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事例研究会への参加者募集に大きな反響

高橋 道夫:3月号

本年4月からPMAJの新年度活動が開始されます。その準備の一環として、現在各種の会員活動への案内や誘いが会員宛に出されています。その中でもP2Mの実践事例研究会に対する反響が大きく、毎日のように会員から参加希望のメールが事務局に舞い込んでいます。地方の会員からも何とか参加したいという熱心な希望が寄せられています。協会としてもこれに応えるようにすることが、会員の活性化やP2M普及の推進力になるので、現在いろいろ検討を進めているところです。

 つい先日の2月25日の土曜日午後に、「新春P2Mセミナー」が東京霞ヶ関ビルのプラザホールで開催されました。冒頭の田中理事長による挨拶講演のあと、4つの事例発表が行われました。4人の講師の方がそれぞれのレベルで、どういう対象にP2Mを適用したかという具体例として、これから活動に参加されようとしている方の良い参考になると思われますので、その概要だけを簡単に以下に記してみました。
 1番目は、IC Net社の米坂社長による「ODAにおけるP2M活用の可能性-プログラム化を中心に」と題するもので、ODA事業における海外諸国に向けた非常に多数のプロジェクトに対して、プログラムマネジメントの導入を行いつつある現状についての講演であった。国別援助計画の重点分野ごとのビジョン達成のための戦略を策定し、プロジェクトを投入して管理していくということは、非常に困難な仕事である。従来プロジェクトのやりっぱなしで、予算のばらまきと非難されているやり方に対し、戦略に従った成果と効果を出していく方向に切り替えるため、プログラムデザイン、プログラム管理を行うのにプログラムマネジメントを適用していこうというものである。ODA事業が抱える固有の難しさとして、相手国事情による予測の難しさ、再現性の低さ、環境の変化やリスク要素の大きさ、ステークホルダーの多さ、ODA政策面の未整備等の課題がある。更には、戦略シナリオの修正に貢献するプログラム評価の確立の課題もあるということでした。最後にP2Mへの期待として、経験に裏付けられた発想や勘というものに対する科学的強化の研究の提案をいただきました
 2番目は、シンクリエイト社の岩下社長(PMR資格者)による「P2Mと私:自己革新のシナリオ」と題するもので、会社業務をやっていた時代から、会社を辞めてPMR資格を取り新しい会社を作るまでの自分に関して、P2M的思考を適用し自己革新を行った講演であった。自分がP2Mというものを学習し、それに触発されて共創プロジェクトマネジメントというものを考え、その考えに基づき会社を作ったという話は、興味あるものであった。またそれに関連して、大局観や洞察力を養う訓練を日本の教育に取り入れる必要性を説かれた。
 3番目は、NECネッツエスアイ社(旧日本電気システム建設)の藤岡氏(PMS資格者)による「プログラムマネジメントの工程管理手法についての考察」と題するもので、自己の管理している10近くのプロジェクトは、それぞれ工期、場所、作業者、設備が異なり、従来方法での管理が出来なくなっているのを、新しいソフトの導入と工夫によりプログラム管理が出来るよう改善したことの講演であった。その結果は見事に効果を発揮し、会社にも認められたというものである。
 4番目は、スペースクリエーション社の青木社長(PMR資格者)による「新商品開発とP2M」と題するもので、ベンチャー企業としてこれまでいくつか行ってきた新商品の開発について考察を加え、P2Mの活用が極めて有効であることの発表であった。中小企業やベンチャー企業にとって新商品開発は命であり、これなしには生き残っていけないので、企画段階での戦略が非常に重要であることを力説された。その際P2Mのプログラムマネジメントの考えが、高い有効性を持つことを指摘されている。中小企業や大学で、企業家養成講座やベンチャー講座を行っている。

 以上ですが、このような会員の皆様の実践事例を今後も地方セミナー、例会、シンポジウムでどんどん発表できるようにすると共に、ジャーナルにも取り上げて行きたいと考えています。PMAJの部会、SIG、研究会等の活動に参加されることは、自己研鑽、仲間作りにも繋がり、同時に資格者には資格維持ポイントの取得にもなるので、積極的なご参加をお願い致します。