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亭主を早死にさせる法

プラネット株式会社 中嶋 秀隆 [プロフィール] :8月号

 6月末に北欧のバルト海に面するエストニアに出かけた。首都のタリン大学で行われた、「国際ユーモア学会」の30回目大会に参加するためである。「日本笑い学会」のメンバーが6人参加していた。
 その中の2人は現役のお医者さんで、笑いが健康にもたらす効果を研究しているとのことだ。その2人が夜遅く当地のホテルにチェックインし、夕食をとった時のエピソードを聞いた。レストランで渡されたメニュはエストニア語とロシア語で書かれており、何のことかわからない。前菜らしきものを指さして何かと尋ねると、「フィニッシュ」と言われた。メイン・コースらしきものを指さしても「フィニッシュ」という返事。ビールを指さしても「フィニッシュ」。そこで2人は、はたと気づいたそうだ。「フィニッシュ」とは「おしまい」ではなく、「フィンランド料理」の意味であったと。

 1人の先生は、笑いについての著作を出されている方である。バーベキューの出席でお一緒した際、笑いのすすめとして、次のようにアドバイスをくれた。
1 ) 面白いと思ったら笑うべし
2 ) 面白そうだったら笑うべし、
3 ) そして面白くなくても笑うべし。
 それを聞いて、酒に関するジョークを思い出した。酒を飲むべきタイミングには5つあるとの(珍)説だ。
1 ) 友とあったら飲むべし、
2 ) よい酒をもらったら飲むべし、
3 ) 喉が渇いたら飲むべし、
4 ) 喉が渇きそうになったら飲むべし、
5 ) その他、いかなる理由でも飲むべし。
 先生方は会場で「日本笑い学会」を代表して、笑いが身体に及ぼす影響についてポスター・プレゼンをしていた。その中で、「亭主を早死にさせる10の方法」(ハーバード大・J.Meyers)という奥様方へのアドバイスを、ユーモラスに紹介していた。それによると、
1 ) 亭主を太らせよう。肥満は糖尿病や肝臓病、腎臓病、脳卒中、心臓発作につながる。
2 ) 座りっぱなしにさせよう。駅まで歩かせず、車で送ろう。庭仕事や子どもとスポーツするなどと言い出したら、スポーツのテレビ観戦を勧めよう。
3 ) 脂肪分を与えよう。それには、揚げ物などの好物をどんどん与えよう。バターやステーキ、ポテトフライ、フライドチキン、ベーコンと卵、など。煮魚などの煮物は避け、揚げられるものは揚げる。
4 ) 塩分を採らせよう。塩分は血圧の上昇につながる。いま血圧が少し高めなら、それを血圧計の目盛りの上限まで押し上げ、寿命を最低まで引き下げる効果がある。
5 ) コーヒーを飲ませよう。コーヒーが心臓発作を早めるという証拠はないが、可能性はある。それを活用しない手はない。いずれにしろ、カフェインは不眠につながり、健康によくないことは明らかである。
6 ) アルコールの痛飲を勧めよう。アルコールは強くて甘いものがよい。
7 ) タバコは切らさない。タバコは未亡人志願者のよき友である。高価なライターを常備すれば、禁煙することも、ライターを無駄にすることもできにくくなる。
8 ) リラックスさせない。ふだんから分別ある無駄遣いをしていれば、亭主は休暇をとる余裕がなくなる。その結果、運動する機会も、リラックスする機会も、貴女の料理から逃げ出す機会もなくなる。
9 ) 夜更かしさせよう。コーヒーをたくさん飲み、テレビの深夜番組を観て、友達と出歩き、悩み事を抱えることは、かれを消耗させ、心血管系リスクを高める。亭主が入院すれば、貴女は平穏な時間を取り戻せる。
10 ) 小言や心配事をしつこく言い続けよう。お金と子どもは格好の話題である。職場で昇進した人がいたら、疑問を投げかけよう。
 10の方法は、健康管理の要点をユーモラスに、反語的にまとめたものだが、私にもあてはまることが少なくない。反省することしきりである。警鐘と受け止めたい。

以上

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