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ビックデータとプロジェクトへの応用

PMAJ理事長 光藤 昭男 [プロフィール] :12月号

 最新のIT技術というとIoT(Internet of Things)、Big Data、AI(Artificial Intelligence)が、3点セットとして登場する。ITの世界はバーチャル(Virtual)だが、リアル(Real)の世界を含めると、この3点にロボットが加わり4点セットとなる。今や一般化してきているこれら4点を整理し、プロジェクトへの応用を考えてみたい。

 IoTは、日本語に直訳すれば「モノのインターネット」であり、内容はあらゆるモノがインターネットにつながる仕組みである。モノに付随する、あるいは関係するデータ・情報は、センサーを通して収集でき、「IoTデータ」となる。当然、「IoTデータ」はインターネットを経由してアクセス可能であり、大量(Volume)、多様(Variety)、高発生頻度(Velocity)の「3V」が特徴であるという。

 この「IoTデータ」は、その大量性からビッグデータの一種とされる。ビッグデータにはこの他に、企業等の多くの組織で利活用されている管理された「構造化データ」がある。人事データ、製造・販売データなどが典型的な例である。一方、Twitter、Facebook、YouTubeなどのSNSやメールなどで飛びかうデータ・情報は、「IoTデータ」とともに「非構造化データ」に分類される。こうした「ビックデータ」を収集しただけでは利活用できず価値がない。特定の目的をもって分析することで利活用でき、価値が生まれる。その役割を担うのが、AIである。

 現在は、第3世代のAI、すなわち、深層学習(Deep Learning)と呼ばれる機能が中心である。深層学習は、膨大な情報を与えることで、ルールや知識をAIが自ら学習する。素データは、各々一つずつを取り上げても経済的な価値は高くなく、ほとんど無価値に近いといえる。大量データを分析することにより、経済的価値が出る。塵も積もれば山となる。塵は、個別には無価値だが、積もった山には価値がある可能性がある。

 ロボットも、単機能ロボットであれば1980年代以降、製造の現場で普及し始めており、今やこの単機能ロボット無しには生産・物流は成り立たない。ところで、ロボットというと、鉄腕アトムがロボットイメージに強い影響を与えている。この人型ロボットは研究開発のまだ研究途上にあり、多くの技術を開発しなければならない。自動運転の車が現れているが、しばらく開発が続くであろう。

 プロジェクトの遂行におけるIoT、ビックデータ、AI、ロボットの応用を考えてみる。プロジェクトは、それぞれ異なる個別性が特徴としてあるため、かなり難度の高い応用となる。しかし、プロジェクト業務でも、繰り返し作業は少なくない。複数のプロジェクトに横断する業務を考えれば、類似する作業パターンは増えるので、4点セットが人に取って代わることも可能であろう。だが、力作業といわれる分野が多いので、付加価値は高くなく、代替価値も低い。

 当面欲しいモノとして、過去実績をビックデータとして収集し、そこから「転ばぬ先の杖」的なアドバイスや指示をする危機管理を代行するAIロボットが考えられる。Amazon Echo や Google Home 等のスマートスピーカーが既に販売されているので、この実用化は容易であろう。また、ソフトウェア開発分野で多くの自動化ツールが普及してきているので、この変化を自動認知し、開発者に最適な自動化ツールの選定や過ちを事前に適切に防止する指導ロボットがあれば、ソフトウェア開発の生産性は向上する。更に、身の回りにも、IoT、ビックデータ、AI、ロボットの4点セットの応用を待つ商品・サービスは多数ありそうだ。

以 上

注:「IoT、AI、ビッグデータに関する経済産業省の取組について」経済産業省@2016年5月24日を参照している。

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