朝活セミナー
先号   次号

人生100年時代を生き抜くための
「マイプログラム」の作成のススメ

冨浦 祥子 株式会社ウェッブアイ [プロフィール] :1月号

(内容)
1. 私に劇的な変化をもたらした「マイプログラム」
2. プログラムマネジメントと私の課題
3. 課題を乗り切るためにプログラムデザインを活用。そして起きた劇的な変化
4. 人生100年時代からも再考できるプログラムマネジメントの有用性
5. 大事なことは「実践」を「繰り返していく」こと
6. おまけ:実践ワークのカリキュラムを一部紹介

1.私に劇的な変化をもたらした「マイプログラム」
先日、P2M第17回「朝活セミナー」にてこのようなテーマで登壇させていただきました。
人生100年時代を生き抜くための「マイプログラム」の作成を通してプログラムマネジメントに臨場感を 私がこのテーマで朝活セミナーにて話題提供をするに至ったのは、本日の司会役の岩下様が話題提供された第15回「朝活セミナー」に参加し、内容に非常に深い共感を覚えたからです。第15回朝活セミナーではP2Mの認知度の低さ、活用度の低さを解決するために、“身近な課題とPM”という取り組みの一環として「Wループ学習とアナロジー」を実施すべきという提案を岩下様はしていらっしゃいました。

Wループ学習とアナロジー

そしてP2M知識体系におけるWループ学習とアナロジーの実践として、具体的に提案されていたのが「マイプログラム」の作成です。これはプログラムマネジメントの具体的な手法を自分自身の人生に当てはめ、活用してみるというものです。私はこの考え方に非常に合点がいきました。なぜなら私自身も、P2Mの知識体系を知り、日々活用することで、仕事だけでなく、人生全体をうまくマネジメントできるようになったという実感があったためです。そこで改めて「マイプログラム」を自分なりにデザインし、考察を深めた結果、非常に成果が上がっていることに気づき、ご報告もかねて同じP2Mの知識体系を保有する皆さんに、話題提供をすることに決めたのです。

マイプログラムによる劇的ビフォーアフター 実際どのような成果が上がったのか?
まずはこの写真による劇的ビフォーアフターを見て頂ければと思います。
一目瞭然です。いったい何があったのか?どうしてここまで変化できたのか?その理由を次の章から述べていきたいと思います。



2.プログラムマネジメントと私の課題
世の中においてP2Mの知識体系の浸透率は正直いってさほど高くないと言えるでしょう。そしてプログラムマネジメントにおいては特にこれらの課題があると考えております。
テキストを読んでも一般論的で、実務イメージが湧きにくい。
活用をしようにも参考になるような実践事例が手に入りづらい。
膨大な量の知識体系に対してどこから手を付けてよいかわからない。
プログラムマネジメントと私の課題

このような現状をどうにか変えたいと私は考えておりました。なぜなら私自身の人生は課題だらけであり、その現状を変えるために学び始めていたP2Mの知識体系、特に「プログラムマネジメント」という分野が仕事にもプライベートにも役に立っていると感じていたからです。この有益な知識体系を伝え、社会を良くしていくためには、「マイプログラム」の実践の場を多く設けることで、普及させていく必要があると思いました。ここまで思うようになったのには、次のような経緯があります。
新卒だった当初、私は外資系の重工メーカーに勤務し、マネジメントのマの字も知らずにいきなり施工管理と人材派遣業務を行う名ばかりの「プロジェクトマネージャー」という肩書を持っていました。知識も経験もない私がマネジメントをうまくできるわけもなく、失敗が続き、残業時間だけが増え、プライベートをゆっくり楽しむ時間もなく、体調不良が続き、挙句の果てには入院をしてしまいました。そして精神的にもきつくなり、張り切って入ったはずの会社を1年持たずに退社してしまったのです。
プログラムマネジメントと私の課題

