SP-21 Hayabusa小惑星探査と2代目Hayabusa2の差異
コンポ担当/プロマネ双方の立場から
9月6日  10:45~11:45 Ways of Working  
 講師 宇宙航空研究開発機構 理事、宇宙科学研究所 所長 國中 均
 セッション概要 初代Hayabusa探査機は、世界初の試みとしてイオンエンジンを用いて、未踏峰の小惑星Itokawaに到達し、サンプルを地球に持ち帰るという野心的且つ挑戦的計画であった。構成要素の各系にはそれぞれ110%の性能を要求し、仮に5系あったならば110%の5乗=161%の機能が発揮される。結局、Hayabusa探査機は、計画より3年遅れの2010年に地球帰還を果たした。しかし物作り/PMとして本方式は、全くの暴挙と言わざるを得ない。各系にはDeratingした90%の性能を割り当てて、90%の5乗=59%でシステムをまとめるべきである。または、リスク評価した上でwork-around策を準備しなくてはならない。苦い経験に根拠してマネジされた2代目Hayabusa2探査機は、小惑星Ryuguから計画通り2020年に地球帰還を成し遂げ、延長ミッションを継続中である。
 講師略歴
國中均氏
國中均氏1988年東京大学大学院博士課程修了、工学博士。同年文部省宇宙科学研究所助手。2003年「はやぶさ」小惑星探査機イオンエンジンを開発。2005年より宇宙科学研究本部教授。2012年「はやぶさ2」プロジェクトマネージャ。2018年4月より現職。専門は電気推進・プラズマ工学。2021年紫綬褒章。2024年米国航空宇宙学会名誉会員。