PMプロの知恵コーナー
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イノベーションを生み出す文化

竹腰 重徳 [プロフィール] :12月号

 デザイン思考は、革新的な製品・サービスを創出するために利用されている。デザイン思考で有名なスタンフォード大学の D スクールで提言している「デザイン思考のマインドセット」 (D) (1)、画期的な製品・サービスを生み出し急成長し続けるグーグル社内でいわれている「口ぐせ」 (G) (2)、「アジャイルマインドセット」 (A) (3) は、以下に示すように類似した文化であり、イノベーションを生み出すために不可欠である。

( D ) 人々の価値観に焦点を当てる
ユーザーの体験に共感することによってのみ、彼らからフィードバックが得られるようになり、それがすべてのデザインの発想を生み出す基盤になる。
( G ) ユーザーに焦点を当てる
( A ) 顧客価値重視

( D ) 試行錯誤を歓迎する
プロトタイピングはあなたのアイデアが有効であることを証明するために行うのではなく、そこからイノベーションを引き起こすための重要なプロセスとなる。作ることで考え、学び、また作り、考え、学び続ければ良い。
( G ) 速い失敗を歓迎する
( G ) 反復
( A ) 価値向上への変更歓迎
( A ) 反復漸進

( D ) 徹底的な協働
さまざまなバックグラウンドとユニークな視点を持つイノベーターとの徹底的な協働こそ重要。多様性が、水面下の驚くべき事実を明らかにし、優れた解決策の発見を可能にする。多様性はイノベーションの原動力である。
( G ) グーグリー (解決が難しそうな課題でも、想像力を駆使し社員同士で協力して問題解決できる人)
( G ) ワンオンワン、シンクする (異部門の人と気軽に情報交換や意見交換を行う)
( G ) チームに自由裁量を与えれば、驚くような素晴らしい成果を出す
( A ) 個人とその相互作用 (自己組織的チーム)

( D ) 言うのでなく見せる
生み出したビジョンを、インパクトを与えることのできる意味ある方法で見せるようにする。単に言葉で説明するのではなく、イラストなどのビジュアルや楽しいストーリーに組み立ててコミュニケートすべきである。
( G ) 百聞は 1 デモにしかず
( A ) 動く製品
( A ) 反復漸進

( D ) 行動第一
「デザイン思考」は間違った名称かもしれない。単なる思考ではなく、実践なのだから。思考やミーティングだけにとどまることなく、行動して実際に形にすべき。動くことで新しい発見が得られる。
( G ) アイデアだけなら価値がない
( A ) 動く製品

( D ) 明快な仕事
バラバラに散々する問題から、一貫したわかりやすいビジョンを生み出す。他人を感動させ、想像性を刺激するように、分析的な視点だけではなく、統合的な視点も同時に持つことがイノベーションの実現と浸透を可能にする。
( G ) アイデアはどこからでも生まれる
( G ) 10X (10倍大きなアイデア)
( A ) 個人とその相互作用 (対話が創造を促進する)

以上

参考資料
(1) THE D.SCHOOL BOOTCAMP BOOTLEG   リンクはこちら
(2) 大塚常好、儲けを生み続ける「最強リーダーの口グセ」 50、プレジデント 2013.9.16号
(3)   リンクはこちら

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