仕事どころか人生に夢も希望もなくなった私は「なんとか人生をうまくマネジメントしなければ。」と、思いながら転職活動をしていました。そしてご縁があったのがマネジメントをメインサービスとしたウェッブアイという会社でした。何もかもうまくいっていなかった私が、資格を取得し、業務を通してマネジメントのいろはを学んでいきました。その結果、少しずつ人生が上向いていることを感じるようになりました。更には新卒の会社でうまくいかなった理由も、P2Mの知識体系を活用することで理解することができたのです。失敗から学んだ今は、その失敗さえも良い経験だったと言えるようになりました。

3.課題を乗り切るためにプログラムマネジメントを活用!
プログラムデザインと全体の構造 課題を具体的にどう解決していったか。最初に行ったのは「プログラムデザインと全体の構造」を自分ごとに落とし込むことでした。プログラムデザインとは「プログラムの使命に基づいて革新を自ら具体的に想像するマネジメント」手法です。これを自分ごとに言い換えるとするならば、「自分の人生をよりよく生きるために、自ら課題を見つけ、自ら解決策を導き出し実行すること」と言えます。プログラムデザインにおいては特に3Sモデル(サイクル型プロジェクト結合)で考えると、自分自身に置きかえやすいです。サイクル型プロジェクトの3つの構造は、スキームモデル(企画・構想)、システムモデル(システム構築)、サービスモデル(システムの運営)から成り立っています。

プログラムデザインを構成する「3Sモデル」を自分の人生に置き換えて解説
スキームモデル(企画・構想)
新しいタイプのシステム開発を企画・構想して提案するモデルです。現状を改善するためのスキーム(現状分析手法やフレームワーク)を活用し、新しいタイプのシステム開発を企画・構想します。人生に置きかえるとしたら、自分の現状を把握し、自己分析を進め、目標に対し、自分が何をすべきなのかを明確にすることだと言えます。

システムモデル(システム構築)
スキームモデルで、企画・構想したシステムを実際に構築するモデルです。企画・構想したものを実行するための環境を準備することだとも言えます。人生においては、快適に暮らすための生活環境を整えたり、適切なコミュニティに所属したり、効率的に仕事をするための環境や知識を備えること、などと言えるでしょう。

サービスモデル(システムの運営)
構築したシステムを運営してみるモデルです。人生においてはシンプルに「やってみる!」ということでしょう。実行することで、スキームモデルで企画・構想し、システムモデルで構築した環境が適切であったかを確かめることができます。サービスモデルを実行することで、実際の結果に基づく情報が得られ、スキームモデルの適切な実行にもつながります。

新卒当初の私にはこの考え方による「スキームモデル」と「システムモデル」の実行が不十分であったのだと思います。しかし、見方を変えれば、自分なりのやり方で2つのモデルを実行し、「適切ではなかった」という経験を得たとも言えます。そこで第二サイクルとして、私はP2Mで紹介されているスキームを用いて、プログラムをデザインしました。自分自身に対してサイクル型プロジェクトの結合を実施することで、自分だけのプログラム(マイプログラム)を実践し始めたのです。

今回は分かりやすいように、実践した過程を1枚のマインドマップにまとめました。
マイプログラムの実践 マインドマップ

実際には、節目節目で、このようなマインドマップを書く作業を繰り返してきました。
そして私のマイプログラムは徐々にうまく回りだし、私は現在のような姿になれたというわけです。

マイプログラムの実践によって得られた結果

4.人生100年時代から再考するプログラムマネジメントの有用性
このプログラムは私だから有効だったのでしょうか?そうではないと私は考えます。なぜなら、この知識体系は私が生まれる前に作られ、多くの先人の知恵と経験の積み重ねの結果の上に、成り立っているものだからです。私はその知恵を借り、実践の場を仕事やプライベートを通して得ることができただけなのです。

プログラムマネジメントの有用性 プログラムマネジメントの現代ニーズ

そしてプログラムマネジメントの有用性を再認識させてくれるのが名著「LIFE SHIFT~人生100年時代の人生戦略~」です。
参考: リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳),(2016)
LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 東洋経済新報社
「LIFE SHIFT」では、人生100年時代を生き抜くためには、「無形資産」を蓄えるべきと述べています。無形資産とは具体的には以下のようなものです。
生産性資産:主に仕事に役立つ知識やスキルのこと。
活力資産:健康や、良好な家族・友人関係のこと。
変身資産:変化に応じて自分を変えていく力のこと。

