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「3通の手紙」

プラネット株式会社 中嶋 秀隆 [プロフィール] :11月号

 新任のプロジェクト・マネジャーが着任すると、前任者が部屋から出ていくのにでくわした。前任者が言うには、「3通の手紙を机の引き出しに入れてある。プロジェクトが難局を迎えたら、手紙の1通を開いて、そこに書いてあるアドバイスに従え」とのとこだ。
 数週間後、プロジェクトの作業は遅れ遅れとなり、プロジェクト・マネジャーはそのことをステアリング・コミティで説明しなければならない。彼は途方に暮れたが、手紙のことを思い出し、机の引き出しから1通目を取り出して読んでみた。そこには「すべて前任者のせいにしろ」と書いてある。彼は会議の席上、前任者を槍玉にあげ、「あいつのやり方がまずかったから」と説明した。ステアリング・コミティはその説明を受け入れ、期限の延長を認めてくれた。
 さらに時間が経って、プロジェクトはまた泥沼にはまった。プロジェクト・マネジャーはさらなる期限の延長に加え、予算の増額も依頼しければならない。彼は2通目の手紙を開けた。すると「すべてプロジェクト・チームのせいにしろ」と書いてある。この説明も功を奏して、ステアリング・コミティは、さらなる期限の延長と、予算の増額を認めてくれた。だが、「もうこんなことは繰り返さないように」と釘を刺された。
 それから6か月後、プロジェクトはどうしようもない状態に陥って。スケジュールはいよいよ遅れ、予算も大幅にオーバーしている。このままでは、失敗は目に見えている。プロジェクト・マネジャーはため息をつくと、3通目の手紙を開けた。そこに書いてあったアドバイスとは、「そろそろ、3通の手紙を用意しろ!」

 以前、翻訳出版した『世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント』に紹介されているジョークです。同書で著者(ベーカー&キャンベル)は、プロジェクトマネジメントの技法を駆使すれば、3通の手紙を用意する必要はないはず、と激励してくれています。
以上

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