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夢工学(38)

第7部 悪夢工学式性格分析評価法

1 優れた性格分析評価を求めて

●優れた性格分析評価法の探索
矢田部ギルフォード法やロールシャッハ法などは日本で昔からよく知られた性格分析評価法である。しかし最近の心理学の研究ではそれらに重大な問題があることが証明されている。また血液型で性格を評価することは、日本では以前から一般的に行われたものである。しかしそれは、全く科学的な根拠がないデタラメな方法であることも心理学で証明済みである。

しかし血液型性格評価法は、多くの人々に受け入れられている。何故だろうか。その理由は、その方法がシンプルで誰にでも分かり易いからであろう。

筆者は、かねがね「原理とは本来シンプルである。理論とは本来明快でなければならない」と信じている。そのためシンプルで、誰にも分かりやすく、実用的な性格分析評価法がないかと内外のさまざまな文献を調べた。また心理学の専門家にも尋ねた。しかしなかなか良いものが見つからず、その調査は暗礁に乗り上げた。そして筆者自身でその方法を考える以外にないのかもしれないと思う様になった。

●悪夢工学式・性格分析評価法の考案
筆者は、既述の通り、人と人とのインタープレーやインターフェイスを重視してきた。そんなある日、筆者は、精神分析医の故エリック・バーン博士の「交流分析」の中の「人生の基本的姿勢」と言われる部分に着目した。交流分析それ自体は、筆者の求める性格分析評価法ではないが、この人生に基本的姿勢は、人と人との関係を扱った極めて単純だが、本質を突いた内容であることが分かった。

バーンズ博士は、対人関係の在り方を人生の生き方という基本的姿勢と捉えた。一方筆者は、同博士と違った捉え方をした。それは、対人関係の捉え方そのものが「性格パターン」であること、本人の生い立ちと成長期の対人関係の在り方が本人の性格パターンを形成すること、そして本人自身が自らの性格パターンとそれによる思考と行動を強く意識しているか、普通に意識しているか、全く意識していないということも性格パターンであること、である。筆者は、この性格パターンの発見を基に「悪夢工学式・性格分析評価法」を考案した。なお性格パターンを同法では「性格タイプ」とわかりやすい表現に変えた。


2 悪夢工学式・性格分析評価法とは

●性格分析評価基準

この悪夢工学・性格分析評価の基本的考えは以下の方程式で言い表せる。


●悪夢工学式・性格分析評価法
悪夢工学式・性格分析評価法(以下に掲示)は、正常な人間を4つのタイプとそれぞれのタイプに3つのサブ・タイプに分けて議論している。

先ず4つのタイプとは、自分と自分以外の人物との理性と感性での関わり(インタープレーで言い表される様なモノ)で肯定するか、否定するかを判断基準で分別されたものをいう。 そして肯定と否定の度合いが「超」で意識しているか、「普通」で意識しているか、そして「超」や「普通」の度合いに関係なく 「無意識」であるかというサブ・タイプで分別されている。

●性格タイプ

Aタイプ =  自分を肯定する。そして自分以外の人物(他者)を肯定するタイプ
Ace(素晴らしい意)のAと考えると覚えやすい。
Bタイプ =  自分を肯定する。そして他者を否定するタイプ
Bad(悪)のB
Cタイプ =  自分を否定する。そして他者を肯定するタイプ
Inferiority Complex(劣等感)のC
Dタイプ =  自分を否定する。そして他者を否定するタイプ
Die(自殺タイプの死)のD

A1、B1、C1、D1 =  1 サブ・タイプ 肯定又は否定の度合いが「超」という極端なタイプ。その意識が本人にある。
A2、B2、C2、D2 =  2 サブ・タイプ 肯定又は否定の度合いが「普通」のタイプ。その意識が本人にある。
A3、B3、C3、D3 =  3 サブ・タイプ 肯定又は否定の度合いが潜在的なタイプ。その意識が本人にない。


●自分と他者の意味とは
以前の悪夢工学では、自分を「自者」と表現していた。見つめる自分に対して見つめられる自分を自者と造語したのである。しかし却って混乱する。

「原理は単純、理論は明快」であると主張する筆者としてはとるべきことではない。そのため現在では「自分」のみとした。他者とは自分以外の人物で他人でない親、妻、恋人、子供、兄弟、親友などを含む。

●肯定の意味とは
(1)感性面での肯定とは
自分又は他者を、愛する。楽しいと思う。安心できる人と思う。自己実現させてくれる人と思う。生きている価値があると思うなど感性的に GOODと思うこと。

(2)理性面での肯定とは
自分又は他者を、正しいと思う。優れていると思う。強いと思う。役に立つと思う。良い人と思う。勇気があると思う。素早いと思う。やれば 出来ると思う。成功すると思うなど理性的にGOODと思うこと。

●否定の意味とは
(1)感性面での否定
自分や他者を、愛さない。楽しくない、醜いと思う。安心できないと思う。自己実現しないと思う。生きている価値がないと思うなど感性的にBADと思うこと。 また自分や他者を上記の様な否定でなく、自分又は他者に感情的な思いや想いなどが起こらず、何らかの関心を示さないなど感性的に無反応で他者の存在が目に入らないこと。

(2)理性面での否定
自分又は他者を、正しくないと思う。劣っていると思う。弱いと思う。無知と思う。バカと思う。役に立たないと思う。悪い人間であると思う。 意地が悪いと思う。勇気がないと思う。のろまと思う。何をやっても駄目と思う。失敗すると思うなど理性的にBADと思うこと。また他者に関心を示さない、他者を見ても,会っても、何も感情的な思いや想いなどが起こらない感情的無反応であること。

●意識と無意識の意味とは
意識とは、自分がどのタイプの人間かを正確にまたは一応認識している場合をいう。無意識とは、まったく認識していない場合のほかにどのタイプの人間かと聞かれた場合にも判断できない場合をいう。

(つづく)