問題と感じ、別な人は問題と意識しないという問題が生じる。
これは現在起こりつつある問題といえる

○ 問題Cとは(将来起こるかもしれない問題)
@「あるべき姿」は決めた
A しかし、将来何らかの理由で「現実の姿」が目標に到達できない場合が想定される
B 想定されるものが問題として取り上げられる。事例はリスクマネジメントである

○ 課題とは
@「あるべき姿」が分かっている
A「現実の姿」があり、乖離が存在する
B この乖離を問題として捉え、解決しようとするベクトルを持つ問題を課題と呼ぶ

課題とは
ここで重要なことに気がつくはずである。何事かを実行するとき必ず「あるべき姿」がある。「あるべき姿」を持たないマネジャーは有能者とはいえない。

○ マネジメントとは何か?
@ マネジメントには必ず「あるべき姿」を描く(Plan)ところから出発する
A マネジメントはその「あるべき姿」に向かって関係者全員が行動(Do)を起こすことをいう
B マネジャーは常に「あるべき姿」が念頭にあるので、「現実の姿」をチェック(Check)している。「現実の姿」に問題ありと気がつけば、対策を考えアクション(Act)を起こす。

問題、課題、マネジメントに共通する用語はクライテリア(「あるべき姿」の基準)である。
基準を持たない人はマネジメントができない人である。

以上