この3つの資産を蓄え、刷新を重ねながら多様なライフスタイルで生きていくことが、100年時代には重要だと説かれています。P2Mの知識体系自体は「生産性資産」です。しかしプログラムマネジメントの観点でみれば、活力資産や変身資産を蓄えるための足掛かりともなる資産と考えられます。このような観点から、再利用性かつ汎用性のあるプログラムマネジメントは、これからの時代において非常に有用性がある資産であると言えるでしょう。

5.大事なことは「実践」を「繰り返していく」こと
プログラムマネジメントとは「全体使命を達成するために外部環境の変化に対応しながら、柔軟に組織の遂行能力を適応させる実践的活動」です。大きな変化の時代が来ている今こそ、やはりプログラムマネジメントを活用していく必要があると言えます。そして活用するためには、自分に合った方法でプログラムマネジメントを繰り返し、実践していくことだと思います。私の場合はマインドマップ形式で、思考を整理することが合っていたため、その方式でマイプログラムの作成を進めました。マインドマップに限らず、ノートへの箇条書きやエクセルを活用してもよいでしょう。大事なことはとにかく「実践する」ことです。どんなに自転車の知識があっても、乗れなければ意味がないように、実践しなければ、知識に意味はありません。今すぐノートを用意して、一文字でもいいのでご自身のマイプログラムを書き始めてください。もしくはご自身のToDoリストに「マイプログラムの作成を始める」と追加してください。完璧でなくても、まずは始めることです。そして繰り返すなかで、マイプログラムはブラッシュアップされていくことでしょう。その際にはぜひ後述の「8.おまけ」に掲載している私のオリジナルワークも、ご参考になさってください。

始めることや実践することにハードルを感じる方は、ぜひ私と一緒にワークに取り組みましょう!おかげ様で話題提供はご好評頂き、3月13日の「第18回新P2Mクラブ会」でも話題提供させていただくことになっております。ご興味ある方は是非ご参加いただければと思います。またご希望いただければ個別の研修プログラムのご相談もお受けできます。お気軽に  冨浦 までご連絡いただければと思います。

皆様と一緒にプログラムマネジメントを実践し、よりよい社会の共創をしていけることを楽しみにしております。最後までお読み頂きありがとうございました。

*ご参考までに、当日参加された方々からのコメントを付記します。
Ⅱ.本日のセミナーの感想をお聞かせ下さい。
貴重で素敵な朝活セミナーをありがとうございました。講師の人生に対する真剣さがひしひしと伝わる内容でした。
私も自分自身のマイプログラムを描きながら、人生に向き合ってまいります。講師の今後の輝かしいご活躍が目に浮かびますが、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
このコンテンツは素晴らしい可能性を秘めていると感じます。
ご自身の成果を基にした内容でした。とても良くまとめられており、分かりやすい構成でした。実践的ワークショップも良い取り組みでした。
朝活セミナーの中で、参加者にけっこうなワークをさせるというアイデアも斬新です。朝からマインドマップと格闘し、脳味噌をフル稼働しました。
プログラムマネジメントの勉強は初めてでしたが、こういう形で具体的で身近な事例でワークができると、非常にわかりやすいと感じました。
SWOT分析、SWOTクロス分析は普段活かす局面がなく、知っているだけのものでしたが、今回やってみて強力なツールであると感じました。
ワークでスキームモデル、システムモデル、サービスモデルについて取り組んでみましたが、それぞれの概念をきちんと理解できているかというと不安です。
元の意味や他の事例をもう少し調べる必要があると感じました。
普段と違って、自分的にもアウトプットの記述が良かった。

6.おまけ:実践ワークのカリキュラムを一部紹介
・プログラムの構造化
実践ワーク1 スキームモデル
・SWOT分析と戦略の立案
実践ワーク2 スキームモデル
実践ワーク2 スキームモデル
・具体的な行動計画の立案
実践ワーク3 スキームモデル

ページトップに戻る